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駿足の冒険者  作者: はるあき
0章 プロローグ
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005お買い物

 冒険者登録を済ませた俺は、宿屋のブルーオーシャンへに向けて歩いていた。

 どうやらマリーは今日この町にやってきたばかりだったらしく、今夜の宿を決めていなかったようだ。それでご飯の美味しいオススメの宿はあるかと聞かれたので、俺は迷わずブルーオーシャンを勧めたのだった。


「あそこの食事は本当に美味しいからな。昨日の夜食べたオーク肉のシチューは絶品だったぞ」


 今日も出ないかな?あのシチュー。


「それは楽しみね!私の居た村ではベジタリアンが多くて、お肉料理なんてめったに食べられなかったから。私はお肉好きなんだれど」


 ベジタリアンが多い村か・・・


「そういえば聞いていなかったが、マリーはエルフなのか?」


 俺は気になっていたことを聞いてみた。


「当たり前でしょ。むしろこんなに長い耳してる時点でエルフ以外ないでしょ」


 マリーは呆れた表情でそう言ってきた。

 どうやらこの世界では長い耳=エルフってのが常識のようだ。


「すまんな、田舎者だから常識がなくてな」


 一応謝っておいた。


「別に謝らなくても良いわよ。そういえばお互いのことまだあまり話してなかったわね。話が合ってたから、もうお互いを知った気になっていたわ」


 そういえば、そうだな。

 俺が持ってるマリーの情報って、

・姉にあこがれて冒険者になった

・カバンに全財産が入っている

・笑い上戸

・エルフ(NEW)

くらいだしな。


 それから俺達は、宿につくまでお互いのことを話していた。

 といっても俺が話せる自分のことなんて、異常に素早いことや常識をあまり知らないこと、後は年齢(22歳です)とか昨日ビックマウスウルフに襲われたことぐらいだ。うん、意外と話のネタあるか。

 ちなみに狼と2-30分追いかけっこしてというところで、マリーがめちゃめちゃ驚いていた。普通はビックマウスウルフに狙われたら、逃げるのは諦めて戦うしか無いらしい。


 マリーは16歳で俺よりも年下だった。エルフと言うと、すごく若い見た目で二百歳です!みたいなのを想像してたから、意外だったな。エルフは長生きではあるらしいが、今の若さを保っていられるのはせいぜい80歳までらしい(それでも凄いが)。

 あとは、火魔法が得意なことや、ユニークスキルという特殊なスキルを持っているということを教えてもらった。どんなスキルかは秘密だと言われたが。


 そんな感じで雑談しながら歩いていると、ブルーオーシャンの看板が見えてきた。


「はじめ、案内ありがとう!私はこれから部屋で魔法の練習する予定だけど、はじめ今日はどうするの?」


「俺はさっき話したビックマウスウルフの売却金を受け取りに行ってくるよ」


 エドウィンには今日の朝に取りに行くって言っちゃってるし。

 既に朝というか昼になってる気もするが、まだ太陽が登りきってはいないのでセーフということにしておこう。


「そうなんだ。じゃあ、また後でね!」


「おう!またな」


 そう言って俺はマリーと別れた。

 そして俺は、そのまま門に向けて歩き始める。

 今日も通りの店を見ながら歩いていると、とある服屋が多くの人で賑わっていた。立て看板には【本日安売り】と書いてあるので、セール中なのだろう。

 俺の今来ている服は昨日と変わらずユニクロのパンツとポロシャツなので、新しい服が買いたいところだ。しかし、早くしないと太陽がのぼりきってしまうからな、先にエドウィンのとこに行かねば。


 ちょっと急ぐか。

 それから俺は小走り(時速40kmくらい)で門へ向かった。


 門に到着すると、エドウィンが今日も門の脇に立って門番をしていた。


「よう、エドウィン!」


 俺は爽やかに声をかけた。


「はじめか!おせぇよ!朝に来いって言っただろ、もう昼じゃねえか」


 そう言って、文句を言うエドウィン。


「すまんな、朝のうちに冒険者登録に行っててな」


 少し遅れてしまったのは事実だし、素直に謝っておこう。


 「あー、あそこは昼になると混むからな。まあそういうことなら良いよ」


 許してくれるエドウィン。やはり良い奴だな。


 「そうだ、忘れないうちに渡してしまおう。これがビックマウスウルフの売却金だ。銀貨45枚になったから、昨日渡した10枚を引いて35枚だな」


 そう言って銀貨を手渡してくれた。


「おお、ありがとう!しかし、昨日言ってた額より多くないか?」


 たしか銀貨40枚だった気がするんだが。


「頭をぶつけて死んでいたから、毛皮が傷ついていないきれいな状態だったらしくてな。高めに買い取ってもらえたんだ」


 なるほど、同じ魔物でも状態によって金額が違うのか。


「そうだったのか、ラッキー」


 武器とか服を買うことを考えると、金はあるだけあったほうが良いからな。


「おい、エドウィン。門の外で商人同士が喧嘩し始めたらしい。行くぞ!」


 俺がエドウィンに高めに買い取ってもらうコツを聞こうかとしていると、昨日居たもう一人のフルフェイス衛兵がエドウィンを呼びに来てしまった。


「分かった、すぐ行く!じゃあはじめ、また会ったら飲みにでも行こうぜ!」


「おう、ぜひぜひ」


 エドウィンはそれだけ言うと、門の外に走っていった。

 門番の仕事も大変そうだな。


 さて、俺はお金の余裕もできたことだし、早速服を買いに行くか。


 せっかくなので、門までの道の途中にあったセール中の店に行ってみた。

 すると、そこにはオーク皮の服やビックマウスウルフの毛皮コートなど、異世界情緒あふれる品がたくさん売ってあった。しかし、なんとなく魔物の服を着るのに抵抗があった俺は、麻のような素材でできた服とズボンと下着をそれぞれ4つずつ買った。

 ちなみに全部で銀貨1枚だった。安い!


 それから、冒険者として魔物を倒していくには武器が必要だろうと思って武器屋にも来てみた。

 しかし、大剣や片手剣、槍と言った本格的な武器はすべて銀貨20枚以上したので、買うのはやめておいた。まだお金稼ぎのめども立っていないし、節約しないとな。

 とりあえず、安かった魔物の素材剥ぎ取り用のナイフ(銀貨5枚)だけ買って店を出た。


 防具店にも言ってみたのだが、一番安い皮の鎧でも銀貨15枚したので、このお店では何も買わずに出てしまった。

 まずいな、冒険者の装備を整えるには思ったよりもお金がかかるらしい。


 これは初心者講習会がある2週間後までに、ある程度のお金を稼ぐ必要があるな。

 お金を稼ぐために冒険者になるにはお金を稼ぐ必要がある。

 この堂々巡りの問題に、俺は頭を悩ませるのであった。


今回ちょっと短めです。

10/27 サブタイトル修正しました

11/25誤字修正

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