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閑話「太陽からの贈りもの」 ④

「……さて、牟田口との今後の関わり方についてだが、どうする?」


「博子の荒業も牟田口がいなければできなかったことは事実だが、どうせ牟田口のことだ。博子を自分の手駒に加えられたと祝杯をあげているに違いない。それで、牟田口のブレーンとしてあれの手駒に加わったらしい博子は今後あの男をどうすべきだと思っているのだ?」


「ことが始まれば予定どおり見捨てます」


「理由は?」


「私たちにとっては用済みだからです。ですが、それは私たちにとってというだけの話であり、彼がどうしても生き残り今の地位を維持したければ、彼自身が努力し、彼がそこに留まる者にふさわしい人物だと国民に思われる結果を示せばいいだけのことです。そうなるのであればそれはそれで結構です。なにしろ私たちは手助けをしないだけであり彼を排除するわけではないのですから」


「それはなかなか手厳しい発言だな」


「間違っていますか?」


「いや。表現はともかくその選択は正しい。同意する」


「俺も同意だ。ただし、付け加えるならば、牟田口が自分の知恵だけで生き残れるほど次にやってくるものは甘くはないないだろう。それに第一幕と第二幕の主役が同じである必要はないと俺は思う」


「問題は牟田口の次が誰かということか」


「あれ以上の小物の登場だけは願い下げだな」


「言うではないか」


「そういう親父もそう思っているのだろう」


「まあな」


「しかし、それは私たちが決めるものではないでしょう。それよりも、もうひとつ共通認識を持っておくべき大事なことがあります」


「それは?」


「牟田口首相には舞台を下りる前にやってもらわなければならない大事な汚れ仕事が残っているということです」


「次にやってくるものはさらに甚大な被害が予想され、しかもその頃には博子が牟田口に出した処方箋には強烈な副作用があることに日本中が気づく。必然的に責任者の政治的処断は免れない。牟田口の尻ぬぐいのさせるようなことで無為に浪費させるほど日本は国を指導できる人材が多いわけではない。だから、そこまでは牟田口に国を任せなければならないということか」


「そのとおりです。ですから……」


「それまでは牟田口に勘違いをさせたままにしておく方がいいというとわけだな。気分よく泥を被ってもらうために」


「そうです」


「辛辣だな」


「まったくだ。だが、それは立花家をコントロールできるなどと考えた罰というものだ」


「すべてを失って退場する。あの男にふさわしい最期であろう」

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