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ワールドロード  作者: オメガ
最終章・racrimosa
378/383

brave heart

 『前回のあらすじ』 

 ファイナルフュージョンを遂げたエックスはサクヤに援護を任せ、相討った姿で魔神王に挑む。

 過去より進化したエックス。だが魔神王もまた、自身の子らを利用した能力複数能力で攻める。

 その厄介な能力とサクヤを狙った動きに、覚える能力・ペルソナで対抗。しかしその甲斐も虚しく。

 エックスは魔神王に破れてしまい、これが魔神王の遊戯であったと知り絶望するサクヤであった……



 目が覚め、天井を見て気付く。生前に住んでいたアパート(牢獄・鳥籠)の和室だ。布団から起き上がり。

 襖を開け、リビングへ移る。父親(復讐対象)が床に俯けで倒れており、背中に刺さった包丁を抜き取る。

 細く長い……柳刃包丁。死因はコレで背後から心臓を一突き。両手に違和感を感じ、眼を向ければ──

 血が乾燥し、凝血している。それを理解した途端、玄関から鍵を開ける音が鳴り大勢の警官隊が突入。

 突然警察官二人に組み伏せられ、両手を背後に回され手錠。更にはパトカーで連行され、牢屋へ。


「……最後に私の願いを叶えてくれるのかい?オメガゼロ・ワールドロード」


こんなモノ(父親殺害と死刑)が、貴殿の望みだと言うのか?」


「あぁ。私は諦めた。父親殺しや自殺、全ての願いを。お前の願う未来を破壊し尽くす為だけに」


 裁判所、死刑判決、死刑執行。天井から吊り下げられ、輪っかのある縄へ向かい、台へ登り。

 自ら縄に首を入れ、最後の時を待つ中。正面に現れる真っ黒な人の姿をした魔神王へ話し掛ける。

 これが望みか?と問われた為、肯定し、言葉を続ける。私は諦め続けて来た。理解される事や──

 父親殺し、自殺、欲しいモノや行きたかった場所に景色、食べてみたかった食材やその他諸々。

 お前が私から奪った。だから私はお前が望む未来を壊す。それが私の──ワールド(世界への)ロード(復讐)


