表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
駿足の冒険者  作者: はるあき
1章 音速の冒険者
41/123

039 俺とマリーと怒りのデットチェイス

勢いで読んでください

 ここは荒野のウェスタン!

 俺とマリー、互いの意地とプライドを賭けたデットチェイスが今始まる!


「レディ・ゴー!!」


 ビックイーグルの剥製にまたがるマリー!そして後ろに座る、審判チャーリー!

 チャーリーがいまスタートの合図をあげた!

 デットチェイスの始まりだ!


「ウォォォォォ!」


 スタートと同時に俺は全速力で駆け出した!

 あまりの加速に、俺の後ろには巻き上がった粉塵が飛行機雲のように広がっている。

 体感速度は既に100km超!


「待ちなさい!


 しかし、この鉄砲玉の如き速さで駆ける俺を追いかけてくる奴がいる!

 マリーだ。

 手から出る高速ハイドロを推進力に、俺に迫ろうと加速する!


「負けるか!」


 俺は足をより速く回し加速!

 更に舞い上がる砂埃!

 マリー達が隠れて見えなくなった。


「邪魔くさいわね!【獄炎の矢を降らせ、赤き空を呼び込め ファイアーランチャー!】」


 マリーの呪文と共に砂埃から出てくる炎の矢!消える砂埃!

 炎の矢がこちらに向けて殺到する!


「あっぶねぇな!!」


 すんでのところで頭を下げて回避した。

 あいつ!珍しく熱くなってやがる!

 いよいよ負けられなくなってきたぜ!


「これで見やすくなったわ!」


 消えた砂埃から現れるマリー!

 そしてその後ろで震えながらマリーにしがみつくチャーリー。

 あいつはノリきれていないようだ。


「ん!?」


 俺達の前方に2台の馬車が現れた!その距離既に200m!

 よく見ると交戦中。

 馬車からあがる悲鳴と炎!

 盗賊が商人の馬車を襲っているようだ。


「ヒャッハー!邪魔だ!」


 盗賊ごときにこのレースを妨害されてたまるか!

 俺は盗賊が乗る方の馬車にそのままの速度で突っ込んだ!

 馬車が粉々に砕け散る!


「「「ギャー!」」」


「何だこいつらは!」


「俺達の馬車になんてことしやがる!」


 あがる悲鳴!

 だが無視だ!

 自業自得だ!


「【獄炎の矢を降らせ、赤き空を呼び込め ファイアーランチャー!】」


 空中からマリーが炎の矢で追撃!

 爆音を響かせて、大きく燃え上がる馬車と盗賊!

 盗賊団は壊滅だ!

 しかしその時、余った炎の矢が俺の方へと襲い掛かってくる!


「まずい!」


 何とか横っ飛びで避ける!

 俺の真横を通過する炎の矢。

 直撃は免れた!


「先頭は貰ったわ!」


 横っ飛びしたことで、俺の速度はゼロになる。

 その隙に俺を抜くマリー!

 猛スピードで離されていく。


「抜き返す!」


 俺は即座に起き上がり、マリーの後を追った。

 足の回転数を上げる!上げる!

 ただ無心でそれのみを考える!

 悟りの境地!

 速さを悟る!

 もはや意識など無い!

 体感速度は既に300kmを超えた!


 見えた!マリーだ!

 1kmほど先に補足!


「もう追いつかれた!?」


 焦るマリー!

 ハイドロの出力を大きくして、俺を突き放そうとする。

 だが、


「俺が速さで負けるか!!」


 俺の唯一の誇るべき才能。

 すなわち速さ!

 速さこそが正義であり、絶対の法則!


「ん!?」


 勝負も佳境に入ったその瞬間!

 俺達の行先に10台程の馬車が見えた。

 どの馬車も大盗賊、ゴエルゴの旗を掲げている!


「汚いものは消毒だ!!」


 俺は馬車の列に突っ込むことを決意する。

 元々このスピードだ!

 今更止まろうとした所で止まれんわ!


「オラァ!」


 最後尾の馬車に突っ込む俺!

 粉々になりながらはじけ飛ぶ馬車と馬と盗賊!


「「ギャー!!!」」


「何が起きている!」


「敵襲か!?魔法攻撃か!?」


「頭ァー!」


「ジョー!!」


 悲鳴を上げる盗賊!

 俺は二台目の馬車へ突っ込む!

 時速300kmで走る俺の運動エネルギー。

 一台程度では無くならん!


「「「「ギャー!!!」」」」


「馬が逃げた!!」


「なんて日だ!!」


 吹っ飛ぶ二台目の馬車と盗賊!

 しかし、ここで俺の速度も大幅に落ちる!

 これ以上こいつらにかまっちゃおれん!


「I’ll be back!」


 今日はこのへんで勘弁してやるぜ!

 俺は右サイドから馬車の列を追い抜いた。


 しかし、先頭の馬車を抜いた瞬間!

 前方から迫る炎の矢!

 マリーのやつ、俺に構わず打ってきたな!

 盗賊たちの馬車に次々と襲いかかる炎の矢!

 横に逃げる俺!


「「「ギャー!」」」


「なんだこの魔法は!何故上から振ってくる!?」


「頭ァ!術者は空の上です!」


「何ふざけたこと言ってんだ!」


「アチィ!」


 燃え盛る馬車と盗賊と頭!

 猛獣の唸り声のように轟々と炎が舞っている!

 盗賊団に大ダメージ!


「今のうちだ!」


 今の魔法を使ったことで、ハイドロの威力は弱まっているはず!

 逆転のチャンスはここしかねぇ!

 前を目掛けて加速していく!

 足がつりそうだが、関係無い!

 いまこの時を生きるんだ!

 SURVIVE!!!!!


 見えた!

 前方に補足!空飛ぶマリー!

 ファンタジスタはもう目の前だ!


「おおおおおおおおお!!!!」


 更に足の回転を上げる!

 ケイデンスは過去最大!

 体感速度はもう分からん!


「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


 マリーもハイドロの威力を上げてくる!

 俺とマリーの差はもうほぼ無い!

 ゴールのファンタジスタの旗がもう見えた。

 あれを先に通過した方が勝ちだ!

 その距離100m!

 50m!

 もう目の前!


「おおおおお!!!!」


「いっけぇぇぇぇ!!!」


 俺とマリーは高速で旗を追い抜いた!

 その差はほとんど無い!

 どちらが勝ったのか!

 それを知るのは審判のみ!!!


 減速した俺の方へマリーが降りてきた!

 いいバトルだった!

 俺の人生で最もエキサイティングで楽しかったと言えるほどに!

 しかし、勝負は勝負。

 どちらが勝ちか決めねばならん!


「さぁ審判!どっちが勝者だ?」


 着陸を決めたマリーの方へと歩く!

 後ろに座っている審判チャーリー!

 彼女が判定の全てを握っている!


 ・・・返事がない。

 不思議に思った俺はマリー達の元へと近づき、チャーリーの顔を覗き込む!


 するとそこには、安らかな顔で気絶する一人の少女の姿があった。


二人がハイテンションだった理由は次話にて。

2,3日後に投稿予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