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ワールドロード  作者: オメガ
三章・alternative answer
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フォックス・アーマー

 『前回のあらすじ』

 ストレンジ王国へ残して来た仲間達と合流すべく、王国へ戻った一行。

 しかしニーアとエリネ、ルージュと琴音のペアは各々の主張から、口論や喧嘩を始めてしまう。

 峰平兄弟と話していると、王国に何かが落ちて来たのだと知る。その正体は……ナイトメアゼノ・ホライズン。

 更にケンプファーや量産型ディーテρ(ロー)の大隊までやって来た。貴紀は守るべく、戦地に向かうのであった。



 何事かと集まろうとする人混みの上空を紅い光球となって通り抜け、現場に舞い降り、纏った光を払う。


「悪魔だ……預言の通り、悪魔が来たぞー!!」


「調律者様に連絡を入れなきゃ……」


 俺の姿を見るなり、悪魔だの何だのと勝手に騒ぎ始める他。

 調律者姉妹に連絡を入れようと、携帯で電話をし始める住民達の声が、否応なしに聞こえて来る。

 が……そんな雑音はシャットアウトだ。今は、今だけは──奴らを俯瞰視点に捉え続け、倒すだけ。


「優先順位、第一と第二の捕獲対象を確認。ケンプファー様、我等量産型ディーテ・No.ρ(ロー)大隊と機械化歩兵師団に指示を」


「大隊は戦力を四分割し、第二の捕獲対象のみを捕縛。機械化歩兵師団は奴の仲間を全て捕縛せよ」


「はっ!」


 量産型共はケンプファーに指示を仰ぎ、大隊……ざっと千体もの量産型が四班に分かれ、俺を囲う。

 機械化歩兵師団とは誰の事か。頭を悩ませる暇も与えず、野次馬達は自らの手で顔の皮膚を剥がし。

 機械と化した素顔を見せ、纏っていた衣服すらも脱ぎ捨てたその姿は──量産型ディーテ達だった。


「調律者姉妹の奴ら……ストレンジ王国の住民を、量産型ディーテにすり替えていたのか!」


「その発言には、間違いがある。正確には、寝静まった頃を狙い、量産型に改造していた……だ」


 構えの一つも取らず、背後のホライズンに敵対行動すらしないケンプファーは、俺の発言を訂正。

 柔硬の二重装甲を盾、数の暴力を剣に集団で四方より襲い掛かってくる量産型共。

 最初っから全力全開。フュージョンアームズも使わなきゃ、勝ち目は微塵もない!


(宿主様、忘れたのか? 適材適所。意地になって無理を通す必要はねぇ、俺に代われ!)


「ゼロ……よし。コイツらは頼んだ!」


 そうだ。何も律儀にも不利な奴を相手に、俺が挑む必要はない。

 ゼロに言われて素早くウォッチを操作し、ウォッチから放たれる青い閃光と共に交代。


「テメェらの硬度はっ、宿主様の一撃で、覚えてる……ぜ!!」


 交代するや否や──パワードスーツは増加された体の筋肉で、はち切れん程に盛り上がり。

 繰り出す剛拳はディーテ自慢の二重装甲を、障子でも突き破る様に貫く。相変わらずの馬鹿力だな……

 これが本当のごり押しプレイってか? 相手は機械って事もあって、倒しても次から次へと迫って来る。


「あぁ~……もう!! どんだけ居やがんだよ、この玩具共はよぉ!」


「今回は大隊と呼ばれる数の最大数である、千体を投入している」


「テメェっ、軽々しく言いやがって……うおっと!」


 三十機程倒した辺りで、敵の数が全く減らないと理解して愚痴ると──ケンプファーから数を言われ。

 指を指して文句を言おうとするも、今は当然ながら戦闘中。空気も読めない量産型達が襲い掛かる為、迎撃。


「──!? 宿主様。こうなりゃあ、新型の第三装甲を使うぞ!」


(新型って……アレはまだ、完成してないんじゃないのか?)


