かくて聖地へ続く道は開かれた
「校長先生、どうしましょうか?」
「そう言われても……教頭先生はどうしたらいいと思いますか?」
「同好会の申請条件は整っているわけですから、認めないわけにはいかないでしょう。調理実習室を週に何回か使用させるということでどうですか?」
「いや、あそこを利用している料理研のOGにはPTA会長夫人をはじめとした大物が多い。そんなことをしたら揉めますよ。同窓会の総会で校長先生がつるし上げられて徹底的に甚振られるのは確実です。もちろんお中元の数も激減でしょう」
「たかが弱小同好会ごときのために私がそのような仕打ちを受けるなど道理に合わぬ。ここは申請を却下するのが上策だな。それで理由はどうしたらいいかな?」
「そうですね。では、使用する部室がないということで」
「実際にないわけだし」
「では、そういうことで……」
……まったくこの学校の教師どもは上から下までバカばかりだ。第一調理実習室があるのだから、第二調理実習室もあるとなぜ考えないのだ。
……それに、現在は使用されていないとはいえ、四月に来たばかりの私が知っていることを、この学校に何年もいるおまえたちが知らないとはどういうことなのだ。忘れているにしてもひどすぎる。耄碌しすぎだ。
……だが、問題はある。あの建物は古い。そして、素人の私が見ても安全性には疑問符を付けざるをえない。
……しかし、このままこのバカどもを放置すれば、間違いなくお嬢様たちのクラブは活動できなくなってしまう。
……さて、どうする?
……考えるまでもないことだ。
「待ってください。部室はあります」




