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ワールドロード  作者: オメガ
序章・our first step
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汚染

(死ぬの……かぁぁっ!?)


 飲み込まれ沈み落ち行く先は、黒と赤の線が螺旋階段の如く渦巻く魔力泥の中。意識はハッキリと有り、呼吸も何の問題も無く出来る。

 刺された傷口に刃物は無く、傷口から魔力泥が体内へ流れ込んでくる。死を受け入れようと目蓋を閉じると。

 身体中に言葉へするには、何とも表現し辛い激痛が走った。

 現状判り、表現出来る事はただ一つ……『何かが頭の中や心を徐々に、しかし確実に汚染している事』、ただそれだけ。


「何故、奴らを殺さない?」


「自分は……もう、命を奪いたくない」


 何処まで沈むのか――身体中を走る激痛は、頭と心を蝕む感覚はいつまで続くのか。

「死ぬのであれば、さっさと殺して欲しい」そんな望みを胸に抱き耐えていると背後……自身よりも下の方から、誰かが話し掛けてきた。

 振り返らず、目蓋を開き確認もせぬまま返答する。「フッ。そんな血塗れの姿で、楽しそうな顔で言っても、説得力は無いぞ」

 自身に似た声の主に言われ、目蓋を開き自身の姿や手を言われる通り、見てみる。確かに衣服や四肢は返り血でべっとり。

 恐る恐る、口元へ手を当ててみると……笑っていた。突き付けられた事実に、自然と目から涙が溢れ、頬を伝う。


「俺が集めた数多の呪い。その身で受け入れろ」


 背後から左肩を掴まれ、自身を視認させようと振り向かせた存在の姿は――――紛れもない。黒衣に身を包んだ、白髪紅眼の自分自身であった。

「あぁ、やっぱり。でも、自分は……」育ての親である義姉との生活、出来事を全て思い返し、自らの行いを悔いつつある事を願う。

 一体化すべく重なったもう一人の自身を受け入れる。その存在の意味と理由がより一層心を黒く染め上げ、穢れた魔力を全て身に取り込んだ。





 目が覚めた其処は、人ひとり位は収納出来そうな、長方形の箱の中。手触りから鉄製と判明。だが逃走と隠伏を繰り返した心身の疲労は限界へ到達。

 痛む体をゆっくりと起こす。気を緩めば、今にも眠ってしまう重い目蓋。近付く足音が聞こえると目は見開き、目を閉じ息を殺して何度も願う。

 見付かりませんようにと祈る姿、思考は惨めなまでの生への執着心。祈りは通じたのか、遠ざかって行く重々しい足音。


(た、助かったぁぁ……早く、早く移動しないと)