 一瞬、ゼロの動きが止まった。その隙に四肢を捕まれたり、何機ものし掛かられて押し潰された。

 そんな中、突然完成していない第三装甲を使うと言い出した。が、寧達から完成したと言う連絡はない。


「今さっき、本体から連絡が来た。第三装甲の四号と五号が完成して、最終チェックも終わったってな」


(そうか──分かった。使うぞ、新しい第三装甲を!)


「良し来た。それはそうと……鬱陶しいんだよ、ブリキの玩具風情がよぉ!」


 どうやらアインス……いや、真夜か。直接連絡があったらしく、もう使える状態らしい。

 使う事を伝えると、ゼロはのし掛かっていた量産型を全て吹き飛ばし、立ち上がる。


「なあなあ、宿主様。俺が言っても良いよな? 一度言ってみたかったんだよ!」


(はいはい……分かったから、さっさと言えよ)


「よし。では改めて──三位一体身魂融合、トリニティ・フュージョン!」


 が──変身の口上を言いたいと、必死にボディーランゲージ混じりで聞く為、やれやれと思いつつ了承。

 フュージョン・フォンにある四つのボタン。赤・黄・青・緑の内、黄を押してバックルへ差し込んだ。


「何をしても無駄と……むっ、何者だ?!」


「何者と言われても、メイドになった魔王と」


「勇者候補生だよ!」


 俺達を囲っていた量産型が蹴散らされ、吹っ飛ぶ。それに気付くも何が奴にぶつかり、呼び掛けると。

 琴音とルージュの二人が堂々と、正面から乗り込んで来た。それと何故か、白狐ロボが目の前に着地。

 どうやら奴に当たったのは、この白狐ロボらしい。突然分離し、肩・腕・胸・腰・足に自動装着。

 仮面はクラッシャーを除いて外れ、黄色いマントと合体。最後に狐ヘッドが残された仮面と合体し完成。


「不思議だ……何処か懐かしくて、温かい感覚に包まれている」


(アレ? 俺から宿主様に、主導権が戻ってるぅ?!)


「何あれ……神主? それとも、狐巫女?」


「なんだ!? なんだと言うのだ、この風は!」


 分かった。この感覚は──母親の温もりだ。優しく、厳しく、子供を包み込んでくれる愛情。

 目を閉じ、天を向く。吹き付ける風が……沢山の情報を運んで来る。皆の位置、声、天候。その全てを。


「自然と共に生きる力……今、目覚めた」


「新しい力か。量産型ρ(ロー)大隊、破壊者を取り押さえろ!」


 感じる。風を押し退けて飛来する大群を。でも、不思議と恐れや焦りと言う感情が湧いて来ない。

 諦めた訳でもない。ただ──そう、一振りで『蹴散らせる』と確信しているからだ。

 高さに差はあるものの、多少は纏めて行けそうだな……何気無しに、手を広げて舞う様にくるりと一回転。


「──ッ!! 屈みなさい!」


「なっ、何を……!?」


 足を止め、目を開けば──強風にでも吹き飛ばされ、鎌鼬にでもやられたのだろうか?

 転げ落ちた量産型達は共通として、身体中に鋭い切り傷がある。中には、胴体が切断されているのも。

 琴音達は屈んで、事なきを得た様子。ふむ……風を操る能力か否か、それも検証が必要だな。


「量産型ρ(ロー)、四方八方から奴と奴の仲間を攻めろ!」


「やはり、私達も狙って来たわね」


「とは言え、ボク達は足手纏いじゃないけどね!」


 僕と彼女達、双方を狙って来た訳か。お互いの距離は六メートル……不思議と、手が届きそうな感覚だ。

 左手は天に、右手は後方の彼女達へ向け、風が教えてくれる情報を元に、量産型達を止めるイメージを行う。


「止まっ……た?」


「でも、これは絶好のチャンス!」


「何が起きている。破壊者、貴殿の新しい力か!?」


 身震いをする様に震えはしているが、量産型達は空中で停止している。

 小さな風の渦をイメージすると──僕の周辺で固まっている量産型達は渦を描き、切り裂かれてバラバラに。

 彼女達の方も、各々量産型を倒している様子。ケンプファーに問われるが、僕も把握し切れていない。


「だが、今の貴殿は中距離用と判断した。ならば!」


「接近戦で勝負を決める、そう言う訳だね。でも、それは甘い判断だと思わないのかい?」


 先程までの力を使わせんと、一気に距離を詰めて来るケンプファー。流石の対応……と言いたいな。

 それに対抗して腰に付いた四本の尻尾。その内側から左手へ吸い付く様に飛んで来るは──扇子。

 恐らく利き手と思われる右手で殴り込んで来た。コレを右手で受け流しつつ回転し、右肘を奴の後頭部へ叩き込む!


