7.
隊員に対して十分に作戦の説明もできたし、あとは到着を待つだけだ。
食堂で小魚以外の物も口にしようと席に着いた時だった。
船が緩やかに減速したのを感じた。同時に船内放送が入る。
『第三部隊の皆さんにお知らせです。目的地に到着しました。作戦中により停船後も許可のない外出を禁止します。』
艦長の渋い声である。
とりあえず、飯は後だな。
すぐに船の最下層、戦闘機などが発着する滑走路のあるエリアへと向かう。
そこでは、準備をすべて終えて満足そうな顔のライが俺を待っていた。
「さて、ライ君。」
その一言で、何を要求されているのかわかったらしくすぐに現状を報告してくれる。
「はい。偵察用の小型船を1隻用意できています。万が一に備えての武器もある程度積んでおきました。」
副隊長ライのピヨピヨ揺れるアホ毛を眺めながらドックへ降りた。
「偵察はライとBランク隊員をひとりのふたりで行ってくれ。目標は発見地点からそう遠くまで移動していないはずだ。逐次報告をよろしく。」
「わかりました。……隊長は本船で指揮を取ってくれるんですよね?」
「えっ?」
「え?」
「とにかく早く行けっ!ちょろっと行って映像とってくりゃいいからよ!」
サボるつもりが、ライに見透かされていたのは、流石としか言いようがない。
さすがに飯は食わせてもらうぞ。
呆れた様子のライの後ろでは整備班の隊員が偵察機の固定具を外している。
全て外されると、滑走路の始点にあたるところまで機体は移動した。
動力機関の重低音が響く。
耳が麻痺してきたとき、高い声が聞こえた。
「隊長!副隊長!偵察に参りますソニヤです。よろしくお願いします。」
俺が指名したソニヤだ。
「ソニヤ、君は語学に堪能だと認識している。もちろん世界の文化についてもだ。不明船についてわかることがあれば何でもいいから意見してくれ。」
「Ja Sir.」
少しいたずらっぽく笑うと、俺の母語ドイツ語で返事をくれた。
「出発前の最終点検を行います。隊長はコントロールセンターに戻り、指揮をお願いします。」
テキパキと指示を出すライはいつの間にか宇宙服に着替えていた。
「ライ君、俺より隊長向いているんじゃない?」
そう思わずにはいられない。