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駿足の冒険者  作者: はるあき
0章 プロローグ
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004はじめてのギルドへ2

11/25誤字修正

 あの後話していて分かったことだが、どうやらマリーも冒険者登録のために冒険者ギルドに向かう途中だったらしい。

 俺も登録に行くところだったと言うと、せっかくだから一緒に行こうと誘われ、現在二人でギルドに向かっている。


「まさかはじめもまだ冒険者じゃなかったとはね。あれだけ動きが早いから、高ランクな冒険者だと思っていたわ」


「さっきも言ったが、とある事情で足だけ速くてな」


 ギルドにつくまでの間、暇なので雑談を続けている。


「あ、事情は言わなくて良いわよ。冒険者の間では自分のスキルなんかの事は秘密にするらしいし」


 まあ、スキルではないんだが。

 特に訂正する必要もないか。


「ちなみにマリーは冒険者についてけっこう詳しいのか?俺はずっと田舎で暮らしていたから、ほとんど知らないんだが」


 ここはとりあえず、昨日考えた設定で通しておこう。

 日本に居たときも地方に居たから、田舎暮らしってのも嘘じゃないし。


「私もほとんど知らないわ!私の姉が数年前から冒険者やっていて、それに憧れて村を出てきただけだから」


 どうやら、マリーも詳しくないらしい。


「じゃあギルドに着いたら、詳しく聞かないと・・っと噂をすれば」



 話している間に冒険者ギルドの前に到着した。

 茶色い木製の建物で、ちょっと大きめの居酒屋か宿屋みたいな見た目だ。


「入るか」


「そうね!」


 少し古びた両開きの押し戸を開くと、無事ギルドの中に入ることが出来た。

 中に入ると、正面に受付が3つあり、左は飲食スペースになっているのか机と椅子がおいてある。数人の冒険者らしき人がビールを飲んでいるのを見るに、おそらくギルドに併設された居酒屋だろうと思う。

 3つある受付の前には看板が立っており、それぞれ依頼者用受付、冒険者用受付、買取用受付と書いてある。

 依頼者でも商人でもない俺達は、冒険者用受付に行くべきだろう。そう思ってマリーの方を見ると目があった。どうやら同じことを考えたらしい。

 互いに頷いて、二人して冒険者用受付に向かう。

 受付には赤い髪を短いボブにしている、可愛らしいお姉さんが座っていた。


「すいません、冒険者の登録がしたいのですが」


 始めからイキリ倒しても意味ないだろうし、ここは丁寧に話しかけることにした。


「はい、冒険者登録ですね!お二人ともですか?」


 受付のお姉さんが元気に対応してくれる。日本の接客業並みの接客力だ。


「ええ、二人ともよ」


「分かりました!ちなみに、お二人はステータスカードはお持ちですか?お持ちでない場合は、金貨一枚でお買い求めになる必要があるのですが・・・」



「私は持ってるわよ。はじめは?」


 そう言いながら、マリーはカバンからステータスカードを取り出した。


「俺も持ってるぞ」


 俺も収納袋からステータスカードを取り出し、受付のお姉さんに見せた。


「はい、ありがとうございます。それでは、ステータスカードを一度お預かりして、過去の登録経験や犯罪歴などを検査して、無いようなら登録できます」


「分かりました。お願いします」


 マリーが受付のお姉さんにステータスカードを渡したので、俺も続けて渡すことにした。


「はい、それでは一旦お預かり致します。後ろにある魔法具で確認をするので、1分ほどお待ち下さい」


 受付のお姉さんは俺達からステータスカードを受け取ると、後ろのピカピカ光るものにカードをかざし始めた。あの光ってるのが魔法具なんだろう。


「案外簡単に登録できるのね」


 マリーが拍子抜けしたように言った。


「俺もそう思った。ステータスカードで犯罪歴まで分かるから、それほど警戒しなくていいのかもしれないな」


 俺がそう言うと、もう検証作業が終わったのかお姉さんが二人分のステータスカードを持って受付に戻ってきた。


「はい、そのとおりです!しかもステータスカードは一人一つしか登録できないので、信頼性が高いんですよ。あっ、おふたりとも登録経験や犯罪歴が無いようでしたので、仮登録が出来ました。カードお返ししますね」


 そう言ってカードを返してくれた。


「これで、お二人のステータスカードが冒険者の物になっていると思います。確かめてみでください」


 ほう、ほんとに手軽に登録できるんだな。まぁ金貨一枚かかると考えると、金額的には手軽じゃないのかもしれないが。

 っと、ステータスカードのチェックだったな・・・どうやるんだ?

