Dreamtime 4 Part.Ⅱ 北高の黒旗
それからしばらく経ったある日。
その日新生北高野球部の初めての公式戦となる秋季千葉県高等学校野球大会一回戦がおこなわれる会場にそれは姿を現した。
「お、おい。あれは何だよ」
「……何と言われても……」
「しかし、なぜあんなものがここに……」
「それよりも、あのデカさは何だ。いったいあいつらは何を考えているのだ」
当事者であるはずの北高関係者の多くを含めてその場にいたものがそれの異様さと、それ以上にその大きさに度肝を抜かれ、唖然として眺めたもの。
それは……黒地に白い骸骨が描かれた見間違えようもない大海賊旗。
いうまでもない。
あの日、夜見子が結城昴に進呈すると約束したもの。
そして、これこそがこの日から快進撃を続けることになる野球部とともにときを歩み、その栄光の代名詞となるあの「北高の黒旗」なのである。
「俺の名前などすぐに忘れるだろうが、こいつを忘れる愚か者は北高関係者にはいないだろう」
……結城昴 監督退任挨拶での言葉
「これからどれほどの成功を手にできても、あの旗のもとで戦った時以上の高揚感を得られるとは思えない」
……諏訪野樹 北高の黒旗について問われた時の言葉




