062 ベッババ・バギ・バ・ヌンボボ・バギ討伐(前半)
今回少し短めです。
「討伐報奨金は金貨300枚です」
「え!?そんなに貰えるんですか?」
ブルジロード食堂を出た俺達は、ベッババ・バギ・バ・ヌンボボ・バギの情報を得るため、この街の冒険者ギルドに来ていた。
そこで受付のお姉さんにベッババ・バギ・バ・ヌンボボ・バギがどこにいるか聞いた所、居場所を記した地図を貰えた。ここまでは予想通りだった。
驚いたのはその討伐報奨金だ。なんと金貨300枚。破格の値段である。
「ベッババ・バギ・バ・ヌンボボ・バギには街全体が迷惑しておりまして・・・この街は海産物以外、全て他の街からの輸入で賄っております。しかし、あの魔物が山に住み着いたせいで、ブルガン山の向こうにあるアルヒンデからの輸入ができなくなっており、街の経済が成り立たなくなっております」
そうなのか。
なかなかはた迷惑な魔物のようだ。
「そこで、この街の領主が多額の討伐報奨金をかけることで、他の街からSランク冒険者を呼び寄せて至急退治してもらおうとしているんです。討伐が先になるほど、街の経済損失は膨らみますから」
「なるほど」
一応ちゃんと理由があったんだな。
「というわけなので、行くのは止めませんが無理だと思ったら諦めて帰ってきたほうが良いですよ。推定でSランクの魔物ですから、Eランク冒険者にはかなり厳しいと思います」
と、受付のお姉さんがそんな忠告をしてきた。どうせ俺達には無理だと思っているらしい。
まぁ俺達は今Eランク冒険者だし、そう思うのも無理もない。
だが、しかし。
既に昇格試験はクリアしているのだ。
よって、俺達はほぼDランク冒険者と言っても過言ではない。
Dランク冒険者なら・・・いや、どのみちSランクには届かないか。焼け石に水ってやつだな。
「ほどほどの所で切り上げてきます。それじゃ」
まぁ今回は逃げ前提の作戦だしな。期待されていないくらいでちょうどいいかもしれない。
ベッババ・バギ・バ・ヌンボボ・バギの情報を聞き出した俺達は、受付のお姉さんに別れを告げ、ブルガン山へと向かったのだった。
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「なんか陰気臭い山やな」
「そうだな、空気が淀んでる気がする」
ギルドを出た俺達は、ブルガン山の麓まで来ていた。
俺達は別ルートからこの街に来たのでブルガン山は初めて見たんだが、深緑の木が鬱蒼としていて、かなり暗い感じの森だ。雰囲気としては、フジの樹海とかに近い。絶対にピクニックには行きたくないような、そんな負のオーラが漂っている。
「この森にはあまり長居したくないわね。早く討伐に向かいましょ」
マリーも俺やチャーリーと同じ感想らしい。
三人とも嫌な気配を感じているってことは、この森には何かあるんだろうな。さっさと討伐して、森を脱出してしまおう。
「そうだな。サクッと終わらせて早く街へ帰ろう」
と言うことで、俺達は若干早足になりながら、地図に従って森の奥へと進んでいった。
森の中を進むこと5分、その声は突如響いてきた。
「ウホホッ」
このゴリラの様な声。
間違いない、バ・ヌンボボ・バギ系統の魔物が近くにいるようだ。
ただ、この声が只のバ・ヌンボボ・バギなのか、ベッババ・バギ・バ・ヌンボボ・バギなのかが分からないな。
「この声ってバ・ヌンボボ・バギとベッババ・バギ・バ・ヌンボボ・バギどっちだと思う?」
俺には聞き分けできないが、耳がいい人なら何か特徴を掴んでいるかもしれない。
という事で、二人に聞いてみた。
「んー、私にはわからないわね。前に戦ったバ・ヌンボボ・バギと同じような気がするけど、ベッババ・バギ・バ・ヌンボボ・バギの鳴き声もこんな感じらしいし。ベッババ・バギ・バ・ヌンボボ・バギかも。でも大ボスのベッババ・バギ・バ・ヌンボボ・バギにしては迫力の無い声よね。やっぱりバ・ヌンボボ・バギかしら?」
マリーにもわからないようだ。
「あかん、バ・ヌンボボ・バギって単語がゲシュタルト崩壊して、頭ぼーっとしてきた」
チャーリーはマリーの言葉に謎のダメージを受けていた。名前のクセが強すぎるんだよな、この魔物。
「どっちか分からんし、慎重に近づいてみるか」
「そうやな」
「音を立てないように気をつけないとね」
もう直接見て判断するしか無いだろう。
という事で、足音を立てないように最新の注意をはらいながら、声がした方へと近づいていった。
そして、5分ほど歩いただろうか。
今までの木が鬱蒼としていた光景ではなく、少し開けた所が出てきた。そしてそこには岩山が幾つかある。
そして、その中でも一番高い岩山。その頂上には
「あれがベッババ・バギ・バ・ヌンボボ・バギか?」
胸に紫の魔石を携えた、象のように大きなゴリラ型の魔物がいた。




