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王子と呼ばれた女子高生

初投稿です。

文才も大してない素人ですが、暖かい目で読んで頂けると有り難いです。


「見て!王子だよ!」

「はぁ...尊い。」

「朝から王子に会えるなんて、今日最高!」


学校の校門をくぐると聞こえてくる女の子達の声。

ザワつく女の子達の視線がが自分に集まるのがわかる。

でも話掛けてくる子は居ない。

皆んな遠巻きに見るだけで頬を赤らめコソコソと自分の事を言っている。


ここ桜雅女子高等学校ではいつもの光景だ。

そうここは桜雅‘女子高等学校‘なのだ。


女の子にしては少し高めな身長170㎝

親からの遺伝のシャープな顎

中性的なやや低めの声

夜の闇を落としたかのような真っ黒なショートヘア


そんな容姿や声の所為で王子なんて呼ばれているが私、桐生(きりゅう) 咲紅(さく)は女子高生だ。


身長が伸びてからは女の子扱いされる事も少なくなってしまった。

男女問わずに、だ。

女子からは遠巻きに憧れられ、男子からは嫉妬の目を向けられる事が多い。

中学の時は嫉妬する男子によく絡まれ、大変な思いをしたので高校は女子校にした。

だが高校に入学してすぐに、階段から落ちそうになった女の子を支えて助けた結果なぜか遠巻きに憧れられる様になってしまった。

なにやら自分の知らないところで協定が結ばれたらしく、特定の人物が親しくすることは禁止らしい。


そんな訳で、自分は寂しい高校生活を送っている。





学校には親しい友達がいない。

しかし同じ趣味を持つ友人になら親しい人はいる。

自分と同じコスプレイヤーにはちゃんと親しい友達がいるのだ。


今度のイベントでも、人気アニメのキャラクターで合わせる予定だ。

私が騎士で友達が令嬢。

どちらも主人公でないところが自分達らしいと思った。

コスプレをする時も、自分は男装する事が多い。

自分が扮しやすいキャラクターと考えると、どうしても男装を選んでしまう事が多かった。

それでもやはり、いつか...機会があれば女の子のキャラクターもやりたい。

そう思いつつも実際に女の子のキャラクターに扮する勇気がなかった。

可愛く、キレイな自分の大好きなキャラクターに憧れ衣装も用意した。

でも友達のキラキラふわふわしたコスプレを見ると、自分に似合うとは思えなくて着る事が出来ない。


そんな話を友達にしたら、自分達だけでコスプレ会をしようと言われた。


「せっかく衣装を用意したのにもったいない!他の人に見せるのが嫌なら、自分達だけでコスプレを楽しもう!」


そう言ってもらい、友人宅でコスプレ会をする事になった。

コスプレ会と言っても友達と二人だけだし、どちらかというと衣装合わせに近いと思う。

でも私はとてもドキドキした。

学校では王子と呼ばれ、コスプレをするのも男装ばかりだったので人前で女の子の格好をするのが楽しみだった。




友人宅へ泊まりに行く前日。

キャリーバッグへ衣装やメイク道具などを詰めていく。

コスプレ会と言われたので、衣装を何着か用意した。

その中には今度のイベントで着る予定の騎士の衣装もある。


最終確認でもう一度着ておこう。

私は騎士の衣装を身に着けると、鏡の前に立った。

...なんと言うか、自分で言うのもなんだが学校で王子と言われるのが納得できてしまう。

はぁ、と息をつき着替えよう。

そう思った時だった。


足下に光る点が現れたのだ。

その点はどんどん広がり、やがて形を作ってゆく。

魔法陣だ。

ゲームやアニメ、漫画で見たことがあるその形に危機を覚える。

ここから逃げないと!

頭ではわかっているのに、足が全く動かない。

正確には足が床に張り付いて動かせない。

力を入れているはずなのに、足を床から離す事が出来なかった。

声を出す事も出来ない。

全身の動きを封じられている様だった。

なんとかしないと!

そう思っている内に、恐らく魔法陣が完成したのだろう。

一層強い光を放ったかと思うと、視界は真っ暗になった。

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