 俺がどうやってステータスカードを起動するのか考えていると、ステータスカードにこんな文字が表示された。


【ステータスをチェックしますか? YES or NO】


 俺は当然YESを押した。

 すると、昨日森で見たステータスから少し変化したものが表示された。


名前:西東はじめ

種族:人間

職業:冒険者(仮) Gランク

LV:1

HP:10/10

MP:10/10

STR:14 [備考:筋力値]

VIT:10 (+2)[備考:物理防御力]

AGI:7 (×100)[備考:俊敏性]

INT:6  [備考:魔法攻撃力]

MND:5   [備考:魔法防御力]

所持スキル:なし

所持魔法:なし


 どうやら、無事冒険者の職につけたようだ。(仮)ってのが気になるが。


「この(仮)ってのはなんですか?」


 マリーも気になったのか、お姉さんに質問している。


「それは今からご説明いたしますね!お二人は冒険者について、どの程度ご存知ですか?」


「ほとんど知らないわ」


「同じく」


 俺達がそう言うとお姉さんは深く頷いて


「そうですよね。そういった方が多いので、冒険者に初めて登録する人はまず初回の講習を受けて、冒険者について学んでもらう必要があるんです。この講習を受けて試験に合格すると、(仮)が取れてFランクの冒険者として活動することが出来ます」


 ほう、初回講習なんかやってくれているのか。思ってたよりも親切だな、冒険者ギルド。


「昔は講習なんて無かったのですが、数年前に魔物が大量発生したことで冒険者ブームが起きた時に、登録したての冒険者の人が大量に死んでしまったので、それを防ぐために作られたんです」


 大量に死んでしまったのか。怖いな。


「その講習は今から受けられるの?」


「いえ、講習は月一回のみ行っています。今月ですと・・二週間後に来て頂ければ受けることが出来ます。予約は不要です」


 どうやら二週間待つ必要があるみたいだ。


「この初回講習では、簡単な筆記試験と実技試験がありますので、講習までの空いた時間に剣の練習をしたり、冒険者について学ばれる方が多いですね」


「なるほど、でも二週間は長いわね」


 そう言って眉間にしわを寄せるマリー。


「一応、仮登録のGランク冒険者の方でも、町内の手紙の配達なんかの雑用の依頼だけは受けることが出来ますよ」


 そう言って、依頼がたくさん貼り付けてあるボードを指差すお姉さん。なるほど。 

 町の外での依頼は魔物が出るから任せられないが、町内で出来ることなら良いでしょってことかな。

 二週間なにもしないのも暇だし、受けてみるのも良いかもしれない。


「うーん、それなら私は魔法の練習でもしてようかしら。はじめはどうする?」


「俺は手紙の配達でもしようかな」


「あー、あれだけ足が速いなら、適役かもしれないわね」


 そう言って俺を見るマリー。

 さすが、わかってるな。俺ほど配達人に向いてる冒険者も居ないだろう。むしろ本業でやってけるレベルかもしれん。

 面白みがなさそうだからずっとは嫌だが。


「え!配達していただけるんですか?助かります!あの依頼、実働時間の割に料金が安いので、冒険者の方誰もやってくれないんですよねー。ある程度貯まると私達ギルド職員が配る事になりますし」


 俺が配達すると聞いて、受付のお姉さんが凄い喜んでいる。

 職員さんがやらされるのもかわいそうだし、二週間の間は積極的に引き受けることにしよう。


「ちなみに、仮登録は以上なんですが、何か分からない所とかありますか?」


「特に無いわ。冒険者のアレコレは講習で聞けるんでしょうし」


「俺も特に無いな」


「承知しました!それでは二週間後の講習でお待ちしています!」


 そう言って、お姉さんは晴れやかな笑顔で俺たちを見送ってくれた。

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