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異世界召喚されました

...声が聞こえる気がする。

男の人の声だ。

閉ざしている目に光が当たる。

...眩しい。

閉ざしている目??

私はいつの間に目を閉じていたんだろう??

ゆっくりと目を開ける。

私の目に映ったのは...見知らぬ場所だった。



冷たい石の床から体を起こす。

よく見ると見覚えのある魔法陣が書いてある。

...そうだ。

自分の部屋で謎に魔法陣に遭遇したのだ。

辺りを見渡す。

魔法陣の外には黒いローブを着た人物が5人と、王冠を冠った人物が1人、後は腰に剣を差した人物が2人いた。

なんというか、そんな予感がしてましたってものが目の前に広がっている。

ただ一つ予想外だったものがあった。

自分と同じ魔法陣の中に、女子高生がいる。

制服を着たその姿は、どう見ても周りとは違和感があった。


「何?!ここ!」


女子高生が真っ青な顔でそう言った。

自分もその女子高生が居なかったら同じ事を言っていたであろう。

女子高生が代弁してくれたので、少しだけ冷静になれた。


目の前に見えているものが現実なのならば、恐らくこれは異世界へ召喚されたのだろう。

ゲームやアニメの知識がそうだと言っている。

だがそうなのかと容易く受け入れられる程、脳も心も追いついていない。

夢か...そう思ってしまえばそれまでだが、石の床の冷たさが妙にリアルだった。


「...何故2人いる?」


左端にいたローブの1人がもう1人に聞いている。

だが、聞かれた者もその理由はわからないらしく返答に困っていた。


「キリュウ サクか?」


中央にいた王冠の男がそう声を発した。

ドクリと心臓が嫌な音を立てる。

嫌な予感しかしない。


「なんで私の名前を知ってるの?」


心の声が漏れてしまったのかと思った。

だがそれを言ったのは私ではない。

私の隣に座っている女子高生が発した言葉だった。


どういうことだ??

キリュウ サクは私の名前だ。

だが女子高生はそれを自分の名前だと言っている。


「ココはどこなの!?なんで私の名前を知ってるのよ!」


女子高生はより一層青ざめた顔で叫んだ。

その女子高生の問いに答えるように、王冠の男が一歩前へ出る。


「ここはデルヘン王国だ。我々は今、聖女召喚を行なっている。

 聖女の名前はキリュウ サクだ。

 我々の行う聖女召喚は名前による召喚を行なっている。

 そなたがキリュウ サクと言うことは、そなたが聖女なのだな?」


なるほど。

名前による召喚か。

恐らく、私とあの女子高生は同姓同名なのだろう。

しかし同姓同名で召喚に巻き込まれるなんて、なんてずさんな召喚システムなんだ。

そう思いながら隣に居る女子高生に目を向ける。


「...聖女?」


小さくそう呟いた女子高生の目に光が灯ったようにみえる。


容姿や着ている制服から見て、おそらく日本人だろう。

何というかその見た目は...あまりゲームやアニメなんかに精通しているようには見えなかった。

偏見等を全面に出してしまうかも知れないが、見た目はギャルなのだ。

異世界転生や異世界転移などを好んで知ろうとしている様には思えなかった。

だが耳にする機会はあったのであろう。

『聖女』という言葉に明らかに反応していた。


「私...私が聖女です!」


女子高生は大きく手を挙げるとそう叫んだ。

他所様の異世界と違う部分が多々あるかと思います。

こんな異世界もあるのかと、作者の妄想を覗き見る位の感覚でお読み頂ければと思います。

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