 重量級の甲冑が歩く様な足音が遠ざかり、蓋を少しだけ開けて周りを確認。誰も居ない事を確かめ、箱の外へ出て隠れていた箱を見ると、大型のゴミ箱だった。


「此処ニ、隠レテ居タ、ノカ」


「そんなっ。待ち伏せ?!」


 隠れていたゴミ箱の裏から不気味な男性の声が聞こえ、慌てて振り返れば、人間の骸骨姿をした剣士がブロック塀の上で立っていた。


「やっちまいな。(クノッヘン)剣士(フェッター)!」


「っ!? 頭が……胸の奥から、何かがっ」


「ココデ、死ヌガ、良イ」


 一方的な狩りとも言える行為。遂に追い詰めた事もあり、民家の屋根上へ座って見ていた謎の人物は。

 興奮して立ち上がり、骨の剣士へ呼び掛け仕留める様命令を下す。

 名前を聞くと貴紀は突発的な激しい頭痛と胸の痛みに襲われ、骨剣士は刃こぼれした剣を振り上げ、勢い良く振り下ろした。


「よっしゃ……うんん?」


「キサ、マ」


 殺った。それを疑わず立ち去ろうとした時、無様で心地よい断末魔の声が聞こえず、不思議に思い振り返ってみると。

 ボロい剣は標的へ届いてはおらず、刃こぼれの目立つ刀身を俯いたまま、左手のみで鷲掴む様に受け止めていた。


「キサ、マ」


「…………」


 やや途切れ途切れな口調で言い放てば、カタカタッと小刻みに頭蓋骨が上下へ揺れ、その行為を侮辱するかの如く笑い。

「ダガ、虚シイナ。我ラ魔族ト人間トデハ、力比ベニモナラン!」自信満々に言い切り、有言実行。

 直ぐ様剣を持つ右手に紫の魔力を込め、体も前へ倒れ込む様に体重と鎧等の防具分、重量を加え先程よりもグイッと押し込む。


「それが……どうした」


 が、全く押し込めない。ガシャンガシャンと揺れる防具の音を鳴らし、全身全霊で押し込んでみるも微動だにせず、傷一つ付かない。

 自らの発言通り……力比べにもならない。意地で押し込もうとする中。逆に掴んだ剣諸共引き寄せられ、貴紀は右手で頭蓋骨を鷲掴む。

 パキッ……小さく、何かが欠けた音がした時。音が何かを理解した骨剣士は「ヤ、止メテクレ……」先程と変わって弱気な声で命乞いじみた事を言い出す。

 無様な姿に呆れ果て「くだらん」と言い、手放せば「ス、スマナカッタ。助カッタ……」見逃してくれた事へ感謝し、土下座をして謝る。

 少し頭を上げれば、貴紀は背を向けて歩いており、頭蓋骨の空洞にある赤い光る眼がそれを見た瞬間。

 静かに体を起こし、無防備な背中へ「マンマト騙サレヤガッテ!」叫び突き出す。


「あぁ、全く同感だ」


「エッ……?」


 剣の切っ先は無防備な背中へは届いてはおらず、自身の視界が左右へ分かれて行く。両手でしっかりと顔を挟めば、黒く細長い布が素早く動いた直後。

「一体……何、ガ」続きの言葉を最後まで言わせぬ内に、骨剣士の全身はバラバラに砕けてしまった。


「えぇい、無駄な抵抗を。継ぎ接ぎの(フリッケライ・)巨人(リーゼ)監視人蜘蛛(ヴァッヘシュピンネ)!」


 呼び声に応じ、眼球を宿した二体の魔物は受けた指示通りに襲い迫ってくる。それを見ても眉一つ動かさず、無表情のまま。

