がーるずとーく ぜろ
これは恭平が加わり創作料理研究会の部員が五人になった直後に起こったつまらぬ話である。
「では、せっかくですから記念写真を撮ります。はいチーズ」
「ちょっと待て。いまどきチーズはないよ。ヒロリン」
「まりんの言うとおりだよ。それに私たちは女子高校生だよ。いくらなんでもチーズはない」
「そうですか。では、いまどきの女子高校生は何と言うでしょうか?」
「今は……おい、橘。ちょっと来い」
「何だ」
「では、いくぞ。今は……ハイ、パンチ」
「○%×$☆♭♯▲!※」
「いいね、それ」
「なるほど、いい写真が撮れました。これから写真を撮るときは恭平君に協力してもらうことにします」
「ふざけるな。なぜ理由なく殴るのだ」
「それはこっちのセリフだ。橘よ、なぜ怒る。これはご主人様の友人からのありがたいご褒美だぞ。まりんの下僕であるおまえは『ご褒美ありがとうございました』と泣いて感謝するところだろうが。おまえは本当に礼儀を知らないやつだな」
「何が麻里奈の下僕だ。それに言っておくが、俺は殴られて喜ぶような得体の知れない趣味など持ち合わせていない」
「そうか。では、おまえのそれは性癖か。それとも体質か」
「俺にはそのような奇怪な性癖も体質もない。もちろん感謝だってしないぞ」
「ふん、何を言う。そう言いながら、今うれし泣きをしているではないか。ところで、ヒロリン」
「何でしょうか」
「ヒロリンも写真が趣味なの?」
「いいえ」
「でも、いつも写真を撮っているよね。まりんの」
「はい」
「ということは、ヒロリンもまりんラブのまみたんと同類ということ?」
「いいえ。そこはキッパリと否定しておきます」
「ふ~」
「まみたんもそこでライバルがひとり減ってよかったみたいな顔で安心しない」
「はい、すいません」
「それで、何でまりんの写真をせっせと撮っているの?」
「もちろん、まみたんやまみたんのお友達に売るためです。そうやって貧乏な私はお小遣いを増やすのです」
「本当に売れるの?」
「売れます」
「買うの?」
「買います。ヒロリン、是非売ってください」
「……なるほど。それは商売になりそうだ。そういうことなら私もやるかな」
「ちなみに、俺は……」
「バカで変態でもある貴様が写る気持ちの悪い写真の需要など、ここが異次元世界になろうが地球が三角になろうが絶対にない。ついでにバカなおまえが勘違いしないように念のために言っておけば、私は貴様を撮るつもりなど一ミリグラムだってないからな」
「くそっ。俺だっておまえなんぞに○%×$☆♭♯▲!※」