「あ……がっ……!?」


「ケンプファー相手に……直撃を叩き込んだ!?」


「遠心力と加速も加えた、後頭部への一撃。これは効いたわね」


 手応えは十分。だけど、思った程パワーの向上はない。強打ではあるが、致命的な一撃ではない。

 それを証明する様に、数歩よろめくも、僕の方を振り向いて構え直している。


「ムエタイ──だったか。肘や膝を使った拳法の名は」


「そうだよ。僕は仲間達から、人間が編み出した、沢山の出来事を学んだ。それが僕の強さだ」


「人は欲望に取り憑かれた悪。徹底的に管理し、監視しなければならない悪!」


「正義に取り憑かれた、哀れな奴だね……君は。人間には喜怒哀楽の他、善悪があるからこそ、成長出来ると言うのに」


 武術を一発で見破られたのには正直、内心驚いたよ。僕は多くのモノを失った。でもそれは──

 新しい何かを詰め込めるには、必要な事だった。ケンプファーの発言は、正しい解答かも知れない。

 でも、僕に取っては間違った解答でもある。そのぶつかり合いが争いを、戦争を産み出してしまう。

 正義の反対は正義だ。誰かの正義が、悪に見えるだけ。だけど──やり過ぎは良くない!


「ライトニング……ラディウス!」


「成る程。僕の技も使えると言う訳かい。それなら」


 知った動きと構えを取り、魔力を練って撃ち出して来た。真っ直ぐに飛んで来る、紫色の魔力光線。


「スピラーレ・リフレクション」


 トンボを捕まえる時、指で円を描く様に扇子で螺旋を描けば、奴のライトニングラディウスは螺旋に呑まれ。

 扇子をケンプファーに向ければ、渦の中心から一直線に跳ね返って飛んで行き──虚を突いた故か、直撃。


「理解した。貴殿の新しい力は……超能力か」


「ねぇ、魔王さん。超能力って、何?」


「人間が脳のリミッターを外した結果、使える様になると言われている力よ。サイコキネシス、とも呼ぶわね」


 成る程。言われてみれば、そうかも知れない。天狐である僕……恋と、巫女である私、霊華が融合対象。

 それが合わさって、神秘の力を産み出した──と言う訳かな。まあ、別に良いさ。後々考えれば良い。


「ん?」


「おや……もう限界か」


 魔力経路が点滅して、魔力残量が残り少ない事を教えてくれる。とは言っても、まだ五分程度しか経ってない。

 エナジー電池の残量が元々少なかった? もう少し使いたかったけど、仕方ないな。


「解除、返送」


 フュージョン・フォンを取り外し、操作してフォックス・アーマー(仮)を送り返す。


「残念だったな。もう少し使えていれば、勝てたものを。剣士や砲撃型では、私は倒せんぞ?」


「誰が剣士や砲撃型を使うって言ったよ」


「何っ?」


「俺にはまだ、寧達から託された力が残ってるんだよ!」


 他の第三装甲では勝てないと言うも、まだ一つだけ残されている。勝利の可能性が残された力。

 予定の入っているNo.Ⅲを除き、寧達が作る予定では最後の第三装甲……No.Ⅴがな。

 再度フュージョン・フォンを操作し、今度は青色のボタンを押してバックルへ戻す。


「連続での三位一体融合……どうなるか分からないけど、今は試す他ない! トリニティ・フュージョン!!」






 ちょっと風邪を引きまして、今現在治療中で御座います。現在は幾らか良くなり、ちょこちょこ忙しく、先週は更新出来ませんてした。申し訳ありません

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