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ワールドロード  作者: オメガ
六章・Ich bin menschlich
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ヒト -nightmare xenos-

 『前回のあらすじ』

 目が覚めた其処は、見知らぬ楽屋。ひょっこり扉から顔を覗かせるのは、闇の巫女で過去に助けた元奴隷の結衣。

 しかしそれは神無月水葉が変装した姿。再会と弱さから水葉へ抱き付くエックス。

 再度失った意識が戻った時、水葉は居らず。代わりに小山太郎こと大将と再会し……ベーゼレブルと見破る。

 合流したナイアからゾークが原因で、短期間修行用の記憶世界や時間軸に異常が生じたと知った上で飛び込む。



 ゲートを通り抜け、シオリの記憶世界を目指す途中。幼子の父親と母親を泣きながら呼ぶ声を聞いた時。

 右眼に映るは今現在、ゲートの先で起きている──幼い金髪幼女に迫り寄るゾークの姿。

 左腕から黄色い光が飛び出したのを確認後、自身を紅い光の姿へ切り替えゲートの出口へ飛び込む。


「コール。第二装甲及び第三装甲、アウト・オブ・スタンダードフォックス──変身!」


sin(シン)fusion(フュージョン)


 太陽の日差しが眩しい青空へと飛び出し、恋の声が響けば、紅い光の自分は恋の黄色い光に包まれ。

 光はアークバックルを装着した恋へと姿を変え、空を蹴って下に居るゾークへ急降下。

 続けてゲートから出て来る、sin・第三装甲を足から順次装着しながら高速で蹴り込む。 


「──!!」


change(チェンジ)……Seven(七つ) Deadly() Sins(大罪)FOX Sin(強欲の罪)


「チッ……片方の角を折っただけか」


 が……直撃する前に察知され、振り向き屈まれて命中したのは頭部にある右側の触角と思わしき部位。

 着地後、変身完了を伝えるバックル。改めて奴の周囲を確認すれば、幼女の他に男女の遺体が二つ。

 到着前の俯瞰視点情報を踏まえるなら、この遺体は幼女の両親。殺害したのはゾークで間違いない。

 変な動きをしないか睨み付ける中。突如上空を見上げ始め、それに釣られて視線を動かすと……

 現代で言うUFO。自分達超古代文明を知る者からすれば、侵略者の円盤型宇宙船が浮遊していた。


「来るぞ。本家本元のナイトメアゼノ……いや。ナイトメアゼノス(悪夢の見知らぬ人)が」


 円盤の底部分から地上に光が照射され、降臨する侵略者が二体。その名はヒト──nightmare(ナイトメア) xenos(ゼノス)

 自分が問答無用で抹殺する対象にして、発達した文明を内側から完全に乗っ取る略奪者。

 その姿は顔や四肢の無い、所謂棒人形。奴らはエルフの遺体に近付くと、胴体部分から触手を伸ばす。


「そう簡単に手出しを許すとでも……っ!」


「真なる我らが王の子供達。その崇高な行動を邪魔する裏切り者め」


 ヒトの行動を阻止すべく動くも、ゾークの両手から放たれる手裏剣型爆弾の数々が此方二名に迫り。

 右袖から護符を取り出し、結界を張り防ぐ。チラリと見れば、ヒトの触手が遺体の顔に触れ……

 ベリッ!!段ボールのガムテープを剥がす様に顔の皮を剥がし、自らの顔面に張り付ける。

 すると二体のヒトは遺体と同じ存在へと姿を変え、此方に向けてニヤリと微笑む。


「オメガゼロ。キデンガイクラドリョクシヨウトモ、ワレワレハコノセカイヲノットル」


「どうほう、ごひゃくおくのたみがくらすため。ぜんうちゅうのせいめいぜつめつは、われらのひがん」


 遺体の知識を奪い、今は不慣れな日本語で一方的な侵略と占領、人類の絶滅を自身らの悲願と話す。

 どっかの蝉人間みたく抜かした発言をするヒト共。超古代文明は共存は無理と端から理解していた。

 が……俺に任せて平和ボケし、腐り果てた現人類のアホ共は共存を掲げた挙げ句、六割を侵略され。

 マスゴミやテレビ局と言った、影響力の強い人物・場所が乗っ取られた。故に、俺は人類を救わない。


「敢えて人間ではなくヒト──と言うのが実に滑稽。それは確かにゼノス、見知らぬ人だ」


「言っている場合か!奴らの惑星……いや。宇宙規模の侵略が再度始まったんだぞ!?」


 人間に成り済まし、異形へと化ける為、超古代文明人達はコイツら侵略宇宙人をヒト──と呼んだ。

 ゼノ(異形)に化けるナイトメア(悪夢の)ゼノス(見知らぬ人)とはよく考え、皮肉ったもんだよ。

 焦る感情から太古の記憶を口走る。惑星・宇宙規模の人狼、魔女狩り、侵略が始まると。


「フフッ。アノ時ハ、光ト闇ニ月ヘフウインサレタガ……ワレラガ王ハ、近々再ビメザメル」


「そう。オメガゼロ。あなた達がうちわ揉めや、われらの相手をしている間に、ふういんは解けた」


「内輪揉め?終焉達はお前達の仲間じゃないのかい?」


「否。あれは使い捨てのごみ。われわれのなかまなどでは、ない」


 現代語に少し慣れたのか、カタコトがやや治りつつある。光と闇に月へヒトの王が封印された?

 ……マジック達は過去、自分達が言う『魔神王』には従ってないと言った。つまり──認識の違い。

 自分達は終焉や無月闇納を魔神王と認識してたが、実際はナイトメアゼノスの王が正真正銘の魔神王?!