 一旦右膝を上げて強くアスファルトを踏みつければ、赤黒い魔力が足元から溢れ出しては勢い良く、間欠泉の様に噴き出す。


「奴は其処だ。集え、囲め!」


 数秒間姿が見えなくなったと思いきや、青い長袖長ズボンの学生服から一新。ロングブーツを履き、紅い無数の線が描かれた黒い長ズボンと長袖へと変化。

 その上に青い宝石が一つ埋め込まれた、白銀の西洋胸鎧と籠手を装備。赤色で燃える焔を描いた三眼の顔を覆う黒い仮面を被り。

 綺麗な黒髪は白くなり、首から顔へと紅い線が血管の様に伸びている。

 謎の人物が呼び掛けると蜥蜴人(リザードマン)や小鬼、先程の骨剣士達が集い、囲むその数……およそ百体。


「幾ら強くなろうとも、力は有限。数で責めて責めて、骨まで砕いてしまえ!」


「確かに、力は有限だ。故に……想像に創造を重ね、現実を凌駕し、顕現せよ」


 先程まで逃げ隠れ、道具と知恵で切り抜けていた男が何故、魔猪や小鬼を越える実力者の骨剣士を真っ向から倒せたのか。

 それは不明だが、如何なる強者も命有る限り、疲労し疲弊する点を突く為。

 囲ませた魔物と魔族の数で攻め、倒すべく大声で指示を出す。変化した貴紀も敵の戦略に賛同し、認める。

 右手を前方へ向けると、地面を突き破り現れ浮かぶソレは――黒く円錐形で柄とは別に取っ手が有り、紅い線が無数にある槍らしき得物。


「な……ぷっ。アハハハハッ! この数相手に槍とは」


 武器を召喚した事へは驚いたものの。この世界での槍の存在位置はかなり低く、集団相手や魔物・魔族相手には全く役に立たないハズレ武器。

 愚考に愚行を重ねる愚かな選択を笑い終えた後「殺れ、あの男女同様、道具にしてくれるわ」

 指示に従い、魔物と魔族の混合集団が囲んだ一人を殺害すべく、武器を手に各々駆け込む。


「コレが槍だと? フッ。魔力、放出」


「なんだ……奴の槍が、剣に!?」


「き、来――」


 取っ手を掴み、右手で柄を引き抜けばソレは槍ではなく……白銀の刀身に描かれた紅い文字が目立つ剣。

 魔力放出の発言に応じてか。剣から赤黒い稲妻を思わせる魔力が放たれ、その場で素早く一回転。驚く蜥蜴人、周囲へ放射し迫り来る魔力は、断末魔すら許さず。

 百体の混合集団と民家を瞬く間に消し飛ばす。残ったモノは……赤く溶解し今なお沸騰した水の如く泡立つ地面と、余波を受け半分溶解した民家。高所へ逃れた蜘蛛と巨人とナイトメア、後続の小鬼と蜥蜴人だけ。


「だ、第一部隊……全滅しました」


「だぁぁぁっ、何をやってるんだい!」


「む……力を使い過ぎたか」


「もういい、全員でやっちまうんだよ!」


 圧倒的火力を前に、溶解した第一波と部隊。予想外過ぎる現状に怒り、手下小鬼の頭を木杖で何度も叩き指示を出す。

 迫り来る無数の大小様々な足音。距離的にまだ遠いが、胸鎧に付いた宝石が魔力量を点滅して表示。消費が激しい先程のは控えるべきだと判断。

 時間を掛けては絶対に殺されてしまう。しかし全員を倒すには体力が足りず、脱出経路の無い町。


(先ずは……あの蜘蛛からだ)