「…………成る程。貴殿の道を喰らったが故に、我の天敵として再誕した訳か」


「巳年の蠍座を舐めるなよ?蛇は執念深く、怨みは死んでも尚忘れず、蠍は狩人(オリオン)すら殺す」


 何かを考える様に俯き、納得した風な口振りで話す魔神王。あぁ、そうだ。お前は最悪な選択を取った。

 知らぬ内に足下まで近付き、足首へ毒牙を突き刺す復讐者(アヴェンジャー)を。あの時(強制融合の時)から既に……

 お前の未来は決まっていた。私に理想を破壊し尽くされ、私と言う毒にもがき苦しむ結末と。


「改めて言おう。君の答えは間違ってる。が──君の理想を否定する気はない。そして……私の勝ちだ」


 伝えた直後。台は落とし穴の様に内蓋が開き、自重で首に縄が食い込む処で精神世界は途絶え──

 現実世界では数体の魔神王がエックスの体を貪る中。突如サクヤから見て左斜め上端に該当する部分。

 其処が大爆発し、爆煙の中から流星の如く飛び出す青い無数の光。流星達は一斉に軌道を変え。

 無造作に漂うエックスに群がる魔神王達へ。すると流星は青白い光を放ち、機械的に奴らを撃ち払う。


「あれは……元調律者のアルファとDT-0?!それに、量産型のρ(ロー)が沢山……」


「対象郡に命中。アルファ隊長、妹達(量産型)に次の指示を」


「俺と最新型・μ(ミュー)で貴紀の救助を続行。量産型のρ(ロー)は全機一斉に魔神王に攻撃して妨害を開始」


「「了解」」


 増援に駆け付けたアルファとディーテ達。桜花に仕える機械軍団の攻撃が読めず、慌てふためく中へ。

 ディーテ達が繰り出す青白い電磁砲の連射を受け、文字通り蜘蛛の子を散らす様に動き出す魔神王達。

 それもその筈。天敵を喰うとは、自ら猛毒を取り込むも同然。私の体内には……未知数のX抗体がある。

 魔力や血肉を喰らう対象を、DAN レベルで破壊するモノ。故に今、魔神王は能力が破壊されてる最中。


「新月様、ワタクシも歌いますわ!!上玉の為だけじゃない。世界へ響かせる歌を」


「っ……助かるわ、ムピテ。今しかない。歌姫たる私の歌を──マキナお願い!」


『音量音響設定マイク機能良し。サクヤ、いつでも行けるわ!』


 奴らは行動の最適化が出来ず、アルファ達の攻撃に狼狽え逃げ回る。人魚たる尾ひれでマナの海を泳ぎ。

 サクヤの側へ近寄り、自身も歌うと発言。ムピテに感謝を述べ、右耳に装着した通信機に右指を当て。

 仮拠点にて待つマキナへ通信を飛ばせば。設定確認を終え、通信機の先端がマイクとして口元へ伸び。

 空いた穴から飛来し旋回する小型戦闘機・ナイチンゲールより歌姫専用決戦音楽が鳴り、彼女達は歌う。


「全員サクヤ達の援護を最優先!!掠り傷一つたりとも当てさせるな!」


「手が空いている、余裕がある者達は彼女達と共に歌いなさい」


「私達の王は……私達が自分自身の意思と、思考の末に決めますの。それを止めたが為に、世界は滅び……!?」


 此処へ来るまでの防衛戦組を引き連れ、三勢力のトップも参加。統率力や共有化も失ったとは言え。

 相手は遥か格上の存在。防衛班へ指示を飛ばし、反撃を受け、出来た穴を塞ぐべく援護に回る三名。

 サクヤ達の歌を聴き、体や両腕の龍と狼の眼に光が戻る。それを見た魔神王の本体が飛び出し。

 眼に光が戻る最中のエックス──その胸中央目掛け、鋭い槍と化した右腕が迫り……装甲ごと突き貫く。


「やっ……抜けない?!」


「ハッ……引っ掛かったな?テメェも言ってただろ?宿主様の本体は『左腕』だってよぉ!」


 致命傷を決め、右腕を引き抜くも全く動かない。それどころか貫通箇所から無数の黒い腕が伸び。 

 刺した体からゼロの声が聞こえ、絡め取ろうとする為に自ら右腕を切り離し離脱。

 ゼロは「宿主様本来のマナが虹の七色なのに、何故赤に近い緋色が存在してると思う?」そう問えば。

 何かを理解し『此方(左腕)』へ慌てて視線を向ける。が……時既に遅し。千切れた部位が体に戻る。


「沢山の事を諦め続け、諦めたくない願いの為にも──私は悪と成り、アンタ(魔神王)の野望を打ち砕く!!」


 ボロボロな体を起こし、叫ぶ。その声と言葉に頷く仲間や家族達の左手の甲に次々と紋章が浮び。

 胸中央の風穴を塞がんと、所有者全員の紋章が集えば卵の様に私の体を包み──上から剥がれ散る。

 損傷は無く、紋章所持者や絆を紡いだ面々を取り込むも外見的変化は無し。それを見てニヤリと笑い……

 此方へ飛び込みながら残像を無数に増やし、左腕のガトリングを連射して右腕の槍を突き出す。


「──?!」


「その動きは既に……体験済みだ」


 が……それは全て残像、奴は背後。左回転で身を翻すと同時に、左腕で迫り来る奴の右腕を払い除ける。

 しかし、それすら予想通りの魔神王が一瞬驚く。その理由はシナナメの折れた冥刀と──私の元友人。

 拓が幻想の地で手に入れ、振るった真紅の刀(当人曰く斬鉄剣)が……奴の背を突き刺し、貫いて私の後ろへ飛んで行く。

 好機と見たジャッジ(絆と右腕に宿った)の「融合の力を!」と言う助言を受け、背後へ飛ぶ二本の刀身目掛け右腕を……

 折れた破王を向ける。すると冥刀と斬鉄剣は破王に吸い込まれる形で融合し、真紅の片刃(日本刀)と化す。


「何故だ?!我が身より生まれし最強の妖刀、二振りの刀よ……」


「秘技・近衛流──影縫い五月雨!」


「何故お前達まで生みの親たる我を裏切り、我が宿敵たる奴に力を貸すのだぁぁ!?」


 己が身より生み出した二本の刀にすら裏切られたと叫び、視線は私の右腕に集中している今が好機!

