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ワールドロード  作者: オメガ
一章・I trust you forever
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第二の遺跡・前編

 足止めを食らってから、どれ程時間が経ったのだろうか。何となく気になった自分は鞄からフュージョン・フォンを取り出し、戦闘記録時間と現在時刻を調べる。戦闘に十五分、終わってからの移動で三十分、合計四十五分……か。

 通常だと合流するのは難しいな。仕方ない、こう言う時に使ってこそ文明の機器。フュージョン・フォンの探知機能を使おう。と言っても、音波で探知するソナー式なんだがな。さぁ~って、どうかね。


「現在位置は蜥蜴人(リザードマン)の集落・ハイルとスカイマウンテンの中間。あぁ、詠土弥が案内してくれてた辺りか」


(どうする。一度ハイルに戻ってみるか? もしかしたら静久が待ってるかもよ)


「そうだな。情報集めに戻るの、もぉ~!?」


 バッテリーの消耗も考え、鞄に戻しハイルへ向かおうとした矢先、何やら爆発音が響いて来た。と思ったら突然土砂崩れが起き、飲み込まれた上に流されてしまった。幸い……と言っていいのか。ゼロとルシファーが魔力障壁で包んでくれた為、即死だけは免れた。


「はぁ、はぁ……ふぅ。窒息死するかと思ったぁ……」


(恐ラク話デ聞イタ通リ、人間達ガ爆薬ヲ使ッテ採掘シテタンダロウ)


 墓場から蘇るゾンビの如く、土砂の中から死に物狂いで這い出る事に成功。失敗してたら窒息死は確実だったな……体に付いた砂や泥を払いつつ、シュッツと静久が言ってた内容を身を以て思い出した。よりにもよってこんなタイミングかよ……全く。

 不満を心の中でぼやきながら辺りを見渡すも、まだ一度も来た事の無い場所へ流されたらしい。土砂の上を歩いていると、硬い感触があり掘り返してみるとルナ鉱石がチラホラと出て来た。不幸中の幸い、と言うべきか。せめてもの慰めと思うべきか。

 取り敢えず、必要なので可能な限り採取。携帯用の鞄故に鉱石だけでパンパン。入り切らなくなったフュージョン・フォンを片手に、探索を再開。現在位置は……蜥蜴人(リザードマン)の集落・ハイルより南西側。海が近い浜辺のようだ。


「海……海かぁ。もう一度、話せるだろうか?」


(見てみろよ、宿主様。古い遺跡だぜ)


「森の神殿では片隅にあったけど、今回もまたボロっちいなぁ」


(フム。ドウヤラ、俺達ヲ招キ入レヨウトシテイルラシイ。ドウスル、王?)


 暗い海を眺め、波の音を聞いて君ともう一度話し合えないか。それだけを考えていた。すると砂浜の中から、突然超古代遺跡が現れた。まるで自分の予定外な来訪すらも、招き入れてくれるかの様に厳重そうな門を自ら開いた。

 どうするか訊かれるも、入る以外に選択肢は残念ながら無い。動画モードで撮影しつつ、奥へ奥へと案内されてる感は否めないが、進んで行く。色白な石柱が左右に立て並べられている先に、森の神殿でも見たカプセルを発見した。


「適合者の魔力確認完了。タイムカプセル、起動。ホログラムを投影します」


(今回もあの爺が出て来るのか?)


 タイムカプセルが自ら起動すると同時に、蓋と思わしき部分が上昇。今回も一定の高さで止まり、青白い立体映像のご老人が投影され、此方を確認するや否や話し掛けてきた。其処までは以前と一緒だったので、使い回しかと思いきや。


「ようこそ、西暦四千十六年へ。ワシはDr.トラスト。オメガゼロ・エックス。君達が調律者を追い掛けて来た後の世界だ」


「西暦が……自分達の認識と全然違う?!」


 話し始めた内容は今現在の西暦が、自分達の認識していた年代より遡っている事だった。初めて立ち寄った遺跡は子供時代、即ち西暦七千十九年。今居る第二の遺跡が当時よりも随分と昔。その頃にヴォール王国が在ったかどうかは不明だが、知らないと言っていたそうだから、無いのだろう。


「知っているかも知れんが此処、トリスティス大陸は魔神王軍の支配下。更には背乗(はいの)りと言う行為も行われている」


「はい……のり?」


(早イ話、犯罪者ヤ他国ノ工作スパイ。コイツ等ガ現地住民ノ戸籍、身分ヲ乗ッ取リ成リ済マス事ヲ言ウ警察用語ダ)


 ほぼ確実だった魔神王の支配下と言う情報は確固たるモノになった。と同時に、聞き覚えの無い単語が出てきた。背乗(はいの)り……泥棒が変装して一時的に成り済ます。の更に上を行く行為だと、ルシファーが教えてくれた。自然界にも擬態をする生物はいる。

