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ワールドロード  作者: オメガ
序章・our first step
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それぞれの道

 何故か一週間も経たぬ五日目で心情ゆかりのスレイヤー講義とも言える話は終わり、解放された終焉を連れ。

 気晴らしも含めて冒険者ギルドで依頼を受け、解決した三人。連れの四匹は魔物と間違われないよう、宿屋でお留守番。


「スレイヤー。話だと異能を持たないにも関わらず、相当な実力者らしい」


「えぇ。一人で危険度の高い依頼を解決するだけの事はあるわ」


「…………」


 機都へ来て初めて名を知り、活躍や魔法等が使えないと知れば知る程、実力の高さを知る。今日も今日とて売店で購入した新聞紙には、スレイヤーが倒し報告も兼ねて撮影した敵の姿が載っていた。

 一般的な小鬼や魔猪から始まり、暴走した大小問わぬ生物兵器や機械の撃破。挙げ句の果てには単独で中級魔族、上級魔物すら倒す戦果を納めている。

 冒険者ギルド・ロビーにある円卓で席を囲む三人の内、義兄姉の二人は褒め称賛する反面。

 貴紀はつまらなそうにコップの水をチビチビと飲むだけ。すると戦国武将とも思える白い縁に緑色の重鎧を着た白髪白髭の高年者が近付いて来て――


「失礼。儂はこの都の兵士長、心情ベビドと申すが……お主達、兵士に興味はないか?」


 三人の顔を一人ずつ見つつ、スカウトして来た。話と理由を聞けば、七年前に現れ兵や都に壊滅的な被害を与えた存在、ナイトメアへ対抗し国も民も守る事が出来る兵士を集めたいそうな。

 話している内、全く興味無さげにしている貴紀が気になったのか。少しばかりじぃ~っと見ては「お主。何か武術を嗜んでおるな?」冗談とは思えない程に真剣な表情で質問して来た為。

「まぁ。知識と見様見真似の出来損ない武術擬きなら幾らかは……」まだ二人にも話さず秘密にしていた事を、嘘偽りを交えず正直に答えると「そうかそうか。儂の目に狂いは無かったか」

 満足げに「ヌワッハッハッハ!」と笑い、理解出来ていない三人は互いの顔を見ては首を傾げ、不思議がる。満足して笑い終えた後、貴紀の肩へ両手を置き――


「十年……いや六年。儂が本格的な修行をさせれば、お主は他の二人と比べても見違える程強くなる。そう断言しよう」


「は? いやいや。そんな馬鹿な……」


「ヌワッハッハ! いやいや、武人のお節介と思ってくれて結構結構!」


(何だろう、この人。自分を誰かと勘違いしてる様な気がする)


 まるで大きなダイヤモンドの原石を見付け、興奮が収まらぬ状態とも言えるまま「お主達も鍛えたければ、軍事基地で儂の名を出せば良い」

 と言う言葉より、可能であれば自ら鍛え上げよう。そんな老婆心とも取れる行動力と発言に戸惑う三人。

 貴紀はベビドが自分を誰か勘違いしているのではないか? もしくは知り合いや孫、息子と重ねて見ているのでは? 不思議とそんな考えが浮かぶ。


「兵士長さんよぉ、俺達までも兵士にと集める理由。なんかあるんだろ?」


「うむ。実はな」


 突然初対面の――それも心身共に未成熟な中学生である自身らをスカウトして来た事から何かある。そう感じ話と理由を聞けば、七年前に現れ兵や都に壊滅的な被害を与えた正体不明の存在。

 ナイトメアへ対抗し、国も民も守る事が出来る兵士を集め育成する為だと言う。そもそも機都に居る人間の大半は機械製作や機械弄り好きが多く、兵士に興味を示さない。

 自分の代わりに機械兵士や生物兵器を~……と造り、暴走させては兵や市民に被害を及ぼす。後始末は兵士達か冒険者達。

 中でもスレイヤーは強化装甲服改め、パワードスーツの見た目もスリムなのに強靭なパワーを誇り、鎮圧に貢献していたりするそうな。


「自分はパス。そもそも魔法や奇跡、異能すら無いし」


「そうねぇ。残念だけど、私もパスさせて貰うわ。別の所からスカウトされてるし」


「…………」


 全く興味無さげに理由も添えて断る貴紀と、他からスカウトされている為に断るサクヤ。二人とは対照的に沈黙を続け、腕を組みながら真剣に考え、悩んだ末。

「俺は奴に、ナイトメアに勝ちてぇ。勝って、おやっさんの仇を討ちたい」当時は名前すら判らなかった、今は仇を討ちたい敵がナイトメアかも知れない。

 ならば新生兵へ入隊し、再び現れるその時まで自らを鍛え直そうと思い立ち、自身だけでも入隊する意思を伝えると。ベビドはやや不安げな表情が晴れ、頑張れよと終焉の背中を右手で叩く。


