41.
「ライ。会いたかった。」
「さっきもそれ聞きました。」
皆が解散した後、僕はユダに呼びとめられた。
「お父さん達はお元気かな。」
「久しく会っていないのでわかりませんね。」
「そうか。」
一体何の用で呼び止めたのだろう。
「用がないなら、帰りますよ。」
「お父さん達によく似ているな、と思って。」
「よく言われます。」
何なら祖父に似ているとまで言われたことがある。
スペース軍という狭い世界では、そうやって身内を知るものも少なくない。
「ジョンは厳しい評価をしていたけれど、俺は君のことをとても評価している。」
話の流れが変わった。
「ぜひとも、本部に来て一緒に働きたいと思うんだ。」
これは、隊員ならだれもが喜ぶ話だろう。突然本部の部長クラスに声をかけられるのだから。
だけど、僕の場合は事情が違った。
「私の父達をスペース軍に呼び戻す材料にしたいんですね。」
「違う。」
「口では何とでも言えます。」
父とその双子の兄はまだ僕が幼いころにスペース軍から逃亡した。
優秀な二人だったと聞いているが、なぜ逃げたのかは明らかになっていない。
「あまりしつこく誘うと嫌われちゃうからね。今日はもう諦めるよ。」
「いついらしても答えは同じです。」
軽く頭を撫でてから、彼は第二部隊船との連結口へ姿を消した。
「僕だって、第三部隊が大好きなんだ。」
さっき、ユダがレイさんに抱きついていた場面を思い出す。
「おーおー。嬉しいこと言ってくれるじゃないの。」
「隊長!?」
完全に油断していた。もう、皆自分の船に帰って誰もいないと思っていたのに、よりによって隊長に聞かれるのは恥ずかしい。
「盗み聞きするつもりは無かったんだ。ただ、第十三部隊が到着したらしくてな。」
あの時、リュウ君は本当に十三部隊を呼んでいたのか!
「と、思うじゃん?」
心の内を読まれたようだ。
「燈の健康状態の確認、それから俺たちの健康診断をするらしい。」
第十三部隊は医療専門の部隊で隊長のアティエノがいつも先を読んで行動する女性だ。
「なるほど。生存者がいると確認できた時点でアティエノ隊長がこちらに向かっていたのですね。」
いくらなんでも到着が早すぎると思ったが、それなら合点がいく。
「俺たち呼ばれているから行くぞ。」
「はい。」
第三部隊船に戻ると引き締まった躰をした黒人の女性、アティエノ隊長が鬼の形相で待っていた。
「未知の船に乗り込んで、ヘルメット外して呼吸して……。あなたたち、変なウイルスに感染していたらどうするの。」
そう言われてお互いに顔を見合わせる。
今更、ウイルスと言われても、だいぶ船内を歩き回ってしまった。
「全く対応していなかった、って顔ね。大丈夫。艦長に頼んで全隊員各自の部屋に避難させたうえでマスクした状態で待機させている。」
そう言うアティエノ隊長もいかついマスクをしていた。
本当に先まで手を打っている。
「隔離病棟で検査するから。急いで。」
僕たちはなすすべなくその後ろについて行った。