 けれどコレは成り済ました相手は抹殺されるか、拉致され母国語を背乗(はいの)りするスパイに教える教師にされるらしい。待てよ……そうなるとアナメ、和人さん、蓮華さんの三人を会わせた時の反応。静久の危惧は正しかったと見るべきか。


「ナイトメアゼノシリーズ。奴等はゲル状の生命体で生物・無機物に取り付き全てをコピー、更に成長する。当然、擬態元が生物なら殺し成り変わる」


「成る程。それで死体や廃棄物に取り付いて形を持った訳か」


(ラプターと戦った時がそうだったもんな)


 ナイトメアゼノシリーズも、背乗(はいの)り紛いをやるのか。しかも姿形だけじゃなく記憶や力までをも鮮明に、確実にコピーし増殖すると言う。ベーゼレブルや四天王が面倒臭い相手と認識していたが、考えを改める必要がありそうだ。


「困った事に赤い光が闇の封印に使った力へ取り付き、予想以上の成長を遂げている。いずれ君達の前にも、特殊なナイトメアゼノシリーズが現れる事だろう」


(うっへぇ。そりゃ面倒臭い相手だな)


(トハ言エ、敵対スルノデアレバ、倒スシカアルマイ)


「長話も此処までにしよう。今回はオメガゼロ・エックス、君に三つの力を与えよう。カプセルに入りたまえ」


 原初の闇を封印した赤い光。その封印に取り付き、力を奪った特殊なナイトメアゼノシリーズ。恐らく確実に、自分達の前に現れ脅威となるだろう。面倒臭い相手だが、倒すしかない。話を切り上げ、カプセルへ入るよう促され、足を踏み入れる。

 森の神殿の時同様、データが身体中に……正確には腕と脚を集中的に入り込んでくる。パソコンで言えば、データ更新に近い行為だと思う。それが終わりカプセルから離れると、与えられた力が自然と頭に浮かぶ。が……使えるのは二つだけらしい。


「与えた力はパワーグリップ、ハイジャンプの二つ。今までよりずっと高く離れた場所へ跳べ、片手でも自身を支えれるだろう。そして三つ目だが、残念ながらデータは有るが現物が無い為、データだけ送らせて貰った」


「送らせて貰った。って……」


(宿主様。携帯の方にメールが届いてるぜ。多分、爺の言ってたデータだろうな)


 両腕、両足に血管の様な線が浮き出たと思ったら、何事も無かったかの如く消えた。試しに腕へ力を込めてみると再び浮き出たので、任意で使えるっぽい。使用時は浮き出る訳か……成る程、パワーグリップとハイジャンプ。コイツらはパワードスーツが無い状態でも使えるのが有り難い。

 もしかしたら遠回りしていた蜥蜴人(リザードマン)の集落・ハイル、あの辺りに在る進路を邪魔していた高い壁も飛び越えれるかも知れない。後で跳躍力を確かめておこう。鞄からフュージョン・フォンを取り出し、受信したであろうデータを見てみる。何かの設計図だろうか?

 フォースガジェット、と言う左腕に装備したり武器としても使えるアイテムらしい。コレは寧とマキに送ろう。あの二人ならきっと喜んで開発するだろう。試作品の動作確認は自分が担当になるだろうけどな。頼むから爆発とかしないでくれよ……振りじゃなくて本当に。


「オメガゼロ・エックス。君は本来の強さを取り戻さなければならない。与えられた使命を果たすにしても」


(切れちまった。で、どうするよ。宿主様)


「どうするもこうするも。データを二人に送って、遺跡を調べてから一度ハイルに戻る」


 まだ何か話しそうだったが、途中でブッツリとホログラムが切れてしまった。何はともあれ有言実行。後々に回して紛失・奪われるフラグ回収は厄介だし防ぎたいので、サッサとあの二人に受け取ったデータと戦闘記録を送信。

 後はフュージョン・フォンを片手に遺跡を探索しつつ、ハイルへ戻る道を探す。アナメやウズナちゃんと合流したいが、帰り道すら判らん現状ではどうしようもない。そもそも、連絡手段が相手側に無いからな。自分だけ持ってても意味がない。

 魔物の気配は全く無い。ゴブリン程度なら住み着いてそうなんだが。いや、実際に居ると面倒臭いから逆に迷惑か。探索していると、赤・青・黄・紫・藍・緑・橙の計七色の宝石をチラホラ見付け、拾った。

 正直、鞄もコートのポケットもパンパンで動くと邪魔に思う。あるあるかも知れないが、ゲームで無数の道具が入る冒険袋ってさ。四次元にでも通じてるんだろうか? こう言う所持品が多い時は、特に羨ましく思うよ。ゲームと現実は違うと言ってしまえば、そうなんだけどさ。


(多分だが拾った宝石、ルビーとかサファイアだよな? この時代での呼び方は知らんけど)


(ダロウナ。シカシ、何故コノ七色ナンダ? 並ビモ虹ヲ思ワセル形ダッタシ)