 高さ五メートルはある蜘蛛へ駆け出す。此方の足音に気付き、振り返った所で大きな尻に反して、下げ気味な小さい頭へ飛び乗る。

 縦長い胴体を走り、背中へ駆け寄る。其処には此方を見て怯え泳ぐ眼があった。振り落とそうと、死に物狂いで暴れる蜘蛛。

 剣を槍状の鞘へ納めれば、柄を両手で強く握り締め、力を込めて先端が尖った鞘を眼に深々と突き刺す。

 黒い液体が刺し口から溢れ出て、少しの間もがき苦しんでいたが、途中で力尽き倒れ伏した後。


「その手はくわん」


「――!?」


 トドメと言わんばかりに右足で柄を力強く踏みつけ、死亡確認をすればやはりと言うか、最後の力を振り絞りじゃじゃ馬さながら。

 じたばたと動き回り旋回しては徐々に弱って行き……力無く地面へ倒れ込み、完全に死んだ。


「おいおい、嘘だろ。あの人間、中級魔族を倒しやがった」


「さっさと消し飛ばして……」


「――!!」


 倒された事実に、謎の人物はただただ唖然。

 残り時間の内に倒してしまうべく、駆け出す時――宝石の点滅が急激に早まり、色と輝きを失い灰色へ。

 すると装備していた武具は砕け落ち、髪色や衣服、靴も黒髪と青い学生服、普段履く白いシューズへと戻ってしまった。

 双方驚き、目を見開くも、その後の表情は全くの真逆。貴紀は突然の事とは言え、意識が戻ると魔物と魔族が三十もいる光景に絶望し。

 謎の人物の赤い光の単眼はニヤリと笑い、魔物・魔族達も絶好のチャンスと笑う。今なら殺せる、あの強大な力は終わったと理解して。


「やれ、リーゼ。徹底的に殺しちまいな」


「っ……! ど、どう言う事だよ、コレ……」


 何が起きたのか全く判らない中、唯一理解し即座に判断した事は二つ。一つは今いるこの場所から逃げる事。もう一つは……体を内側から襲う熱い激痛。

 空から降り注ぐ右拳を、燃え盛る町の火が濃い影として教えてくれた為。慌てて蜘蛛の死体から降りれば、直撃を受けた蜘蛛は砕け散る。

 宙吊りの一つ眼魔族を見上げるも、対抗手段の無さに逃げ出し、息を切らしながら、生きる為の思考を巡らす。


「逃がすな、追え!」


「今度はっ、蜥蜴人と小鬼共か」


 降り注ぐ巨人の拳から逃げ回り、追い付いて来た蜥蜴人や小鬼達を、逆に落ちてくる巨人の拳へ巻き込み、倒して貰う。

 蜥蜴人の死体からは鉄製の手甲、小鬼共からは棍棒や弓矢、剣類を拾い集める。

 左手に装備した手甲で相手の武器を受け、押されたり尻餅をつきつつも、武器で反撃しては道を切り開いて行く。

 剣は三体も切れば血脂で汚れ、斬れなくなると放り捨て、倒した相手の死体や手甲で殴り怯ませては奪い、喉や脳天を狙い振るう。


「蜥蜴人は刃が通り難い、小鬼共は急所を的確に攻め、一撃で……!」


「よぉぉっし」


 何度か繰り返す内に、蜥蜴人は下手な刀剣類では鱗を切り裂けず、隙を生むと知る。小鬼は蜥蜴人より低いものの、しぶとい生命を持つ。

 多くが待ち伏せを好み、奪った武器を使う内に、自作らしき毒を持つ個体の存在もいると知る。

 頭や喉を的確に攻める中、遂に巨人の手に数多い魔物達と共に捕まり、握ったまま持ち上げられてしまった。


「どうだい。奴は握り潰せているかい?」


「……!?!?」


 言われた通り確認すべく、手を開いて見てみるも。小鬼や蜥蜴人に砕けた骸骨。

 何処にも貴紀の姿は見えず、手をより眼に近付けて詳しく見ていると―――小さい何が眼に刺さった。

 余りの激痛に暴れ狂い、掴んだモノ全てを地上に捨て両手で眼を覆う。


「どうしたんだい、継ぎ接ぎの(フリッケライ・)巨人(リーゼ)。リーゼ!?」


「これで……はぁはぁ、目玉野郎、撃破……だ」


 巨人は悶え苦しみ激しく暴れた後、謎の人物の心配する声をよそに、糸が切れた人形同様宙吊り状態へとなり、眼から黒い液体を長して息絶えた。

 死体の山から血塗れになりつつ出て来た貴紀は、先程敵に放った小鬼自作の猛毒付き黒緑色の矢を見て。

「これが、毒の恐ろしさ……」自然が持つ毒の恐ろしさ、毒蛇や毒蜂と言った毒を持つ生物の脅威を、崩れ落ちた巨人を前に、改めて痛感した。


「っ……でも、やっぱり、自分は!!」


 周りに散った魔物や魔族の痛々しい死体。その数々や壊れ燃え盛る町を見渡し、涙を流しながら俯く。

