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4話 早速嵐1号が吹いた

「来ちゃった♪」


そこにはあり得ない人物がニッコリ笑いながら立っていた。

そして真は氷魔法にかかったようにフリーズしている。


少しして後ろから祖母がやって来た。

「どうしたんだい、真のお友達かい?」とやって来て

玄関に立っているサーシャを見た祖母は余りの美しさに

びっくりした。

「あらまぁ、凄い綺麗なお嬢さんじゃないか。外は寒かったろう、

中へお入り。」

と固まってる真を横に退けてサーシャを招き入れる。


「ありがとうございます、では失礼致します。」

と言うと家の中に入ってきた。

しかし向こうでは基本土足で入るものなので、サーシャもブーツのまま上がってしまい、

祖母に日本では靴は脱ぐのよと優しく指摘され、いそいそとブーツを脱いで入った。


リビングへ連れて行って少ししてやっと真の意識がこちらに戻ってきた。

急いでサーシャの所に行くと祖母と楽しく歓談しているではないか。

物凄いスピードでサーシャの両肩を掴みリビングの隅に連れて行く。

「ちょ、ちょ、ちょっとサーシャ、え?なんで?」


「あら?マコトもアルフェイス神さまからスキル頂いたでしょう?」


「スキル?なんのこ・・・・あ!」

すぐさまステータス画面を手のひらに出す。

たくさんのスキルの中に「次元渡り」と言うスキルが新しく追加されていた。

そこに意識を集中すると説明が出てきた。


次元渡り=『地球とフォルトスクルを行き来出来る。連れて行きたい者がいる場合

触れていればどちらからも連れて来れる』


「アルフェイスさまーーーーーーーーーーーーーーー!」

真は頭を抱え仰反る。


ふと気付く

「もしかしてあのパーティーメンバー全員このスキルもろた?」


「うん、もろた。」


「のぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


「あはははははは」

指差して笑うサーシャ。


すると祖母が不思議な顔をして話しかける

「真どうしたんだい?さっきから大きな声出して。」


「あ、おばあちゃん、何でもないよこっちの話し。」


「そうかい、じゃぁその子を紹介してくれないかい。」


その時奥から祖父が来た。

「どうしたんじゃ、随分にぎやかだ、、、が。」

賑やかな声に祖父が気になって来てみたら、そこには尋常じゃない程の

美少女がケラケラ笑っていた。

しかも服装は真っ白な布に金糸の刺繍がしてあり物凄い神聖な空気を#纏って__まとって__#いる。

『真といい、この子といいこれは一体。』


隆景は真を見て

「真の友達なんじゃろ?」と言うと、


「うん」とちょっと困ったような返事をした。


するとサーシャが祖父と祖母に向き

「マコトさまのお祖父様とお祖母様でしょうか?挨拶が遅れてしまい申し訳ございません。マコトさまの婚約者のサーシャ・ルイーズ・フォン・ハーレイと申します。」

と言うとカーテシー風に挨拶をした。実際今着ている服はローブなので正式な

挨拶が出来ないのだ。

「え?」

「え?」

と祖父と祖母が一段高い声で驚いた。

「は、婚約者?、何言ってるんだよ!」焦る真。

「あらあら、5年もどこか行ってたと思ったら、こんな綺麗なお嬢さんとお付き合いしていたのね。」

「はい、マコトさまとはフォル(むぐむぐ)」

真がサーシャの口を手で塞ぐ。

「あは、あは。(こら、まだあの事は家族に言っていないんだ)」

と小声で言う。

祖父が難しい顔で見ている。

「はぁ、こいつが来たって事はもうこれ以上隠し切れないか。

おじいちゃん、おばあちゃん今日みんな揃ったら5年前何があってどこに居て何をしていたのか話すよ。それを聞いてどう思うかはみんなに任せるよ。」

諦めてそう言う真の胸元にはサーシャが口を塞がれムームー言っている。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆


夜になり家族全員帰宅した。

母と父は普段帰宅は遅いのだが、真からみんなに聞いて欲しい事があるという

連絡を受けたために急遽仕事を切り上げて帰宅して来た。

父は仕事柄特に忙しいのだが、定時に帰ると伝えると職場の人達はびっくりし

た顔のまま顔を縦に高速運動してたそうな。

みんな何事かと家に帰ると美少女がちょこんと座ってる状況にびっくりしていた。

しかも真っ白いローブを着て息を飲むほどの神々しさを放っていたのだ。

弟の武は年頃なのか顔を真っ赤にしてサーシャをチラチラ見ている。

母の美雪は尋常じゃない程の美少女を見て、手をワナワナして近寄ろうとしていたので頭にチョップを入れておいた。

やっと落ち着いた所で俺は話しを始める。

「みんな忙しいのに急にごめん、ちょっとこれ以上隠しきれない状況になった

んでみんなにだけは正直に話すね。」

と横に座ってるサーシャをチラッと見てから不安そうに見つめている家族に視線を向ける。

「まずとりあえずこれ見てから俺が5年間いなかった事と隣のサーシャの事話すよ。」

右手を前に出し言葉を紡ぐ。

「ライト」

と言うと手のひらに野球ボール位の光る球が現れそれを部屋の上空にそっと

投げる。

フヨフヨと漂い光る球、それを見て目を見開く家族。

暫くじーっと見ていると祖父の隆景が真に話しかける。

「真、これはなんじゃ?」

「この世界で言う、魔法。」

「魔法じゃと。」

「じゃぁ、話すね。」

そう言うと、5年前ある存在から急に異世界へ連れて行かれた事。その世界はこの次元とは全く違う場所のフォルトスクルと言う世界、その世界は地球では架空の存在である魔法や亜人、魔獣や魔族などが存在する世界。

その地で何度も死を覚悟する事を潜り抜けて剣と魔法で生き抜いて来た。

そしてイシスティア王国という所に辿り着き、そこで生涯の仲間たちと出会う。

隣に座ってるサーシャもその一人、そう紹介するとサーシャはマコトの方に顔を向け

優しく微笑んだ。

それからはその世界の人々の敵、魔族との戦いに明け暮れた。

たくさんの死を見て来た、たくさんの憎しみを受けて来た。

そしてやっとその魔族の王である魔王を倒した。

その後異世界に呼んだある存在にこの地球に連れ戻してもらった。


「簡単に言うと、こんなものかな。突拍子もない話しでふざけているんじゃないかと

思われるかもそれないけど、俺はこれが真実なんだとしか言えない。」

そう言うと下を向き手をギュッと握りしめて目を瞑る。

隣にいるサーシャはマコトに優しい視線を向け手をそっと重ねる。

みんな何も言えず真を見ている。

すると祖母がポツリと言った。

「そうか、真は頑張ったんだね。偉いね。」

優しくそう言うと、真の肩が震えていた。

美雪は真の後ろからそっと抱きしめる。

「戻ってくれてありがとう。サーシャちゃんだっけ?真を守ってくれてありがとう。」

「いえ、救っていただいたのは私たちの方です。マコトさまが居なかったら今頃

魔王に支配され私達人種は全滅していたでしょう。」

目に涙を溜めて微笑むサーシャ。

「私達家族はお前の話しを信じるぞ、何よりその魔法やお主と竹刀を持って対峙した時の圧倒的な強者の空気それだけで十分な証拠じゃ。」

「ありがとう、じいちゃん。」


突然「ぐぅ~~~~」と誰かのお腹の音が響く。

「にゃ、、、ううううう」

サーシャが顔を真っ赤にして両手で顔を隠す。

「あらあら、お腹すきましたよね。じゃぁ晩ご飯にしましょうか。」

と祖母が言うとみんな笑い出した。

「所でサーシャさん、こちらには真に会いに来たのですか?」

と父が聞く。

「はい、マコトさまとは結婚を誓った仲ですので。」

「おい、こら!いつ俺が結婚誓った~!?」

「フーーフーフーーー♪」

サーシャは横を向き鳴らない口笛を吹く。

「こ、こいつは~~。」


「はいはい、みんなご飯にしましょ、みんなお皿とお箸並べて。あ、サーシャさんは

スプーンとフォークがいいのかしら。」

しのぶが大皿の煮物を持って食卓に乗せながらサーシャに聞く。

サーシャは初めて食べる日本の料理に目を丸くし夢中に食べた。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆


食事が終わりお茶を飲みながらくつろいでいると、真はサーシャに

「そういえば他の奴らは?」

「お兄様はまだ雑務があるとかで来るのは片付いてからとか、マリアはそのうちって言ってたわ。ニックはどうだろう?そのうちくるんじゃないかしら。」

「やっぱり来るかぁ~。」

その会話に父も入る。

「その人達は真の仲間なのか?」

「あぁ、魔王を倒した時のメンバーだよ。」

「どんな人達なんだ?」

「んと、クリスはサーシャの兄でもありイシスティア王国の王位継承権第1位の王子で、隣でくつろいでるのが王位継承権第2位のサーシャ、一応聖女とか言われてるけどそれは外面だけな。」

「むぅ!もっと丁寧に紹介して下さいマコトさま。」

サーシャの言葉に無視して続ける。

「後はニックって言う斥候や情報収集が得意のおっさんと最後にエルフ種で魔法使いのマリア、年は知らないし聞くのも怖いから聞かない、6属性の魔法を扱える魔法使いの頂点に立つ奴だ。」


家族のみんな口を開けて聞いていた。

「そうだ、父さん。サーシャは異世界から来たけどやっぱり不法入国になるよね?」

「そうだな、まぁでも目立った行動起こさなければ大丈夫だろ。」

「え?役人がそんな適当でいいの?」

「まぁ、本当の事言っても信じないだろうしな、その時は考えよう。こっちに来たってことは向こうに戻れるって事だろ?サーシャさんどうなんだい?」

「あ、はい。戻れます。」

「だったら問題はない。」

「え〜、問題無いって。」

少し呆れ顔の真。


母の美雪がサーシャに

「サーシャちゃん、今日はこちらに泊まろかしら?」

「あ、はい。是非。」

「え?帰るんじゃ無いの?」

真がびっくりして聞く。

「しばらくいいじゃないのよ〜。向こうに居ても貴族のパーティとかばかりでつまらないんだもん。お父様とお母様もしばらくマコトの世話になって来なさいって言ったもん。」

「く、、、王様め。」


「サーシャちゃん、お洋服とか持って来たかしら?」

と美雪が聞くと

「はい、マジックバッグに一通り入れて持って来ました。」

「マジックバッグ?」

「はい、これです。」と言うと腰に付けてる小さいポーチ位のカバンを指差し、試しに

そこからドレスを取り出す。

もちろん地球には無いからみんな口あんぐりである。


「サーシャ、そんなドレスとか持って来たのか?そんな格好でこの世界で歩くと悪目立ちするから無理だぞ。」

「え〜〜〜」

「母さん、咲、何かサーシャが着れるもの少し貸してあげて。」

「そうね、咲ちゃんの服で着れそうなのあるかしら。」とチラリと咲とサーシャを交互に見

ると咲が

「むぅ」と胸に手を当て頬っぺたを膨らませた、そうなのだ咲はスレンダーなのに対してサーシャはまさにボン・キュ・ボンなスタイルだった。

「サーシャちゃん、行きましょう。咲ちゃんもおいで。」

と言うと美雪は二人を連れて二階に上がっていった。


サーシャ達を見送った真と父、祖父、祖母、弟の武。

残った者たちは少し気まずそうにしていると、祖母が

「お茶入れ直そうかしらね。」と台所へ向かった。


父が

「そうだ真、捜索願は取り消しておいた。これからはどうするんだ?大学は休学にしていたんだが、3年経ったくらいに退学手続きを取ってしまってな。」

「そっかぁ、でも今更また大学受験するのはな。しばらくはリハビリ兼ねてバイトするよ。」

「わかった、何か手伝えることあったら手を貸すぞ。」

「ありがとう、その時はお願いするよ。」


「兄ちゃん。」

弟の武が真に話しかける。

「ん?どうした武。」

「魔法って他はどんなの使えるの?」

「あぁ、そういえば武はアニメとかゲームとか好きだったな。」

「う、うん。」

少し遠慮がちに答える武。

真が向こうの世界に行った時、武は11才だったからか5年ぶりの再会にまだ戸惑っていた。

「一応火水土風聖と勇者専用の魔法とかかな。」

「勇者専用って?」

「ん〜魔族に対しての魔法とあとは広域殲滅魔法。」


「ちょ、ちょっと待て真。」

武との会話に割り込んできた父。

「もしかして勇者専用の魔法もこの世界でも使えるのか?」

「ん?あぁ、多分ね。」

真の返事を聞いて顔を青くする父。


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