1.
「隊長、起きてください。会議の時間ですよ。」
航行中の宇宙船で、一人の青年が閉ざされたドアを前に声を荒げている。
少し強く扉を叩いたがなんの反応も無い。
ため息をつきつつ、左腕に装着している携帯端末で宇宙船の全てを管理しているコントロールセンターを呼び出した。
「こちら副隊長のライ・ナビルグ。」
「こちらコントロールセンター。いかがなさいましたか。」
「いつものことですみません。隊長の居室のロックを解除をしてください。」
「ああ、また隊長が起きないんですね。今解除します。」
瞬時に状況を察したらしい隊員が通信を切ったのち、電子錠のロックが外れる音がした。
たいして大きくもないこの第三部隊の宇宙船はスペース確保のため全ての隊員の部屋は同じ広さである。これが、本部の船だとまた事情が変わってくるのだが、うちの隊長はそういったことに全く頓着しなかった。
それ以前に、副隊長である自分を信用して開錠を許しているあたりもうちょっと色々なことを考えて欲しいと思う。
「隊長、会議の時間です。」
「ん…?今日は日曜じゃ…。」
布団に包まってこちらに背を向けている隊長はとても眠たそう、というより面倒くさそうだ。
「臨時の会議が入るって昨日連絡がありましたよね。」
「あったような…気もする…。」
「ルイさんとレイさんを待たせています。お急ぎになった方がよいかと。」
ばっと掛け布団を剥ぐと勢い余って隊長がベッドの上から転がり落ちた。
「ねえライ君さ、もうちょっとソフトな起こし方あると思うんだけど…。」
「生憎私には思いつきませんね。はいっ、おはようございます!」