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エピソード ゼロ Ⅵ
その高校の入学式がおこなわるその日、それを知らせる「入学式」と大きく書かれた看板が立てられた正門の前にその学校の制服である時流に取り残されたかのような野暮ったいセーラー服を着たふたりの少女が現れた。
「いよいよ入学だ」
「そうですね。でも、とりあえず今は入学式に集中してください」
「あのようなもの、面倒ではあるがたいしたことではない。それに一か月前の卒業式で似たようなことをやっているし」
「さすがです。それから……」
「何?」
「入学式が終わったら、デートの申し込みをするために学校中の男子が殺到することになるでしょうね」
「そういうことをうれしそうに言うな。だいたい同じクラスにまみたんがいるのだから、そのようなことは起こるはずがない。でも、もし本当にそうなったら、ひとり残らず今後人間として生きていけないくらいに罵倒してやる」
「その後に女の子も大挙してやってきます。まあ、こちらは一学年分でしょうが」
「……そっちも本当に勘弁してほしいよね。ヒロリン、何とかならない?」
「なりません」