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ワールドロード  作者: オメガ
四章・just believe in your eyes
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ノイエ・ヘァツ

 『前回のあらすじ』

 水中戦に持ち込まれ、グラビトン・アーマーで応戦するも……トリックは闇の欠片・無垢なる道化師へ変貌。

 その力と人類救済に対する想いは、エックスの装備パーツを次々破り、徐々に追い詰めて行く程。

 一か八かの賭け、我慢比べ……その過程でグラビトン・アーマーは大破も同然な損害を受けつつも。

 地上へ舞い戻り、第三装甲を古代の騎士に切り換えた矢先──黒い海から飛び出した弾幕が降り注ぐ。



「防ぐにしても、かなり厳しいぞ!?」


「チッ──来い……バハムート!」


 第三装甲を換装した事で、左腕に装備された中位の盾(カイト・シールド)を使い、降り注ぐ弾幕を多少は防ぐも。

 耐え切れるかは正直、かなり厳しい。そんな中、静久がバハムートの名を呼ぶと。

 寧とマキが作った小型戦闘機も共に空間を越え──戦闘機は散らばる魔力弾に光弾を当てて相殺。

 バハムートは五メートルはある巨体で、雨傘の如く俺達を弾幕の雨から守ってくれている。



「あの戦闘機を動かしてるのは誰だ?!寧とマキしか扱えない筈だが」


「残念。私もナイチンゲール(墓場鳥)を扱えるのよ。こんな風にね」


 開発者の二人しか扱えない小型戦闘機……の筈が、本人達が動かせない・不在のまま動いている。

 その疑問へ答える様に、ナイチンゲールと呼んだ戦闘機の底から光が溢れ、人の形に集束すると──

 黒ドレス姿のサクヤが現れ、証拠を見せる様に戦闘機を遠隔操作で動かし、狙撃銃に装備させた。


「そんな事より──あの子達を止めるべきでしょ?」


「あぁ……その通りだ。一緒に戦ってくれ、サクヤ!」


「えぇ。勿論!」


 そんな些細な事より、道化師を止める方が最優先だと言われ、頷き答えた後。

 共に戦って欲しいと言う中。道化師が黒い海から飛び出し、一緒に揃って身構えつつ肯定。


「No.02ドNo.03が集まロうドぉぉ!!」


 奴が吠えると同時に弾幕が放出され、渦を巻きながら此方へ走り出してくる。

 迎え撃つ形で俺達も走り出し──俺は空中回転のハイジャンプで弾幕の渦を飛び越え。

 サクヤは届いて無い下側をスライディングで滑り込み、二人揃って胸部に蹴りを叩き込む。


「……ッ!!何故だ!?何故歪まない、何故歪められない?!」


「あなた達はっ、彼と戦い過ぎたのよ。人間が持つ力を三つも能力として得た、エックスとね!」


「人間が持ヅ、ジガラ?……ま、まざが!」


 俺達の強烈な蹴りを受け、大きくよろめきながらも疑問を叫ぶ中。サクヤはヒントを答え。

 道化師も最初は理解に苦しむが、直ぐに答えを理解した様子。それと全く同じタイミングで。

 台になる様屈めば、その行動の意味を理解したサクヤは俺の背に両手を乗せ、飛び越えつつ。

 追撃とばかりに腹部に蹴りを叩き込み、更に怯ませて隙を作り──銃を手に撃ち続ける。


「ヅ……づよ、い。な、何故?」


「お前の歪める能力は既に、今回の戦いで覚えた。まあ、まだ効果範囲は二メートルと狭いがな」


「そして私達は本来、二人一組で戦うのがメイン。お互いの存在が近い程、力も増すのよ」


 奴は歪める能力を使えている。が……実は頭突きを切っ掛けに、能力は覚えさせて貰った。

 覚えた能力で相殺し、歪めると言う防御法を破らせて貰った。けれど、使い始めたばかり。

 故にまだ、本家には敵わない部分もある。ソコを突かれる前に、二人で一気に押し切るしかない。


「それがどうじだぁ!!幾ラ、パワーアップじだどごろで。メメント……ぬぉ!?」


「パワーアップもそうだが。俺達の本来の戦い方は」


 能力を真似されたと理解して、頭に血が上ったのか。ジェノサイド・サンダーボルト……

 いや──その放電版を放つも、両手を正面に向け、湾曲バリアーを張って直撃の軌道を歪めて返し。

 ならばとサクヤにメメント・ペインを使う瞬間。構えた奴の両手を蹴り上げ、技の発動を阻止。


「お互いをサポートし合う事にある」


「アヴァランチショット!」


「ぬおぉぉぉっ!?」


 膝蹴りや肘打ちを叩き込み、組み付いて半周回れば、奴の背がサクヤに向き俺が離れた途端。

 狙撃銃の銃口に装備した戦闘機・ナイチンゲールから、白い魔力弾を怒涛の勢いで連射。

 撃たれた方向から注意がサクヤに向いた頃には、俺達も更なる追撃の準備が完了。


「渦巻く水よ……降り掛かる災厄を絡め取り、我が前に立つ敵を穿て──アクア・スパイラル!」


「アローナックル!」


 レヴァタン・ユニットのまま道化師の足下に近付き、呪文を詠唱し水の魔法を放ち。

 俺も背後から弓を引く構えから正拳突きを繰り出し、挟み撃ちを狙うも──


「ジェノサイド・サンダーボルトォォ!」


「──!?」


 鬱陶しい!と言わん勢いで稲妻を放電。俺は咄嗟に左腕の盾を構えつつ、仕込んだ護符を全て使い。

 温存していた霊力で結界を張り、破られるも……俺とサクヤは吹っ飛びこそしなかった反面。

 静久と俺達の武器は吹き飛ばされた。仕返しに左右から腕を掴み、胸部に強烈な蹴りを叩き込み。

 向かい側へ放り投げてやった。余程連続攻撃が効いたのか、起き上がるもののよろけている。


「エックス。そろそろ決めるわよ」


WARNING(ワーニング)!!REJECT(リジェクト)HORIZON(ホライズン)!」


「く……クヴァール(苦悩の)グロッケ()


