この世界の魔法
ほぼ説明回です
小百合の書いた魔法の本を読み進める。
この世界には大きく別けて2種類の魔法があるらしい。
火・水・風・土の四大魔法と、その他の補助魔法から魔法は成り立っているようだ。
四大魔法には適性があるらしく、適性がない者は使えない。
またその適性数も個人差があるようで、1つも使えない者も居れば4つ全て使える者もいる。
逆に補助魔法は皆が何かしら使えるらしい。
補助魔法とは硬化や熱、明かりなどがあるらしいがその全ては把握されていない。
把握されていないと言うのは、ドンドンと新しいものが出てくるので把握が追いつかないという事のようだ。
補助魔法はなんというか、生活を楽にする魔法の事でこうだったらいいなが叶った物と考えられている。
だたなんでも思い通りになる訳ではない。
必要なのはイメージと魔力。
イメージが出来なければ魔法を発動する事が出来ないし、魔力が足りないと不発に終わる。
なので明かりを点けたい、などはほとんどの人がイメージも出来るし魔力の消費も少ないので出来る人が多い。
逆に空を飛びたい、などはイメージする者は多いが魔力の消費が大きすぎる為、実現出来てる者は居ないらしい。
人によって魔力量はバラつきがあるようで、同じ魔法でも出来る出来ないは出てくるようだ。
この小屋の周りに掛けられている、状態保存や人払いもこの補助魔法だ。
また補助魔法と四大魔法を組み合わせる事によって、より強力な魔法になる。
水魔法に硬化を合わせるとウォーターカッターになったり、冷気を込めると氷魔法になったり。
四大魔法同士の組み合わせも出来るらしく、水魔法と風魔法で雷になったり火魔法と土魔法を組み合わせそれに熱を加えるとマグマになるといった感じだ。
発想と組み合わせ次第で、魔法の幅は広がる。
う〜ん...組み合わせと言われてもイマイチわからない。
そもそもどこで組み合わせたら良いのかもわからない。
「最初からそれをイメージしちゃダメなのかな?」
私は小屋の地下にある、体育館のような所で1人呟いた。
そうここは小百合の遺体の眠る部屋の、隣の部屋だ。
小百合の魔法の本に書かれていたが、ここは魔法を練習する為に用意した場所らしい。
壁や床などには強化魔法が掛かっているので、簡単には壊れないから安心して練習していいと書いてあった。
確かに森の中で火魔法なんか使ったら、大惨事を招く所だった。
水と風を組み合わせて雷になるのなら、最初から雷をイメージして魔法を発動させてはどうか。
私は雷をイメージしながら魔法を発動させた。
掌にバチバチと電気を帯びた球が出来る。
やはり最初からのイメージでも雷になった。
私には魔法を直接教えてくれる人が居ないが、小百合にはノーラがいた。
おそらく小百合の本に書いてあった魔法は、ノーラから教えてもらった事が書かれていたのだろう。
ノーラに教わりながらの小百合には理解出来た仕組みかも知れないが、私はそれを文字だけでは理解出来なかった。
数学の式が間違ってるけど、答えが合ってるの状況だろう。
だが魔法は上手くいったし、私にはこのやり方でいいように思えた。
因みに魔法の詠唱に関しては各自自由との事だった。
技名を口に出した方がイメージしやすい人はそうするし、必要ない人は何もしない。
技名に関しても決まりは特に無く、同じ技でも人それぞれ呼び方は違うようだ。
私はどうするか。
特に詠唱の必要性も感じるられないので、そのままだと思う。
余程威力に差があったりした場合は考えるが、いちいち口にするのも恥ずかしいので出来れば詠唱無しで落ち着きたい所である。
そして小百合の魔法の本には私が一番知りたかった、食料についても書かれていたが。
四大魔法と補助魔法とは違う括りで聖魔法と召喚魔法が存在するらしい。
どちらも高度な魔法なので、使用者は限られているようだ。
召喚魔法とは私達が巻き込まれたアレの事だろう。
本にも聖女召喚に関して書かれていた。
聖魔法とは治癒魔法と浄化魔法の二つ指す。
この聖魔法は召喚魔法より希少で、小百合は使えたがノーラには使えなかったようだ。
小百合曰く、治癒魔法は再生、増殖、排除から成り立つ。
病原菌や毒などの排除。
傷口などの再生。
血液不足を補う増殖。
私が回復魔法を使えるかがまだ不明だが、これも組み合わせを考えながらよりも治れ!みたいなイメージの方ができそうな気がする。
だが、今重要なのはそこではない。
食料である。
小百合はその治癒魔法の一部、増殖を使って食料を増やしていたようだ。
分子レベルまで分解して、それを複数に増やし構築...とか書かれていたが、用は増えればいいのである。
私は台所で米に手をかざし、増えるイメージを頭に浮かべ魔法を発動する。
すると米は下から湧き出たかの様に量を増やした。
どうやら私にも『増殖』は使えるらしい。
今のところ病気も怪我もないのでちゃんと治癒魔法として使えるかは不明だが、これで食料問題は解決した。
この小屋で1人ひっそりと生きていく最低条件だった為、心から安心した。
ついでに言うとこの米は小百合が日本から持って来たものだ。
小百合は買い物帰りに召喚された様でその時たまたま米を買っていて、それを増やして食べていたらしい。
醤油や味噌、シャンプーやトリートメントの消耗品をまとめ買いしたタイミングだった為、それらの品も揃っていてここでの生活に困らなかったと書いてあった。
小百合様様である。
私もその恩恵にあずかり生活させて貰おう。




