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宇宙警察SPACE軍【レイ編】  作者: 甘納豆
12/44

10.

「あの、ルイさん……。」

大きな体をしていながら、消えてしまいそうな声で話しかけられた。

ここ数年で急成長した身体はとっくに私より大きくなっていたが、まだ顔にはあどけなさが残っている。

いつまでも子供で居て欲しい、と思う一方成長が嬉しくもある。

「どうしたのリュウ。」

「いえ……もしあの不明船に……やっぱりなんでもありません。」

リュウの固く握られた手に気付く。

生存者についてだろう。

この子は優しいからすぐそうやって見えもしない、居るのかもわからない存在に感情移入してしまう。

幼いころリュウは不審船から救助されたから、人よりもそれに関して思い入れが強いのかもしれない。

「大丈夫とは言い切れないけど、例え船の中に人が居ようとも全力で護ろう、ね?」

「はい。僕がルイさんに助けられたように僕も誰かを助けます。」

大きくなったその背中をなでてやると、落ち着いたようだ。昔は小さくてかわいかったのになあと感慨に浸ってみる。

「では、僕はコントロールセンターに行ってきます。何かあったらすぐ呼んでください。」

そう言い残すとリュウは颯爽と会議室から出て行ってしまった。

考えが自分の中で煮詰まってしまうとリュウは、こうやって私のもとに来ては胸の内を吐露してゆく。

「人を助けるなんてそう簡単にできることじゃないからね。」

閉まった扉に向かって一応説教をしておく。

助けられなくてもしょうがない、助けられればラッキーなものだ。変に気張って、本来の目的を見失ってほしくはないし、気を病んでほしくもない。

「まあ、リュウなら大丈夫でしょうね、たぶん。」

いくら思い悩んでいても、何かが変わるわけではないと割り切り私も会議室を後にした。


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