 フュージョン・フォンを取り出し、リミッター解放を選択後。WARNINGと警告が響き。

 音量調節ボタンを二度押し、出力をHORIZONに決め再度差し込む。

 ……のを阻止せんと頭を前後左右に大きく振り、鈍い鐘の音を湾曲させて周囲へ振り撒く。

 以前も受けた、頭が割れそうな酷い頭痛に襲われる中──仕込んだ匕首(あいくち)と銅貨を奴に投擲。


「今更、ゴンなモノ!」


 しかし容易く弾かれ、地面に勢い良く飛び散ると……静久が口を開け、二つの特殊な音が鳴り響く。

 その音は苦悩の鐘が引き起こす音とぶつかり合い、効果を相殺。俺達は酷い頭痛から解放され。

 改めてフュージョン・フォンを差し込めば、パワードスーツと第三装甲の隙間が少し開き、フル稼働。


「俺の新たなる必殺技、スカーレット・デーモンズ・フレアと」


「私が使う最大級の技、フルムーン・レクイエム・レイを重ねて放つ私達の合体技。その名も」


「「クロス・ノヴァ・ストライク!!」」


 パワードスーツと第三装甲に残された全てのエネルギーと、俺達が持つ魔力と霊力の大半。

 それを右手に集め、無垢なる道化師に向けて伸ばす。するとサクヤは左手を俺の右手に重ね合わせ。

 アダムとイヴ。二人の力が重なり合い──緋色と白色が交わるクロス・ノヴァ・ストライクを放つ。


「ろ……ロスト・パラダイス!!」


 最後の抵抗に、最大級技を撃って来るも……ぶつかり、力比べに持ち込むよりも早く。

 あっさりと一方的に押し切られ、無垢なる道化師は俺達の力に飲み込まれ。

 合体技が過ぎ去った後には──地面を抉った跡と、アイツの右人差し指しか残っていなかった。


「や……やっと倒し切れた……」


「ふふっ。ご苦労様」


 お互いに手の甲を軽くぶつけ合い、労いあった。漸く融合四天王が一人にして、闇の欠片の一つ。

 トリック・ホロウ・ロードと無垢なる道化師を倒した。これでまた、ドゥームとの約束が果たせた。

 そんな事を思っていたのも束の間。胸を撫で下ろした、このタイミングで……

 今現在、もっとも来て欲しくない奴らが飛来する気配を感じ取り見上げると──


「やはり……ハイエナに来たか。ノイエ・ヘァツ!」


「相変わらず、台所に出る黒いヤツよりしぶといわね」


 其処には赤・青・紫・黄・橙・藍・緑・白。八色の心臓を真似た球体が浮遊し。

 その内、黄色が無垢なる道化師の右人差し指に飛び付き、アメーバやスライムの如く飛び散り。

 残された指からDNAやら情報を全て吸収。今度は白色が飛び付き、消し飛んだ体を改造し再構築。


「警告する。我らが同胞達よ。これ以上我々の邪魔をし、敵対すると言うのであれば、容赦はしない」


「誰が同胞達だ。少なくとも、俺達はお前らを根絶させてやるつもりだ」


「愚かな……我らを根絶させると言う事は、この宇宙全てを敵に回すも同然」


 人の型は作れど、細部のパーツまでは作らない。それが奴らのやり方。

 白い人型の物体は俺達を同胞と呼び、警告をするも……俺達はお前達に深い恨みしかない。

 他所から来て、一方的な挨拶と宣言だけして他人様の星諸共融合しやがって!

 お陰で故郷を取り戻す為とは言え、副王と契約を交わすハメになるわ、何度もループさせられるわ……


「構わんさ。俺達と同じ被害者を産み出すよりは、ずっとマシだ」


「やはり、お前達は……危険分子、だ。光──消えろ!!」


 あわよくば、一体でも倒してやろう。そんな気持ちで右手からハンドショットを撃つも。

 気味悪い球っころは縦横無尽に空を飛び、他人を小馬鹿にする様に飛んで見せた後。

 俺達を危険分子と呼び、消えろ!と言うだけ言って何処かへ飛び去って行った。


「ふぅ……手出しをせず、見届けてくれてありがとな。フェイク」


「……っ」


 バハムートが守ってくれていた、男勇者候補生・フェイク一行に近付き。

 約束通り見届けてくれた意味も込め、握手を──と手を差し出すも、俯いたまま手を出さない。


「畜生っ!」


 ただそれだけを言い残し、フェイクは何処かへ走り出して行き。

 女僧侶と女戦士も此方に頭を下げ、後を追って行った。この言葉の意味を……今も理解出来ていない。

 呼び出した本人が消えたのもあり、終焉の地と言うフィールドも歪み──元の場所へ戻った。




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