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ワールドロード  作者: オメガ
四章・just believe in your eyes
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レギオン

 『前回のあらすじ』

 突如起きる地震。その発生源である、スピラ火山へと調査に向かう一行。

 戦力を五つに分けて調べる調査班に襲い掛かる、過激派の龍神族。

 貴紀達には三騎士が現れ戦闘になるもヴァイス、シュッツの助力で敵を撤退させる事に成功。

 しかし別動隊がヴィンターアイランドを襲撃していたと連絡が入るが、撃退に成功したと続いた。



 ゼロライナーに乗り、ヴィンターアイランド近くへ帰還。やはり既に結界内の行動は、探知されない。

 そして不思議な事に、神殿や建造物の周りに誰も居ない。そう、警備の見張りすら……


「陥落した……と言うには、余りにも損傷がない」


 考えられるパターンとしては……一、誰か人質を取られ、見棄てれず指示に従って投降。

 二、内部にスパイが潜んでおり、遥が捕まったが為に投降……それだと一番とほぼ同じか。

 三、襲撃は報告通り無事に撃退したが、出るに出られない状態に陥った。可能性的にはこんなモンかな。


「レーダーに反応あり、敵襲や! 数は──ウチらの周りを埋め尽くしとる!?」


「何っ……うおぉっ!?」


「全員、衝撃に備えて!」


 隣で敵影を見て貰っていたら、突然敵襲に遭遇。それも運悪く、ヴィンターアイランドへ突入前。

 即ち、下り坂一歩手前。続けて操縦が全て効かなくなり、ブレーキも出来ぬまま湖へ真っ逆さま。

 第三車両のエナジー電池用バリアコーティングと酸素ボンベのお陰で、水中や水圧も十分間は平気。

 問題解決の為第三車両へ走り、車両が大きく揺れ動く中、放り込まれる形でスレイヤー専用格納庫へ。


ACS(エーシーエス)コール、グラビトン!」


「了解や。アーマー・チェンジ・システム、及びリボルシリンダー、起動!」


 通信にも出ない寧とマキに代わり、ヴァイスが不慣れながらも対応し、無事に起動。

 音声と魔力による本人確認と入力が済めば、回転式格納庫は回り、零番で停止。

 開いた蓋の中から伸びる複数の作業用アームが、パワードスーツを必要分装着させ、再度回転。

 次は二番で停止。不足部分の背中・両腰へ第三装甲・重力子(グラビトン)を装着。ゲートを通り外へ。


「やはり、水底へ到達した揺れ……か。わざわざ、三位一体融合をするまでも……?」


 出た先は当然ながら──湖の底。此方も制限時間がある為、ゼロライナーへと駆け寄る。

 全体のカラーリングは黒色だった筈が……何故か漂白でもされたかの如く、真っ白色に。


『貴君、急いで!! なんや、車両のあちこちから叩く様な音がしてんねん!』


「了解、早急に調査す……る?」


 確かに、叩く様な音が振動を伝わって聞こえ……ッ!!

 ゼロライナーの車両全てに目玉が現れ……私の方へ一斉に視線を向けた以上。

 コイツらは意思を持っている……そう認識した途端。蜘蛛に似た多脚を見せ、動き出した……


『音が止んだ……ありがとーな、貴く……各部に損害?! どないしたん、貴君!?』


「此方は気にせず……さっさと浮上して避難、しろ……」


『少しの間、持ち堪えてなさい。私達が離れないと、寧ろあの子が無駄死にするわ!』


『りょ、了解や。ゼロライナー、浮上開始!』


 膜のある多脚を生やした目玉達は、脚を器用に使い私の方へと軍隊の如く近付いて……纏わり付き。

 執拗に全身を脚の爪で小突くか……緊急浮上している為、バリアコーティングを維持して今暫しの辛抱。


(しかし……見れば見る程、インサニアに似ている)


 ふむ……小さく見えるあの範囲なら、上陸まで影響は無い。両手足のタービンを下に向けたまま起動。

 回転速度は最大。群れが洗い落とされるまで少し、洗濯物の気持ちでも味わうとする……

 地上で風の渦を作る手足のタービン。水中で使えば、ちょっとした洗濯機……出力的に無理があるか。

 ものの一分で全て洗い落とせた……一匹、スキャンしてから戻るべきか。正体不明よりはマシ……


「光、消えろ」


「この声は……ッ!?」


 死んだ異形に近付き、バイザーで体組織などを調べ終えた時……突然聞こえてくる、不気味な女の声。

 続けて私の前に姿を現し、青白く発光し浮遊する左右反対の心臓。

 マリスミゼルてま融合獣と戦ったが……やはり、貴様らも生き残っていたか……ノイエ(新しい)ヘァツ(心臓)!!


