表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/141

召喚早々の危機です

女子高生は確かに自分が聖女だと言った。

自分にはわからないが、彼女には聖女として何かわかるモノがあるのだろうか?

しかし考えたところで、答えなんか出る訳もない。

この女子高生が聖女なら巻き込まれたのは完全に自分ではないか。


「やはり女性の方が聖女か。

 なら男の方に用はない。

 殺せ。」


突如、王冠の男がの声が響く。

男の方?

それを聞いてハッとする。

自分が騎士のコスプレをしたままだったと。


「イヤっ、あの私は!」


王冠の男を守る様に立っていた、剣の男2人が前へ出る。

ぬらりと鞘から抜かれた鋒が自分に向けられる。

背中を嫌な汗が伝った。

ギラリと光を反射させる剣が偽物では無いといっている。

何か声を出さないと。

そう思ってはいるのにうまく言葉を発する事が出来なかった。


「まって!その人を殺さないで!」


思いがけない方から声を掛けられた。

そう思ったのは私だけではなかったようだ。

全員の視線がその人物に向けられる。

声を発した女子高生は、視線を一身に浴び怯んでしまった。


「この者は聖女様の知り合いか?」


王冠の男は女子高生にそう問いかける。

女子高生はその言葉に気圧されながらも、ふるふると首を振った。


「知り合いじゃない。でもその人を殺さないで。」


女子高生の言葉に王冠の男は訝しげに眉間にしわを寄せた。


「何故その者を庇うのだ。」


王冠の男の言葉にゾッとする。

ここでは簡単に人が殺される世界なのかと。

見ず知らずの人でさえ目の前で殺されたら、それは恐怖でしか無い。

それを今、この場で行おうとしているのだ。

それは止める方が当然だろう。

女子高生の真意はわからない、本気で助けたいと思っているのかそれとも目の前で人が死ぬのを見たくないだけなのか。

どちらにしても、私がここで殺されれば女子高生にとってはトラウマとなる事は明らかだ。

そんな事も考えられない程、この世界では人を殺めることに抵抗がないのか。

正直、今助かった所でこの世界で生きていくのは難しそうだ。

でもだからと言って今、殺される覚悟もできない。


「私が聖女として必要ならその人を殺さないでよ。

 その人、私に頂戴。」


女子高生はそう言うと私の方に目線向ける。


「あなた騎士?なんでしょ?私の側で私を守ってよ。」


私の姿をみて、なんとなくの知識で喋っている。

そんな風に見えた。

でも私を助けようとしているのはわかった。


「そんな得体の知れない者を側に置くか。

 護衛ならこちらで用意する。

 その者は必要ないだろ。」


「得体の知れないのは全員よ。

 私の知ってる人なんか誰もいないし。

 だったら私はこの人がいい。」


女子高生は段々とこの場の雰囲気に慣れてきたのだろう。

王冠の男にも、物怖じせずそう言った。

聖女である女子高生から譲る気がないのが伝わったのだろう。

王冠の男が諦めたようにわかったっと小さく言った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