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ワールドロード  作者: オメガ
三章・alternative answer
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二人の道

 『前回のあらすじ』

 人間牧場に辿り着くも、ディーテの新型と量産型の他に、アルファまでもが監視を行っていた。

 駆け付けたムートの自らを囮にする願いを聞き入れ、変装能力を付与。新型と量産型を引き付ける事に成功する。

 残るアルファは貴紀が相手をし、恋と峰平進を先に潜入させる。戦う最中、相手の仮面を少しとは言え、殴り割った。

 が……その顔と声は兄貴かつ、師匠の一人でもあったユウキそのもので、心を動揺されて逆転されるも、ネロの登場で九死に一生を得る。



 潜入自体は何も問題は無く、 妨害なども特にはなく進んだ。 ただ、俯瞰視点を通して覚える違和感は──


「機械兵達が……全員倒れてる?」


 そう。侵入者を警戒し、撃退を任務として遂行する機械兵達が見える限りでは全員。

 機能が停止した様に、倒れ付している。これでは警備の意味は何もない……先に潜入した恋達がやったのかも。

 そう思うも、生命体をサイボーグやら機械に作り替えてしまう調律者達の技術を理解し、止めれるか?

 と言う疑問を前に、進んでいた足も止め。もしや、第三者が自分達同様に潜入しているのでは? と頭を悩ます。


「お父さん。何を考えてるの?」


「あぁ、ちょっと現状をな」


 余程険しい顔をしていたらしく、愛娘に顔を覗き込まれていると知るまで、気付かなかった。

 ネロは母親の寧によく似て、とても頭の良い子だ。もしかしたらこの現状に関しても……

 何か理解しているかも知れない。そんな考えもあり、何か気付いた事はないかな~……的な気持ちで言うと。


「この人間牧場にある電子機器全部、ハッキングされてるの」


「人類を越える技術力で作られた、機械兵を……乗っ取る? そんな事、可能なのか?」


「可能も何も、技術を理解してるモノが直接入力すれば、簡単な事よ?」


 人間牧場の機器全部が、何者かに乗っ取られていると言う。しかも、発言から複数人ではなく一人。

 でも、直接入力とはどう言う意味だ? 屈んであちこち触れて調べてみるも、入力端末は無い。

 ただ……人と同じ耳から、粘着性のある透明な液体が出ている。こう、触手に耳からシステムを弄られたか?


「多分、お父さんが考えてる通りだと思うよ?」


「って事は、触手を持つエイリアン紛いが居るって訳か」


 そう言う展開は、薄い本でやって欲しいもんだ。幾らか需要はありそうに思えるんだがな。

 いや、自分の性癖はケモ耳幼女巫女だから、別に出ようが出まいが、どうでもいい。

 そんな思考は後にして、娘と二人で各フロアを調べつつ、下へ下へ降りて行くと……


「これは……随分と生々しい光景だな。ネロ、この部屋は見ない方がいい」


「う、うん……」


(ははっ。これは確かに、人間牧場だな。人と家畜が入れ替わったら、こんな感じだろうよ)


 とある大きな部屋で、生々しい光景を見た。産めよ、増えよ、地に満ちよ……とか言う台詞があったがな。

 愛も何もないコレは、ただの機械と同じなんだよ。子を産み落とすだけの、言わば女王蟻と雄蟻の関係。


「奴ら……此処で生まれた赤子にも、脳へマイクロチップを埋め込んで、管理してるのか?」


(だとしたらよぉ。俺、ますます奴らのやり方や計画を阻止したくなったぜ)


「それには同感だ。例えこれがッ、人類の生き残る唯一の道だったとしても……自分は」


 唯一の出入り口にまで、微かに聞こえてくる色っぽい声の数々。

 その中に嫌がる声や、止めて欲しいと言う声が混ざる。その昔、女性は子を産む機械だ!

 とか言った政治家は居たが……それが実際にやればこうだと、そう言いたいのか。調律者姉妹はッ!!

 生き残る為のインプラント、管理だと? 例え人類がそれを求め、望んだとしても、自分は絶対に認めない。


(けど、それを求め、望むのが人間だ。人間の唱える正義って悪だぜ? 宿主様)


「分かってるッ!! 分かってるんだ……そんな些細な事は」


「お父さん……」


 生存本能が、死から離れようと働く。睡眠・食欲・性欲──その内、性欲は種を存続させる欲求。

 それに快楽が付与され、最悪、麻薬も同然の中毒を引き起こす。

 そんな現実から逃げる様に、真後ろの部屋へ駆け込んだ其処は……人工的に子供を作る、効率重視の部屋。

 培養液に浸かる、異形の赤子達。モニターを見ると、遺伝子操作をしているのが、自然と理解出来た。


「うぅッ……うわあぁぁぁっ!!」


 両手に魔力を集め、光弾として部屋中にばら撒いたのは……覚えている。それと──

 この牧場を、施設を破壊しなくては! と思った事も。非人道的な此処を、技術を、生まれた命を。

 意識がハッキリし始めたのは、部屋を完全に破壊した後だった。鳴り響く警報、止めようと左腕を引っ張る娘。


「す、すまない。気が動転していたらしい」


「これで人類は──お父さんを敵視しちゃう、ね?」


「構わんよ。他人の不幸を自身の幸せと認識する連中や、自己中心的な奴らの敵になろうが」


 人の愛や、助け合う心を忘れた奴らに嫌われようと。例え──その心を持つ者達に敵視されようとも。

 この考えを理解して欲しいとは言わん。俺は……右手に魔力で爆炎球を作ると。

 強く歯を食い縛り、振り返りながら向かい側の繁殖部屋目掛け、悪魔達と編み出したこの技を投げ込んだ。

 鳴り響く爆発音、吹き付ける爆風と爆煙。その風に乗り、人の焼ける臭いも行った結果として、鼻を襲う。


「どうして人は、言葉と言うブーメランを投げ合うのかしら?」


「自分の事は自分がよく知ってる。大抵はそう言うが、実は全く見えてないからだよ。かく言う、自分自身もな」


 隣の芝生は青いと言う程、他人の成功は良く見える。その影に、数多くの失敗があるとは知らず。

 そして──過去に言った自身の発言を指摘されると逆ギレしたり、過去の話を持ち出して話題を変えようとする。

 そのブーメランは直ぐに帰って来たり、時間を置いて帰って来る。刺さったとも気付かせずに……な。


「何の騒ぎだ!? ってお前……ジャンク野郎!」


「なんだ? 親の七光、敗者(ルーザー)