「悪いな、二人共」


「別に構わないわよ。私も超古代遺跡の調査班にスカウトされてたんだし」


「何それ。初耳なんだけど」


 一人離れる事へ謝るも、お互い様だと言う形でサクヤも別行動を取ると言う。されど貴紀はそう言った事は何一つ聞いていなかった為、動揺しながら話に食い付く。

 そうなると、二人は貴紀と離れてしまう。心配に思った終焉は「貴紀。お前はどうする?」どちらかへ付いて行くのか、はたまた一人で頑張るのかを問う。

 すると「まぁ、なんとか生き延びてみるよ」やや困った様な笑顔を見せ、発言した。義兄姉はお互いの顔を見合い、思う事は――――「不安しかない」

 これから持ち、使うであろう連絡手段となる携帯電話の番号を先に紙へ書き、手渡す。何かあれば迷わず連絡するよう伝え、二人は貴紀を残しギルドから出て行ってしまった。


「行っちまったな。お仲間さん」


「大将……まぁ、仕方ないさ。いつか来るって、判ってた事だ」


 姿が見えなくなってしまった頃を見計らい、頭の剥げた185cmはあるふくよかな冒険者ギルドの男性マスターが、貴紀の近くへ来ては大切な仲間と離れ離れとなってしまう事を慰めようとするも。

 いつか来る、当たり前の事だと発言。本当はいつまでもこんな時間が続けば良い。そんな思いも当然あったが、それは身勝手な欲望であり。

 大切な仲間の未来や夢を奪う行為だと。受け付けカウンターの地下奥へと続く階段を進み降り、照明が照らす地下室の小さな円卓へ座る。


「ま、大将。今後とも身の丈にあった依頼を頼むよ」


「あいよ。それとだな……お前さん宛の依頼が極秘裏ルートで一件入ってるが、どうする?」


 何はともあれ。なんとか生き延びてみると言い切った以上、生きる為に冒険者として稼いで食い繋ぐ。必要以上に難しい依頼は受けず、自分自身に見合う依頼をくれるよう頼めば。