 最初に桔梗、続けて琴音。最後は二人一緒に技名を叫び、奴の全身に素早い連続突きを繰り出す。

 一撃目を胸に受け、直ぐ様動き避け様とするも動けない事に気付く魔神王。それもその筈、この技は──

 闇を操る桔梗の影を縫い縛る技、琴音の高速連続突きが組み合わさったモノ。早い話……

 体をバラした逃走が出来ない。瞬時に理解し、苛立ちの余り我が子と融合して私の右腕へ吠える。


「アプリケーション・オープン、右腕換装。コール、巨人兵装(ギガンティック・)DT-0(ディーテ)!!」


「召還信号受信。ギガンティック・クラッシャー、発動承認……確認完了。変形開始」


「させるかっ!!──何っ!?」


「リボルビングインパクト・バンカー……ショット!!」


 決戦前。仮拠点でマキナが言っていたオマケ機能を音声入力で使用。右腕を右側へ射出して切り離し。

 ディーテに信号を送れば、駆け付けたゼロライナーから追加装甲を貰い、長方形の塊に変形開始。

 当然その大きな隙を奴が見逃す筈もなく、全身に眼を作り全方位にマナを凝縮させたレーザーを発射。

 変形阻止をするも……量産型(ロー)が私やディーテの周りに壁として集い、次々爆散しながらも護り抜く。

 爆煙の中から飛び出し、マキナ達の超特殊弾エナジーバレット左腕(狼口)に装填。腹部に押し付け──連射。


「これが……エックス(未知の可能性)!?明日(未来)を求める躍動だとでも言うのか?!」


「そうだ。明日(未来)があるからこそ、私達は幸せも不幸も噛み締めれる。故に──明日(未来)が欲しい!!」


接続(ドッキング)完了。ファイナルアタック・起動」


 口から灰色の煙を吐き、魔神王を追い詰める私達の強さが──未来を求める力なのかと此方へ問う。

 今日に留まれば、確かに今以上の不幸や幸福も無い。なれど、それでは人類が滅亡してしまうのだ!

 産めよ増やせよ人類。明日を良くするも悪くするも、今を懸命に生きる者達の責任であり、覚悟。

 明日を掴む為に私達は今此処に居る。高く飛翔すれば鉄塊と化したディーテも私を追尾。左腕をパージ(切り離す)


「無限の光よ。哀れなる者達の罪を照らし、裁きの光と共に、世界に救済を!」


「そ、その詠唱は……!!」


 切り札の一つ、アイン・ソフ。詠唱を唱えて限界以上の即効フルチャージを実行。驚く奴を無視し……

 切り離した龍・狼の上顎と下顎が分離。目鼻のある上顎側を前方、残る下顎側を後方に左右で並び。

 鉄塊ディーテと合体。下顎は内側、上顎は先端に付き私が彼女達をハイブーツの様に装着し完成。

 時間と材料不足で脚装備限定だが……関係無い!私達は動けない魔神王へ加速しながら飛び込む。


「こんな……モノっ!!こんなモノぉぉぉ!!」


「自力で解いた?!マズイ、このままでは照準が……」


「運命の女神は最後の最後に、我を選らんだ──あぁぁっ?!」


 力を振り絞り無理矢理、強引に影縫いを破った為。代償に全身が裂け、赤い血を噴き出す魔神王。

 此方は加速の途中で軌道変更が出来ない為、少しでも軸をずらされては最後の一撃が当てられない。

 私達へ視線を向けて嘲笑う様に微笑み、逃げ出す瞬間──ゼロライナーから自己判断で飛び出すは。

 私の愛車(オートバイ)のアインスト・フューチャーが振り返った奴の右頬を前輪で轢き、視界を動かす。

 続けてスレイヤー専用格納庫車(リボルシリンダー)も飛び出し、魔神王を私達の前へと押し出す。


「これで最後だ!本当に長かった……長きに渡った私の旅路と物語に──終幕を!!」


 これで漸く終わる。長い長い魔神王関連の旅に、血と泥で汚れ切った私の物語に終幕を下ろせる。

 走馬灯の様にこれまでの旅路、出逢いと別れを振り返り。仲間や家族、支援機達(サポートメカ)に心からの感謝を!

  持てる力の全てを脚に込め、両脚を大きく開き繰り出す最後の技は勿論──野性全開の一撃!!


「哀れなる魂を救う為に──奴を噛み砕き、打ち砕け。アイン・ソフ・オウル、装填版!!」


「これが……明日と言う未来を掴む勇気ある心──brave heart……」


「スカーレットファング──シュタイナぁぁぁぁ!!!」


 相手へ噛み付く様に両脚で胴体と両腕へ挟み蹴りを繰り出し、二度三度と離さぬ様に挟み込む。

 四度目。挟む位置を胴体から首へ、脚から太腿に修正。自身の両太腿では挟んだままバック宙をする要領で高速の五連続大回転。

 このまま底へ頭部から放り投げてフィニッシュ……と行きたいが、逃れられる可能性がある為。

 挟んだまま私自身も急加速からの降下。空間の底へ魔神王の顔面を叩き付け──大爆発を引き起こした。



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