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久々の衣装製作

早いもので私がこの世界に来て半年が経った。

小屋での生活にもだいぶ慣れたし、魔法も結構自由に使えるようになった。

狩も初めての時に比べれば、だいぶ上達したように思う。

銃の風魔法も今では進化した。

ショットガンをイメージすれば散弾が出せるし、スナイパーをイメージすれば遠くの獲物も狙える。

そういった意味でも、最初に弓ではなく銃にして正解だったと思えた。

動物の気配や魔物の気配がわかる様になったにのも上達した理由の一つだろう。

それと、血抜きや捌く事を魔法で行える様になったのも大きい。

自分で出来る事はイメージしやすい為、魔法も使い易かった。

料理なんかも魔法で出来るのだが、料理は気分転換の為に自分で行っている。


最近は狩の途中で魔物に出会う様になった。

初めて会った時は恐怖から動けなくなりアミーに助けてもらったが、今は自分で倒す事が出来る位には戦えるようになった。

魔法が使えて良かったと、この時は本当に思った。

狩を始めたばかりの時には魔物は居なかった。

特に狩場を変えた訳でもないのに魔物に会うと言う事は、魔物が増えていると言うことだろうか?

疑問には思うが、教えてくれる人もいないので分からないままだった。


魔物を倒し、その毛皮が手に入るようになったのでそれを使い冒険者風の服を作り始めた。

皮の鞣し方も、小百合の書いたレシピの本に書いてあった。

何故レシピの本に?とも思ったが、単に別の本を作るのが面倒だと書いてあった。

よく考えてみると私がこの世界で手に入れは服は、平民服の1着だけだ。

逆に今までよく困らなかったと思うが、誰にも会わずに済んだのでジャージとTシャツか平民服だけで間に合ってしまっていた。

だが流石に洗濯しているとは言え、何ヶ月も着回していた服だ。

だいぶ色褪せてしまっている。

幸い作る事も慣れていたし材料もある。

私は狩にいかない日は、服の製作に当てていた。


小百合も自分の服は自分で作っていたようで、タンスの中には生地が入っていた。

その生地を『増殖』して平民服も数着作る事にした。

見本もあるし、さほど難しい作業ではなかった。

こうして男物の衣類は数を増やした。

ここでの生活には男物の方が動きやすい。

狩に行く時もそうだし、アミーに乗せてもらう時もスカートは邪魔でしかなかった。

誰にも見られない、こんな場所でも自分で選ぶ服が男物な事に苦笑いが出てしまった。


生地の入った引き出しを漁っていると、真っ白な綺麗な生地を見つけた。

艶やかなその生地を手にすると、なんだか創作意欲が湧き出てくる。

元々が衣装製作好きなコスプレイヤーだ。

ここでの生きる為だけの生活サイクルに、少し刺激が欲しかったのも合わさり私はこの生地で何か作る事にした。

この生地で男物はないだろう。

女物でこの生地ならドレスだろうか?

しかし真っ白でドレスと言ったらウエディングドレスしか思い浮かばない。

だがウエディングドレスなど、作ってて虚しくなるのが想像出来る。

となると天使系の衣装?

いや天使と言ったらフワフワしたイメージだ、自分用など考えられない。

なら...女神か!

それならギリギリ自分で着る事も許可出来るかも知れない。

天使の様な可愛い系よりも、女神の様な大人っぽい衣装の方が自分でも着れる気がする。

私は作る衣装のデザインを考え始めた。




何日もかけて完成した服を手に取り広げてみる。

デコルテが綺麗に見えるように、でも卑猥に見えないように胸元は上品に隠されている。

これならネックレスをしても映えるだろう。

全体は体のラインが綺麗に出るようにマーメイドにした。

足下は歩きやすいように、後ろにスリットを入れそこへは多めのレースをあしらった。

これで歩いても足が直接見える事はない。

人魚の尾びれの様に広がった足下は、歩くたびにスリットから覗くレースが揺れまるで泳いでいる様だった。

スカートの部分は表面にシフォン生地を纏わせ、風の動きが現れる様にした。

裁縫箱に入れたままになっていたスパンコールやビーズを『増殖』させ全体に散らばすと、白一色とは思えない程の鮮やかさが生まれた。

光の当たる角度によって、キラキラと輝きその色を変える。

作った自分でいうのもなんだが、神秘的な服となった。


完成した服を身につけて鏡の前に立ってみる。

誰に見せるでも無いが、満足出来る仕上がりだ。

くるりと回ってみると小さく広がる裾に、女性らしさを感じる。

この服を着る機会は恐らくないだろう。

でもたまに出してみて、自分のモチベーションをあげるのも良いかもしれない。

久々に作り上げた大作に満足し、いつものTシャツとジャージに着替えると私はその衣装を大切にアイテムボックスへ仕舞った。

やはりTシャツとジャージが楽である。

色褪せてしまったが、誰にも見られないうちはしばらく着ているだろうと思った。

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