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売の書


 しばらく行くと馬車は王都に着いた。


「サイン! 着いたぞ! 王都【グライデン】だ!」


 ハイトが声を上げ、暇すぎて寝ていたサインを、起こす。


「おおっ! 着いたか!」


 それを聞いたサインは飛び起き、馬車の窓を開け、顔を覗かせる。


「「おおっ!」」


 そして二人は先にある大きな城を見て声を上げた。

 無理もない。その城は堂々と佇む、白く頑強で、力強い迫力を持つ巨大な城だったからだ。


「まさか【ハルトキア城】がまだ健在だったとはのう……。驚きじゃ」


 城の悠然たる姿を見て、サインは感嘆の声を上げる。


「え? サイン知っているのか?」


 馬車を引きながら、サインの反応を見て驚く。


「勿論じゃ! あれは今から千年以上前からある、世界で最古の城じゃぞ」


「なっ……! それはまた凄いな」


 その馬鹿げた偉大さに、ハイトはただただ関心してしまう。


「じゃな。流石は【ハルトキア】の王都に立つ城だけの事はあるのう。相変わらず美しい佇まいじゃ」


 サインは頬に手を当て、城を眺める。


「ああ。さて、まずは宿を取って、魔法書売って、一稼ぎだ」


「おう!」


 そうして馬車は揺られて城門を通過した。



【ⅩⅡ】



「おおっ。王都【グライデン】ですか。どれ、彼女を燻りだすために、柵を使って仕込みをするとしますかな?」


 そして王都に、サインを狙う、ミロードという恐ろしい変態(カゲ)が忍びよっていた。

 ミロードは魔法書を開き、サインの苦しむ姿を想像し、仮面の奥でほくそ笑んでいた。



【ⅩⅡ】



「いらっしゃいませ! 魔法書屋台【アストロ】です。お探しの魔法書はございませんか!」


「いい(モノ)がそれっておるぞ! 見ていかぬか――!」


 宿を取った後二人は馬車を引き、出店が多く並んでいる広場に来ていた。

 そして出店の準備をする。サインは自身に記載されている、次元収納魔法【アイテムボックス】を発動し、次元の倉庫から次々と魔法書を出していく。ハイトは馬車を変形させ、出店の形にし、魔法書を並べ、店を始めた。

 結果は上々だった。


「結構売れたのう」


 宿の一階にある食堂で、二人は食事を取っていた。


「そうだな――。まあ、しばらくは金に困らないだろう」


 二人ともサンドウィッチ定食を食していた。

 突然、宿の扉がバンっと勢い良く開き、一人の女性が入ってくる。豪華な服を着た女性が入ってくる。すると女性はこう叫んだ。


「魔法書屋さんはいらっしゃいますか!」


「ふぁ?」


 口にサンドウィッチを含んだまま、ハイトは情けない声で返事をした。その情けない反応に、サインがどこから出したハリセンでハイトの頭を叩いた。



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