 内輪揉め、封印解除。終焉達は仲間ではなく使い捨てのゴミ扱い。色々と改めねば……


「まあ──さいごの悪足掻きに、貴様ら光と闇に対し、互いに敵だと誤認する魔法をかけた」


「……成る程、それで納得が行った。僕達を同士討ちさせ、復活と侵略の時間を稼いだ……と」


「じつに滑稽だったよ。その後もおたがいを敵と誤認し、あらそい続けてるんだからね」


 奴らの話を聞きつつ、ゾークに眼をやる。動く気配はなく、ヒトの護衛に付いている様子。

 にしても……やられた、としか言い様がない。これまでの旅が、宿敵の思い通りに動かされていた等と。

 協力関係?それとも仲間?それじゃあ、あの劇場で観た始まりの原因は一体何だったんだろうか?

 そんな疑問が浮かぶ中。笑いを押し殺し、相手を馬鹿にする様な声が隣から聴こえ、振り向く。


「フフッ……全く。何も知らないとは滑稽だ。『我々』は全てを理解した上で、紅き光と戦っている」


「なに?」


「愚かなヒトを越える存在はただ一つ──泥に汚れ、悪と名乗りつつも前へ進む人間だけだ」


 其処には右手で笑う口元を押さえ、語り出すベーゼレブルの姿が。その内容は……

 ゼノスの計画を理解した上で自身らの計画に利用し、自分と戦っていたと告白。

 疑問を口にするゼノスに対し、ヒトを越えるのは人間だと──左手を此方に向け言い放つ。


「ならば、越えてモラいましょう」


「悪夢ハ元々、ワレワレの忠実な下僕。そしてわれらヒトの計画を、止めてミセルガ良イ」


「待て!!」


 奴らは自身らを越えれるものなら越え、悪夢を倒し、己らの計画すらも止めてみろと言い放ち。

 ゾークの左手から白い煙が放たれ、三体の姿を隠す。右手を横へ払い煙幕を払うも……既に撤退した後。

 目を閉じ、sin・第三装甲の頭部狐耳に意識を集中。十キロ先を移動中……流石に追い切れんか?

 融合を解き、奴らが行った内容を改めて思い出す。そろそろ……自分の旅も終わりが近そうだ。


「ねぇ……おにいちゃんたちは、だれ?ぱぱとままは……どこ?」


「君のパパとママは……」


 幼女に話し掛けられ、考え込んでいた意識は呼び戻され膝を曲げ、背丈を可能な限り合わせ口を開く。

 だが……なんと言ったものか。真実を伝えたところで理解出来ないし、出来たとしても残酷過ぎる。

 どう返答すべきか?そう悩んでいたらベーゼレブルが隣に並び、同じく膝を曲げ背丈を合わす。


「私の名前はドゥーム、彼はデトラ。さっきの悪者を追って此処へ来た。君の名前は?」


「……シオリ。このまえ、このもりのちかくにひっこしてきたばっかりなの」


「そうかそうか、シオリちゃんと言うのか。可愛らしく、良い名前だ」


 意外や意外。慣れた様子で幼子時代のシオリと会話をし、情報まで引き出すとは……

 我が因縁のライバル、恐るべし。しかも、幼少期のシオリに懐かれてる。なんでさ?!

 そんな此方の心情を察してか、はたまた会話を終えた?それとも顔に驚く様子が出ていたのかな?

 此方に身を寄せ、シオリちゃんに聴こえないであろう小声で話し掛けてきた。


「巴の教育やママ友経由で覚えてな」


「意外と知らん所で苦労してんのな」


 よくよく考えれば、巴の母親は一度も見ていないし、そう言った話も一切聞かない。

 此方の心を読んだ様に「母親は巴を産んだその日に死んだ」……と落ちついた声で教えてくれた。

 父子家庭ってヤツか。納得しているとベーゼレブルは立ち上がった為、釣られて自分も立ち上がる。


「何はともあれ、今は情報を集めるのが先決だな。現在地とか」


「現在地なら分かるぞ。此処はエルフの森と呼ばれる、約三百年前の場所だ」


「……えっ?」


 兎に角先ずは情報収集が先決で、現在地を知ろうと言った矢先。

 此処が約三百年前のエルフの森と発言され、疑問と驚きの余り思わず聞き返す。

 何故そう言い切れて、根拠は何なのかと思いながら。しかし、不意に思い出した。

 ナイア姉さんは「短期間で修行をつける為、記憶世界を利用した」と言った事を。

 利用したんなら、ある程度は設定は出来るかも知れん。なら、此処が何処か知ってても不思議ではない。


「恐らくデトラの考えてる通りだ。我々はある程度設定した為、場所や時代は把握している」


「……そんなに分かり易い?」


「癖だろうな。小難しい顔をしたり、無口になってる時は大抵考え中と分かる」


 考えてる内容を的確に言い当てられ、何とも言えない気持ち、表情で訊ねてみたら……

 顔や行動に出てるらしい。治すべきか考えたら「その癖を逆手に取れる様すればいい」と言われた。


「兎に角、この子を集落に送り届けよう」


「了解した。あくまでも私は同伴、行動と判断はデトラに全て任せる」


「…………後で話がある」


「そちらも了解した。まあ、結果は変わらんと思うがな」


 幼いシオリをエルフの集落へ一刻も速く送り届けたくて、ベーゼレブルに提案をすればあっさり承諾。

 行動・判断は全て任すと言われ、胸の奥から沸き上がる感情を押し殺し、低い声で話の機会を約束。

 この場所がライチと出会い、ヴルトゥームと決着をつけたあの森だと知れば知る程。

 歯を強く噛み締め、自らの無力を恨み握り拳を作る。結果は変わらん──その通りかも知れんが!!



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