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ワールドロード  作者: オメガ
四章・just believe in your eyes
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リバイバー

 『前回のあらすじ』

 エックスが一度目を覚ますと、何故かホライズンが付き添っており、二度目ではツヴァイが。

 その上、四肢を失っていた。再三目を覚ませば、其処は真っ白い部屋に、無数の絵と絵本などがある。

 その部屋で出会った少年は、意味深な言葉でエックスの頭を混乱させるも、理解は不要と発言。

 彼は答えのない答えで問い掛け、自身の頭と心で考えさせ、自身を『まお』……と発言した時、消えてしまった。



 目が覚めると……ベーゼレブル・ツヴァイにジャンク品を積まれ、守られていた場所ではなく。

 ゼロライナーの作戦会議室兼、緊急医務室のベッドで寝かされていた。

 腕は──両方ある。下半身も、キチンと存在している。ツヴァイに守られてたのが、夢だった様に。


「あ……起きた?」


「ニーア……」


 首を動かして確認していた為か。医学書を読んでいたニーアが此方に気付くと。

 本を机に置き、右手で額に触れ。熱がないかどうかを確かめながら、話し掛けて来た。


「此処──」


「此処はゼロライナーの第二車両。場所ならフォー・シーズンズの夏島で、天気は快晴。他には?」


「他の──」


「他の面々なら大半、気晴らしに海で遊んでる。暗い顔をしてたら、心身共に辛いから」


 離れて椅子に座り直したのを見届け、言葉を言い出すも……全てを伝える前に先手を打たれ。

 他には何か聞きたい事はある?的な発言に、仲間達の安否やどうしているか?

 それを訊ねる微かな言葉から、適切な返答を返してくれた。

 ただまあ。ボケ殺しみたいな感覚で遮られると、それはそれで喋り難いんよ。


「医師の立場から診ても。あの大爆発に呑まれて五体満足で生還って、奇跡の範囲を優に越えてる」


「…………」


 呆れ果てた様子でカルテを手に取り、自身が書いたであろう診断書に目を通すニーア。

 四肢を失ったあの光景は……本当に、夢?それとも、現実の出来事だったのだろうか?

 曖昧な言葉は、仕事や医学などの世界では命取りだったりする。それもあり、言い出せなかった。


「でも、奇跡を越える奇跡を引き起こした代償は、キチンと支払われた様だけどね」


「それって、どう言う──っ?!」


「こう言う事よ」


 読み終わったカルテを小さな机に置き、妙に気になる言葉を口にした為。

 その真意、理由を聞き出そうと体を起こすも。ニーアの右人差し指で額を押されると……

 あり得ない程簡単に、寝かされていたベッドへ押し返されるではないか!


「今の貴方は一般人男性と同じ。弱った今は園児位の力しかなく、本来の力も一瞬しか出ない程」


「なん……で?」


 簡単に現状を言われても、はいそうですか。と、理解や納得が行かないのが現実。

 酷い弱体化の理由を問い掛けたら……医療系のニーアとエリネの診断した見解だと。

 肉体の酷使が原因により、大半の筋肉が仮死に近く、空腹で補給も出来ない状態。

 つまり、飯食って心身共にゆっくり休め……だそうだ。それも、可能なら来年まで。


「もっと早く、復帰出来る方法はないのか?!」


「そんなの、ある訳が──」


「検索……完了」


 来年まで休養とか、残りの寿命が尽きる!だけど……それを言ったら。

 今以上に心配されるのは明白。だから、本来の時間軸で今年中に全てを終わらせたかった。

 寝かされた体を再度起こし、藁にも縋る思いで問い詰め、現実を突き付けられる時──

 何処かで聞き覚えのある、機械的な女性の声を耳にし。そちらの方を向くと……


「条件を全て満たす、一件の方法を発見」


 調律者達、管理者が(アドミニストレータ)管理する機械兵DT-0の一体。正式名称は──

 対・破壊者兵器、Delete(デリート) torture(トーチャー)。早い話、自分を倒す為の機械兵。

 ソイツが三両車側から此処、二両車目に歩いて来た。何故そんな奴がこのゼロライナーに?