「光よ、消えろ。闇よ、滅びよ。我らは自ら破滅へ向かう、この星の命を救う救世主である」


「煩い……貴様らの押し付けなど、此方から願い下げだ。それをいい加減、理解しろ……」


「この星の命に呪われ、呪いし憐れなる者達よ。何故我らの救いを拒み、妨げる」 


 融合獣の核にして、想像を絶する意思の集合体……ノイエ・ヘァツ。

 貴様らの一方的な救いを与えた結果が……マリスミゼルに現れた融合海獣。

 そして苦しみの悪化と延長……そんな救い。その内容を知っていれば、大抵は拒み、妨げる。


「人の言うエゴ……それこそ私が貴様らの救いを拒み、妨げる理由」


「憐れなり。長い年月を掛け、新たなる段階(ステージ)へと進化した」


「私達に今も尚、歯向かい続ける……それが人の持つ、困難へと挑み続ける意思。流石ですの、よ?」


 エゴ──それこそ私が貴様ら三勢力を拒み、計画を妨げる理由。例え幾ら進化したとしても。

 その根本が変わらない限り、私は受け入れない。上っ面の飾った言葉より、中身の意味を示し行動しろ。

 そして貴様らの進化先が、お前である事も──確信していた。だからこそ、突然現れても驚かん。


「終わりにして始まりたる者、命が辿り着く究極の形」


「私達の同胞にして最大の敵──」


「汝は何者か?」


「貴方は何者ですの?」


 交互に入れ替わる様に喋る、ノイエ・ヘッツァとナイトメアゼノ・アニマ。

 確かに。この体は死を迎えて漸くスタート地点へと立つ、命が到達する究極の形……

 少なくとも……貴様らと同一にするな。最大の敵対者、と言うのには肯定するが。

 私が何者か……か。ならば──新約聖書より、言葉を借りてこう言おう。


「我が名はレギオン。我々は、大勢であるが故に」


 私に与えられた、エックスと言う文字。それには、未知数や無限と言った意味が込められている。

 私は率いる。生まれや種族も関係ない、未知数にして無限の百鬼夜行を。故に……レギオン。

 その言葉を聞き終えると、ノイエ・ヘッツァとアニマは姿を消した。……合流するか。


『此方、アインス。そちらの状況は?』


「敵と遭遇。戦闘は無し、各部に損傷あり……今から浮上する。回収を求む」


『了解。回収後、情報共有を行うわよ』


 通信が入った為、対応しつつ足のタービンを高速回転……そのまま水底の砂を踏んで跳躍。

 瞬く間に水面へ浮上。上陸したら今度は足を地に着け……タービンで移動し、第三車両・格納庫へ。


『格納庫への収容確認。装甲のパージを始めんで?』


 装着する時とは真逆。先ずは三位一体身魂融合を解き、通常の融合状態へ。これで装甲が外せる。

 対応する回転式格納庫が動き、作業用アームが第三、第二装甲の順に外して行く。

 装着前に戻ったら、融合を解いて静久と分離。そんで着替えたら格納庫を出る。これが一連の流れ。


「有機物無機物問わず融合し、Χ()獣と化す未知の生命体、ノイエ・ヘッツァ。ごめん、頭が……」


「正直、信じられない……それにこの解析情報。遺伝子上、単為生殖が可能って……」


「餌は自身以外の全て──生まれたら直ぐ、食物連鎖の頂点って事よね? 何それ」


 魔王、女医、エルフ。融合獣がどんな奴かを知らない面々は揃いも揃って頭を抱え、唸っていた。

  此処から更に進化したり、ノイエ・ヘッツァ単体から分裂が出来て数を増やせる。って言ったら……

 うん、パンクしそうだね。よくよく考えると自分、こんな奴と何度も戦って、勝って来たんだよね。

 仲間達の存在と協力が無ければ、勝てなかったのも多い辺り……本当に厄介極まりない。


「それで、防衛組と留守番組とは、連絡は取れたのか?」


「それが……まだ」


 防衛・留守組とまだ、連絡が付かない。殺られた……にしては、遺体や血痕などが全くない。

 連絡も無しに別の場所へ移動した……可能性としてはあり得る話だが、それなら何処へ行った?