 一枚の名指しした依頼書を差し出してきた。依頼書には『情報屋・Mより冒険者・Sへ』と書かれ、カテゴリーは討伐。


「どうやら、お前さんが『スレイヤー』だと言う秘密を知っているらしい」


「情報屋・M。聞いた噂じゃ、史上最年少の天才だと言う話だが。全く、末恐ろしいな」


「報酬は~っと……無制限。望むモノを与える、だとよ」


「ま、相棒と相談した上で決めるさ。例の事件も追いたいしな」


 極一部の限られた者しか知らない極秘裏ルートより送り届けられた依頼書。そして依頼人、情報屋・Mなる人物は貴紀がスレイヤーだと知った上で依頼して来た。

 報酬額から察するに余程依頼を受けて欲しいのか、無制限と言う額が逆に気になるも、自身もとある事件を解決すべく、追い掛けている。

「あぁ『都市伝説ノゾミさん』か」冒険者ギルドの大将が察して言うと貴紀は無言で小さく頷き、パソコンとキーボードを見比べつつ、人差し指で一つ一つ操作すると。


「お疲れ~。もしかして、依頼の相談?」


「いつもながら察しが良くて助かる。報酬額Limitless(リミットレス)の依頼だ」


 青い画面へ流れる様に白い文字が打たれ、マイク付きヘッドホンを装着して話すと、発した言葉が黒い文字となって打ち込まれて行く。

「この依頼どう見る?」そう話した途端、黄色い文字が乱入する形で「早速報連相とは、最高位の冒険者は他と違うね」と割り込む。


「冒険者・Sと協力者・FN、冒険者ギルドマスターだね。どうも初めまして、私は情報屋・M」


「情報屋・M!?」


 話題へと出した途端、本人と思わしき人物から直接介入を受け驚きを隠せない三人。此方の情報も掴んでいるらしく、見事言い当ててきた事へ対し警戒心も一層高まる。


「早速だけど、依頼内容を伝えるよ。討伐対象は魔神王軍が作った画像に映っている存在、Σの抹殺。報酬は君が望むモノ」


「魔神王軍?」


「野良魔物や魔族とは違い、世界を我が物にせんと企む魔の頂点、魔神王の軍隊だよ」


 話も早々に伝え、魔神王の配下が造り出したΣと言う画像の存在を抹殺して欲しいと話し、忠告も含め「一応言っておくけど、君が幾ら頑張っても魔神王を守護する存在達には勝てないよ。だから喧嘩は売らない事だね」

 魔神王配下である守護者達へは喧嘩を売るなと忠告する反面、彼等が造り出したΣは完全に倒せと無茶を言う情報屋。

 倒す以上、相手から喧嘩を売る行為と見なされても何ら不思議ではない。


「悪いが、事情や素性も判らない依頼は……!」


 依頼主の顔や素性の判らない依頼は一切受けない。そう言い切ろうとした時、冒険者ギルド内に危険を知らしめる非常用警報ベルが鳴り響き。

「緊急警報発令。危険度Xの魔族と疑わしき存在達が機都側大草原を通過中」女性と思う機械音声が知らせ、貴紀は慌てた様子で席を立ち、パソコンへ背を向け出入口の階段横へと歩き出す。


「対G用スーツ、アーマーはノーマルを用意してくれ。戦闘になったら古き騎士(アルトリッター)も使う」


「聞こえたな。対G用スーツ、Nアーマー、追加がAR。転送装置の準備は良いか?」


「了解。各種シーケンス、最終調整良し。…………ふぅ。何時でもどうぞ」


 専門用語とも受け取れる言葉を言いつつ、壁に組み込まれた液晶へ右手を当てると赤い光線が指紋を読み込み、壁が上へ開けば到底転送装置等と大層なモノすらない小部屋があるだけ。

 確認と聞き間違え予防に大将が再度伝え、協力者・FNから返事が返って来ては貴紀の目前にある壁へ紅い線が円形の門を描くと、金色をしたゲートが出現。

 それは機械では無く、どちらかと言えば魔法や奇跡が産み出されし超古代の技術である『召喚ゲート』そのもの。三メートルはある大きな門には、使用不可や封印を意味していそうな七つの鍵穴が付いている。

 

「転送装置、起動!」


 小部屋で発した言葉が起動コードになっているのか、浮ぶだけだったゲートは時計回りに回転。空洞の中心部へエネルギーが送られ、白い光が満たせば貴紀は胸元で握り拳を作り、呼吸を整え光の中へ飛び込む。

 白い光は拒まず受け入れ、後ろの土壁へ激突させる事なく指定された目的地へ送り飛ばす。好奇心に背中を押されてか、大将がゲートへ手を伸ばす――――


「っ!?」


 のだが、ゲート自身に意思があるのか。身を守らんと青白く光るバリアーに手酷く弾かれ、右手から昇る白い煙が痛く感じる高熱と火傷し、拒まれた事を意味し伝える。


「協力者・FN、一つ聞きたいんだけれど。あのゲート……何処で手に入れた?」


「…………超古代の技術が眠る遺跡。その一つから、彼が持ち帰った。それを私と彼で使える用にした」


(本当に超古代遺跡に眠る失われた技術(ロストテクノロジー)? でも今の反応は間違いなく……)


 現代技術では再現不可能な未知なるゲート。出所を確認しようと聞けば、超古代に建てられたであろう遺跡からスレイヤーが持ち帰り、現代技術で制御出来るようしたと言う。

 人工遺物(アーティファクト)失われた技術(ロストテクノロジー)……確かに魔法や奇跡を造り出し現代へ僅かながらも受け継がせた超古代文明なら、あのゲートを造ったと言うのも十二分にあり得る話。

 しかし、情報屋・Mは異常な反応をキャッチしていた。それは――――ゲートが起動する際と対応した者を送り飛ばす際、間違いなく『何処かから何かを受信、送信していた』事である。





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