「すまん。電話だ。もしも──」


 ゼロとルシファーが珍しく話が合ってる。と思っていたら……当然の如く着信が鳴る。恐る恐る電話のマークを押して通話状態になったら、何かを察して二人は静まり込んだ。そのまま耳に当てて話をする。


『どうするのコレ!! 厳選して造った第三装甲はスクラップ同然。オマケにパワードスーツはオーバーヒート状態!』


 怒られる事は判っていたものの。マキに予想以上の音量で怒られ、思わず携帯電話を耳から遠ざけてしまった。自業自得と言ってしまえばそうなんだけどな。今もちょっと、耳鳴りがしてる……後、耳が痛い。ボリュームを下げてスピーカーモードに切り替えよう。


『落ち着いて、マキちゃん。丁度欲しかった情報もくれたんだから、先ずは此方を仕上げよう』


『……そうだね。でも試作品の第三装甲、バラッバラだよ? 貴重な戦闘情報は手に入ったけど』


『あはは……貴紀君が戦う相手って私達の予想を上回るのが多いから、半ば諦めてるの』


「寧の発明品には毎度助けられてる。それから、色々と情報を仕入れたから今の内に話しておきたい」


 怒るマキを宥め、此方を理解して話を進めてくれる寧には頭が上がらん。後々バッテリー切れや通信妨害などの事態があるかも知れん為、情報共有を行う。敵対勢力や西暦、トリスティス大陸で見聞きした出来事全て。現実離れした報告にも、二人は静かに聞いてくれた。

 忘れてしまった、説明不足な部分はゼロとルシファーがフォローしてくれたお陰で、殆どは伝えられた。それからアナメが話してくれた強化・改造案や鉱石の話も伝えると、食い入る様に根掘り葉掘り聞かれた事は言うまでもない。


『Dr.トラストって人が言う通りならその大陸、滅茶苦茶ヤバい場所だよ』


「マキ、それはどう言う意味だ?」


『敵対勢力が原住民と入れ替わってる、混じってる可能性が極めて高い。三騎士とかが普通に闊歩しているかも』


 言われて今更ながら気付いた。そうだ。自分が此処へ来る前から背乗りが起きていた、と言う事は幹部クラスや尖兵が原住民と入れ替わっていてもおかしくない。寧ろ自然な事だ。クッソ、そうなると此処で会った連中全員が怪しく思えてきた。

 行方不明から突然現れた大山アナメ。その両親であり娘との再会にいい顔をしなかった大山夫妻。蜥蜴人(リザードマン)の中にも尖兵がいるかも……ウズナちゃんが持つ、自らをアパテと名乗る小さな宝箱の存在。ナイア姉がメールに書いていた内容はコレを知ってか!


『貴紀君。今更だろうけど、もしかしたら疑心暗鬼させる事が相手側の狙いかも』


「……種族間の信頼関係を無くし、負の感情が大陸を覆い尽くす時、魔人が仕えし魔王が復活する」


『えっ?』


「いや、ただの独り言だ。忘れてくれ」


 ふと、ウズナちゃんの小説を思い出した。二人の魔人、輝く黒き宝石、信頼関係の破壊……偶然の一致で済ませるには余りにも不自然過ぎる程ピッタリ言い当てた文章。彼女が持つ『発現させる能力』が起こす出来事、と見るべきか?

 駄目だ。判断するには材料が少な過ぎる。発言の信憑性を得たいところだが、それを確かめる方法が無い。自分には(まな)の様な嘘を見抜く耳は持っていない、大山一家を信じ切る程の信頼も無い。どうするどうする? 何を信じて誰を疑うべきだ?


「無駄に悩む必要なんて無いですよ~。大陸ごとまるっと全滅させれば万事解決!」


「お前が寄越したメールが悩んでる原因の一つだボケ!!」


「あべし!?」


 何時の間に背後へ忍び寄っていたのかは不明だが、オフ状態のナイア姉……いや、真夜が耳元でコッソリ囁きやがった。思考が掻き乱された苛立ちと『普段のやり取り』感覚で思わず、左手。それも全力のグーパンチで顔面を殴り飛ばした。

 普通なら女子相手に手はなかなか出さない。と言うか出し辛い。それでも真夜とは長い付き合いかつ、人様の体内に危険極まりない代物を内緒で埋め込んだ張本人と言う事もあり、全力でぶつかっている。

 今回の仕事先である姿、アイ・アインスや副王に指示を受けて行動するナイア姉の姿ではキリッと真面目でしっかり者なんだけどなぁ。オフの状態、制服女子高生の姿ではほぼ完全に反転してボケ倒して遊んでいる事が多い。

 時折本気で百面相か。って思うけど、改めて考えるとコイツ、千の貌を持つから百面どころのレベルじゃない。オーバーアクションを取るが正直、効いてるかどうかも判らん。今みたいにツッコミを入れても、振り向けば何気ない顔でまたボケ倒すからな。






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