 自分は落ちこぼれじゃないと。そう証明する為に欲し、死ぬ思いで漸く得ていた戦う力と知恵、勇気。しかし……

「こんな破壊の知恵や力は要らない。自分が、俺が本当に欲しかった力や知恵は……求めた事は!!」

 本当に欲しかった、求めた、やりたい事は全く違う事だと心が叫び。内に秘めた感情が溢れ出ては、ソレを言葉として吐き出す。


「な、なんだ……この嫌な光は。ナイトメア、早く奴を仕留めろ!」


「ピポポポポッ」


 戦争被災地とも思える町の地面から、大小様々な無数の死体が転がる、凄惨な土地から優しく輝く、光の粒が溢れ出す。

 町や魔族や魔物化した人々を癒して行く。癒しと思えるが、謎の人物はこの光を酷く嫌い。

 唯一残った手駒へ指示を下し貴紀へ差し向け、一刻も早く終わらせようとする。


「こんな、心が辛く悲しい気持ちになる、嫌な事じゃ無いんだ!」


「ピポ――」


「コイツは不味い。さっさと避難するに限るよ」


 溢れ出る想いを、心の叫びを腹の底から声に出して叫んだ時。

 ゆっくりと浮かぶ光はその勢いを増し、間欠泉さながら一気に噴き上がり町を、空を包む。

 巻き込まれると理解した謎の人物は危険を察知して、早々と姿を消し逃げ出した。





「ん、んん~っ。あれ、此処は」


 眩しい日の光、吹き付ける風を寝転んだ体に受けて目を覚まし、体を起こすと其処は――


「森の、外? アレは夢、だったのかなぁ。あ、サクヤ、終焉。起きて起きて」


「うぅん~。何か、嫌な夢を見ていた気がするわね」


「あぁ。実家の事や、何処かの町で誰かと戦っていた夢を見ていた気分だ」


 飲めない水の調査で入った森の外。全員森の入口で倒れており、皆を揺すり起こせば、各々夢を見たと口を揃えて言う。

 夢の共通点は……実家関連の嫌な夢、何処かの町、誰かと戦った……の三点。

 恐る恐る、再び森へ入ってみても、薄暗い霧は無く気温も穏やか。何の変哲もない森となっていた。


「幻覚でも見ていたのかしら?」


「だが、何だろうな。心が、晴れ晴れとした気分だ」


 不思議な現象を体感した一行は、狐に化かされたと思うも。不快な感覚は一切なく。

 寧ろ心の迷いが晴れ、心地良い風を浴びた。そう思える二人は、話し合いながら夢の内容を思い出し、クスッと笑う。


「どうしたの? 突然笑い出して」


「いやぁな。夢で見たお前が、余りにも格好よくてな」


「そうそう。貴紀が自分より何倍も大きい魔族と果敢に戦ったり、魔物を倒してたもの」


「えっ……」


 笑い始めた二人に近付き理由を訊ね、話を聞くとその内容はほぼ全て、自身が見た内容と瓜二つ。

 最初は目も当てられない程の逃走から一転。力と知恵に加え勇気を持ち、硬い甲殻に身を包んだ蜘蛛や。

 暗雲に吊るされた黒い巨人、三種類の魔物と戦い見事勝利を勝ち取った夢だと話す二人。


「ま、何はともあれ。川の水も綺麗で飲めるようになっていたし。万々歳ね」


「だな。さて、隣町の機都・エントヴィッケルンに向かうぞ」


「自分達が居た町、古都だもんね。古い物や歴史を大切にするって言う」


 解決しようとしていた問題も済み、本来の目的地である機都・エントヴィッケルンへ向け歩き出す。


「あぁ、そうだ。機都に着いたら貴紀を夢で見た通りに鍛えてやろう」


「でも、自己防衛出来る程度にしましょう。じゃないと貴紀、泣いちゃうわ」


 機都へ着けば、基礎強化訓練が始まる。

 自分を気遣ってくれる気持ちが素直に嬉しい反面、あの森で見た夢は、本当に夢の出来事だったのか。

 それとも……現実の出来事かと不思議に思い振り返り森を見るも、何も変わらない。秘密を話そうと口を開けども、言葉は発せずまま、閉じる。


「あのお方の脅威となる者め。貴様が例の力を持つと言うならば、覚醒する前に、必ずや倒してやる」


 あのお方、例の力、覚醒。気になる単語を残しつつ、森の木々に隠れて三人と4匹を睨む。

 ローブを着被った謎の人物は、手に持った木製の杖を一行へ向け、復讐を誓うのであった。





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