「それは──」


「待て待て待てぃ!なんで調律者の玩具たるがお前が此処に?!」


「それは、ディーテが気を失った貴紀さんを連れて来たからだよ」


 平気な顔のまま、内容を話そうとする奴の言葉に割り込み、此処に居る理由を聞くと。

 ディーテの後ろから続く形で現れ、求める回答を口にした存在は──


「勇者候補生、ルージュ=スターチスの連れか」


「俺はリバイバー。まあ、自分自身の名前や記憶、住んでた場所も忘れた流れ者だけどな」


 ルージュの連れで、名前は……知らん。すると自ら名乗ってくれた彼はどうやら、記憶喪失の様だ。

 余程強く頭を打ったか、脳が自己防衛機能で強制的に記憶を封じたかは……分からんがな。

 しっかし。リバイバーと名乗る彼と自分は、不思議と縁があるのか?何度か助けられてるけれど。


「ほら!先に助けた理由や此処に居る事情を話さないと、警戒は解いてくれないぞ?」


「把握。我らが主・桜花様や終焉達の人類救済計画は全て、人類を絶滅させる可能性が極めて高い」


「それで、自分の所へ来た訳か。自分の人類救済も、大概だと思うけどな」


 リバイバーに肩を叩かれ、説明を促されたディーテは──人類救済計画の内。

 もっとも人類の生存率が高い方へ助力に来たそうだが、五十歩百歩じゃねぇかねぇ?

 絶滅云々と言っても、自分の計画も大差ない。見限ったり、選別もする計画だと伝えたら。


「桜花様、終焉の闇、異形の悪夢。これら三勢力は全て、双子月に封じられし魔神王の復活が狙い」


「──!?」


 平然と口にしたその情報は、虚を突くには余りにも大きく、驚きの余り唖然としてしまう。

 ちょっと待て!調律者と終焉の闇、ナイトメアゼノの狙いは……魔神王の復活?!