 人質を取られ投降、現在も出るに出られない状態。考えれば切りがないな……疑問を晴らすべく、神殿へ戻ると。


『戦闘の後? にしては、部屋が綺麗』


「遥、大丈夫か?!」


「……大丈夫。ちゃんと脈はある。毒物の可能性は現状だと、判断が付かないけど」


「そうか。後は目を覚ま──っ!!」


 ロビーで倒れている遥や警備員、メイド達を見た際の発言……いや、筆談がそれだった。

 確かに争った痕跡は無く、まるで暗殺でも受けた様な状態。慌ててニーアと共に遥の下へ駆け寄り。

 脈や症状を診て貰い、無事だと知る。ホッと胸を撫で下ろした時──また左眼が何かを映す。


『終焉様、頂いた御守り。その大半を、此処で使わせて頂きます。流石に、身の危険を感じますので』


 黒い神官服を着た、やや幼さが残る長い金髪の少女が見える。何処かで見覚えがあるんだが……

 そうだ、副王に飛ばされた後。夢だと思っていた光景に、終焉と一緒に映っていた女神官だ。

 確かその後にライチやレイシ、志桜里達を第三者視点で見ていたんだ。森の巫女云々って時だったか。


『わわっ!? 黒い小石が……次々に増殖と分裂を繰り返してく!』


 小袋から蒔かれた細い小石は──その見た目から来る概念の一切を壊し、細胞分裂と増殖を繰り返す。

 無機物では無く、そう言う生命体であるかの様に。そしてこの神殿に住む住人達の姿へと化けるが。

 動く気配は無く、倒れ伏したまま。まるで地雷とか食虫植物の様に、獲物が引っ掛かるのを……マズイ!


「ニーア、すまん!」


「阿呆! 貴紀、お前も早く──っ!」


 死を予知する直感は発動しない。つまりは即死ではないにしろ、危険なのは明白の事実。

 ニーアに呼び掛けると同時に、大急ぎで後ろに突き飛ばす。静久に言われ、傀儡から手を離すと。

 それがスイッチらしく……眩いまでの閃光、外見からは予想だにしない程の、大爆発を引き起こした。




名前:アイ・アインス

年齢:不明

身長:171cm(仕事用)、162cm(普段用)

体重:63kg(仕事用)、55cm(普段用)

性別:女性(外見上&自己申告)

種族:旧支配者(外なる神)

設定


 潜入&地固めの為にヴォール王国の国王、紅心に仕えたメイドの一人。

 残る五人を纏めるメイド長でもあり、教会のシスターも兼任している。

 髪型はハーフアップ、サイド側のみ三つ編みのストレート銀髪。

 メイド部隊・オラシオンのリーダーにして、近接武具や素手での戦いに精通している。


 その正体は──這い寄る混沌・ニャルラトホテプ本人。仕事用と普段用で容姿を変えている様子。

 敵対する者には容赦せず、その実力も極めて高い。が……殆んど本気は出さない。

 貴紀にOZ計画の強化改造手術を施した一人でもあり、精神寄生体・ゼロの産みの親。

 現在はオラシオン全員を含め、貴紀に仕える専属メイドとなっている。



スキル

・戦士の心得Lv6

 戦士特有の様々な近接系武器や盾を使い、臨機応変な戦闘スタイルを取り易くなる。

 本人曰く、今回の任務専用の縛り。


・魔術師の心得Lv6

 様々な魔法に関する知識を得、呪文を唱えられる。

 このスキルだけではまだ、詠唱中に動けない。


・魔法剣士への覚醒Lv10

 戦士(剣士)系と魔法(魔術師)系のスキルレベルを6に上げた状態で覚えられるスキル。

 双方のスキルの弱点を克服し、詠唱中の移動や物理攻撃も可能。

 更に魔法の付加や敵の魔法付与を解除する事も可能に。


・守護の心得Lv7

 防御系魔法(奇跡)の性能を高め、反射効果をも上乗せ出来る様になる。

 更に性能を上げる為には、慈しむ・愛する存在を守る強いイメージが必要。



・拳闘士の心得Lv5

 素手での戦いに特化したスキル。

 複合系スキル・スレイヤーの一部で、敵の急所や弱点を見極め易くなる他。

 攻防に使える身体の硬質化や、様々な呼吸法も扱える。

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