13.
ロイは急いで会議室に飛び込んだ。
「不明船を見付けた。位置情報はさっき送ったのを見てくれ。」
先ほどと同じくスクリーン越しに会議を始める。
『おー、見つかったのね!良くやったわ。』
『外観や詳細はまだなのか?』
二人の興奮がスクリーン越しにも伝わる。
「焦るなって。今、船の中を探索してもらっている。」
『中に入れたの?』
「非常用ハッチが生きていればな。」
『偵察は誰が行っているの?』
「ライとB級の隊員だ。ソニヤっていう。」
『今ここに通信を繋ぐ事は出来ないの?』
この質問に思わずため息が出る。
「残念だが、報告があった直後から突然偵察船からの全ての通信が途絶えた。向こうの状況が良くなるまでは無理だな。」
『通信が途切れたってどういう事だ?故障か?』
「さあ。ジャミングされてんじゃねーの?不審船に接近したところレーダーの調子がおかしくなったって報告があったし、あり得ねえ話じゃないだろ。」
『じゃあ、今はライ君たちを信頼して待つしかないのね。』
「そうだ。だから各自準備をしておいてくれよ。」
通信を繋いだまま会議室を後にした。
小型船だけではなく、ライに渡した発信機からの通信も同時に途絶えている。
事故ではなく、ジャミングされているだけと信じたいが……。
気をもんでいても仕方がない。気を紛らわす為にドックに降りてみようかとも思ったが、気もそぞろなまま事故を起こしたくないのでおとなしくコントロールセンターに戻った。
「隊長、副隊長からの通信はやはり途切れたままです。」
隊員を誰一人失いたくない。
一瞬、ライに対しての不安が生まれる。
「約束の時間過ぎても何も起きなければ第二弾を送り込むから機動班は準備してくれ。」
三十分は連絡がつかなくなった時の保険のつもりだったが、現状その三十分を待つしかない。
艦長が船内放送をかけ、先頭隊らがドックへ降りてゆく様子がモニターで確認できた。
無事でいてくれねぇと、俺が本部に殺されちまうぞ。本部部隊長の顔を浮かべ乾いた笑みが溢れた。
*
トントンと数人の足音が響く。
宇宙服に身を包み、ヘルメットを抱えた機動班の人たちだ。
「ナビルグさんが帰ってこないなんてことありえるか?」
「そんなわけないだろうよ。」
ドックは妙な緊張感が張り詰めていた。
「私、副隊長のことすごく好きだから何が何でも助けるわ。」
「副隊長めちゃくちゃ優しいんだぜ!俺なんか何回特訓してもらったかわかんねえよ。」
「絶対助ける……!」
ライ・ナビルグは皆から愛されていた。
「ソニヤだって心配だ。あいつ、頭がいいからって、副隊長についていったけどまだ若いし実戦経験だってないんだ。それなのにもし何かあったら……。」
とある隊員は心ここにあらずといった様子でつぶやく。
後ろを歩く仲間がそれを聞いて笑った。
「なんだおまえ、ソニヤのこと好きなのか?」
「ち、ちがうよ!俺はただ心配なだけさ。副隊長がいるから平気だろうけどさ!」
はやし立てられた男性隊員はさっさとヘルメット被ってしまった。
『燃料確認!』
管制室から放送が入る。
「満タンです!」「満タン!」「満タンです!」
あちこちから確認の声が聞こえる。
出動の準備は整った。
皆は何が何でも二人を助けるだろう。