 それも双子月に封じられてるって……そう言えばナイトメアゼノ・スカルフェイスが言ってたな。

 初遭遇した時──看守の目がまだ多く、赤く丸い檻を破るには、時間も力も足りないって。


「そうか。赤い月に魔神王を封印し、看守。即ち月見の存在が封印の維持に貢献しているとしたら」


「調律者達の人類救済計画は確か、俺達の誕生から死去まで。その全てを管理した世界!」


「終焉の闇達の計画は全て、現実逃避。即ち未来を放棄し、過去と現状維持を選択した世界」


「ナイトメアゼノは、人間や人外を取り込んで仲間……そうなったら、看守は居なくなるって事?!」


 バラバラだった情報(ピース)が、一つの切っ掛けを期に嵌まって行く様に。

 繋がり埋まって行く事で、隠された真実が次第に明かされてゆく。

 にしてもまさか、三勢力の目標が魔神王の復活に繋がっていたとは……な。


「人類を存続させるには、三勢力の計画を阻止するのが最優先。その為には──」


「破壊者。つまり、貴紀さんに協力する事が最も可能性が高い……って訳か」


 魔神王の完全復活には、別れた半身も必要不可欠。三勢力が自分の身柄を求める理由……

成る程、そう言う訳かい。けれど、奴らは互いに計画を邪魔し合っている上。

 自分にはサクヤ達、協力者の存在がいる。何度も危機から救い、助けてくれた仲間達が。

 ディーテはそれも踏まえ、協力してくれるのだと言う。人類を存続させる為に。


「何はともあれ。貴紀さん!今はしっかりと休んでくれ」


「それが良い。本当は……戦って欲しくない。けど、それが許されないのなら。今だけでも」


「肯定。案はありますが、不明点が余りにも多く未知数。故に、我々で解決案を探ります」 


 三人はそれを言うと、三両車側へと消えて行った。しっかりと休んでくれ……か。

 自分だって、本当は……戦いたくないし。傷付きたくもなければ、傷付けたくもない。

 それでも、戦わなきゃいけない。魔神王を倒さなきゃ自分の旅は終わらない、終われない。

 こんなにも辛い苦しみを、バトンを次の世代に渡しちゃ駄目だと、分かっているから。


夢で(ゆ~め~)ある~ように~瞳を閉じたとしても、現実は変わらないものですよ」


GReeeeN(グリーン)GReeeeN……」


 シリアスと言うかセンチメンタルと言うか。真剣に悩んでたらこれだよ。この邪神共は!

 名曲の歌詞や歌ってる人の名前を使って遊ぶんじゃありません!内心ツッコミ、呆れていたら……


「…………辛いですね。あの方には自身を殺してくれ。と言ったのに、今度は貴紀さんが御友人を、とは」


「現実なんて、そんなモンさ。矛盾して、正論を言って、ヒートアップしたら殺しにすら発展する」


「頭と腕にチェーンソー付けて、銃を頭と腕に付けた相手と雪合戦で殺り合おう……」


 ハジケてたかと思えば急に真顔へ戻り、自分とアイツとの昔話を語り出す真夜。

 生きるのが辛すぎて死を求め、友人に頼み断られた。そしたら今度は此方が殺る側。

 正論も時と場合、相手を選ばなければ衝動的に殺られたり、縁を切る可能性も高い。

 てか紅瑠美。それは魔人とかの部類です。雪合戦で殺り合うとか、どんだけよ……?


「まあ、どんな回想転送甜麺醤(てんめんじゃん)があっても、私と貴紀さんの土器(どっき)土器な生活は止まりません!」


「少年……私、少年とファイナルフュージョン……したい」


 回想転送甜麺醤って何よ?土器土器な生活って言うんなら、とき○モでもやってろ!

 そんで悪いが、お前とファイナルフュージョンする予定は一切無いわ!

 寧ろそれを言うなら、あなたと合体したい。だろうよ。なんかそんなパチンコのCMを見たがな。


「へいへい……そんで、わざわざ来た理由はそれだけか?」


「まさかまさかのまさかり小僧!!ゴールデンな金太郎と伊吹の鬼との密会ですよ」


「此処ではリントの言葉で話せ」


「少年。真夜が壊れたから来た……」


 呆れ返りつつも、コイツらがわざわざ会いに来るには何かしらの理由がある。

 それを訊ねると、訳の分からん言葉を述べるので、思わず本音とネタが混じったら。

 いつもの事な情報を話す紅瑠美。まあ、ニャルラトホテプの頭が常時壊れてる……とは思わんがな。


「いやはや。パワードスーツも限界ですな。まあまあまあ、此処までの損害は予想の範囲内ですが」


「いわゆる筋肉痛……子守唄にヘビメタを演奏するべき」


「子守唄にヘビメタってお前……」


 唐突に真夜は紅瑠美の着ている制服に手を突っ込み、中から赤いノートパソコンを取り出しては。

 慣れた手付きでキーボードを打ち、パワードスーツの損害を確認している様子。

 いや、幾ら平らな胸部とは言え、どっから何を出しとんじゃ!

 その上、話が分からんし、ヘビメタを子守唄にするとか誰が喜ぶねん。


「黄色と黒はウルトラソウル!」


「敢えて言おう……二十四時間翼を授ける……と!」


 なんか……ネタが渋滞してる気分になってる間に、二人は三両車側へと向かっていった。

 恐らく、パワードスーツの残骸に何かするのだろう。予想の範囲内とか言ってたし。

 …………今は寝よう。アイツらの相手をしてたら、迂闊に寝れんし。貞操の危機的な意味で。




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