 騒動を聞き付け、駆け付ける男の勇者候補生・フェイク。と、その取り巻きである女戦士と女僧侶。

 相も変わらずジャンク呼ばわりするので、皮肉と嫌がらせを込めて、敗者(ルーザー)呼びをする。


「親の七光だとぉ……お前、この場所が人類存続に必要な物だと知っての事か!」


「多少はな。まあ、あんな物に頼る時点で人類と言う種の終わりも見えたがな」


「この魔力……古の禁書に書かれていた破壊者、オメガゼロ・エックス!?」


 少し駄弁ってる内に、女僧侶が此方の正体に気付き、少したじろぐ。

 パッと見十代中盤に見えるが、その歳で魔力を感知出来るのか……若そうなのに、努力家なんだな。


「そんなっ。コイツが……あの、光闇伝説に登場する──赤き光の使者!?」


「逃げましょう、勇者様。我々では敵いません!」


 驚きと屈辱が入り交じってか、体の震えが止まらないフェイク。女僧侶が的確な助言を言うも──


「うるせぇ!! 俺が、こんな落ちこぼれジャンク野郎に劣る筈がない! ましてや、ジャンク野郎が……!?」


 その助言を無視。勇者の格好で鉄の剣を振り上げ、力一杯振り下ろして来るも……

 そんなもん、右人差し指に魔力を集めるだけで十分。刃は指先に触れるも、切り裂かれてはいない。

 仕返しに左手で、デコピンをしてやったら──大袈裟過ぎる程に後ろへ転げ、大の字になって倒れた。


「フェイクに言っとけ。本物の勇者になりたいのなら、自分の言動に責任を持て。とな」


(おぉ~、カッチョいい台詞ですなぁ。それも、宿主様自身へのブーメランか?)


「行くぞ、ネロ。時間が惜しい」


 これが戦い続ける俺と、叩ける時に叩き、非難するだけの連中との──埋められない差だ。

 それとゼロの言う通り、自分自身へのブーメランでもある。勇者には……なりたくないがな。

 勇者候補生パーティーに背を向け、下のフロアへと降りて行く。その最下層は薄暗いフロア。


「やっぱり捕まってたか、ルージュと巴さん。それに、先行させた二人も」


 フォースガジェットを懐中電灯代わりに、牢屋だらけのフロアを探索中。漸く見付けたのは、眠らされた四人。

 戸を開けようにも、鍵穴が見当たらない。カードを読み込ませる部分もない、どう言う構造なのか。


「その牢屋は、このカードで開くんですよ」


「ムート君!? 無事だったのか……にしても、よく知ってるな。そんな情報やカードの存在を」


「それが俺も、自分自身でも何がなんだか……」


 突如背後から現れ、黄色いカードキーを見せて来た。無事だったのは嬉しいけど、素直に喜べない。

 信じたいからこそ浮かぶ疑問。彼は本当に、本物なのかどうか? もしや、機械兵に人工皮膚を?

 そんな気持ちか心に渦巻きつつも、カードキーを受け取り、扉に近付ければ……電子音が響き、解除されて開く扉。


「ルージュ。起きろ、ルージュ!」


「んっ、んん~。あぁ……どうやらボクは君を想うが余り、夢を見ているみたいだ」


 右頬を軽く叩き、肩を揺すって無理矢理起こす事に成功するも、どうやら寝ぼけている様子。

 なので、起こしたルージュの体を床にそっと置く。すると表情はみるみる不機嫌に変わって行く。


「寝惚けてないで起きろ。今は少しでも情報が欲しいんでな」


「もう……こう言う時は、目覚めのキスでもして欲しいんだけどなぁ~」


「置いてくぞ?」


「あぁ、嘘嘘! ちゃんと言うから、連れてってよ!」


 話している間に巴を背負い、峰平進はムート君に担いで貰い、恋はネロに背負って貰っている。

 それもあり、置いて行く発言をすると慌てた様子で隣に駆け寄り、捕まった経緯を話してくれた。


「なんと言うかね。とても強い奴が世界を越えて来て、戦ったんだ。負ける前に相棒を逃がしたらこのザマだよ」


「ソイツの名前、分かるか?」


「勿論。ケンプファー、それがボクを負かした奴の名前さ」


「アイツ……次元すら超えれるのか? まあ、それは今後の課題だろうな」


 ケンプファー……オメガゼロ計画で生まれた、調律者達専用の戦士。

 あの反則的な能力、戦闘力。何かズルをしていると思っているが、そのズルが何か分からん。

 取り敢えず、自分達は人間牧場から脱出後。この施設を二度と使わせない為、徹底的に破壊してやった。





『オメガのお知らせ』

 場合によっては次回は少し、投稿をお休みさせて頂くやも知れません。と、言うのも──

 2525動画のお祭りに参加する為です。可能な限り投稿する努力は致しますので、報告だけはさせて頂きました。

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