表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
駿足の冒険者  作者: はるあき
1章 音速の冒険者
31/123

029 ノートの内容

         【転生者へ】   

 

 この手紙は、生き残った転生者がいるという期待にかけて、書いている。

 もし読んでいる人が転生者なら、これから書くことを頭にとどめておいて、できれば協力して欲しい。




 俺の名前は佐々木一郎。

 日本の東京に住んでいた、アラサーのサラリーマンだった。

 いつものように仕事を終えて電車で帰宅していた時、スマホにあるメールがとどいた。

 それは見たことのない送信者からで、こんなことが書いてあった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

From:自動神

To:佐々木一郎

 はじめまして佐々木さん。

 私はこの世界を統括している神です。

 この度はお願いが会ってメールを送りました。


 お願いというのは、この世界の人間のせいで異世界:ユグルシアに訪れている危機を救ってほしいのです。

 ユグルシアにはこの世界で善行を積んだ日本人が年に一人程度のペースで転生しています。基本的には良い人ばかりが転生していたので、今まで何の問題もなかったのですが、一人道を踏み外した者が出て、ユグルシアに眠る邪神を蘇らせてしまったのです。

 過去の動きから推察するに、邪神が力を取り戻した暁には人間に5つの試練を与えるはずです。今までこの試練を乗り越えられた文明はありません。

 こちらの世界の者が起こした不始末なので、手助けしたいのですが他の異世界に直接手出しすることは出来ません。また、あの世界の神は休眠状態にあるので、期待できません。


 そこで、あなたには異世界に転生して、邪神からユグルシアを守って欲しいのです。

 転生の決まりで能力を与えることは出来ませんが、身につけているものをこちらの世界から持っていくことが出来ます。

 例えば、刀を持っていくとそれは斬魔刀となり、魔物に対して強力な武器となります。このように、持ち込んだ物はあなた方を助けてくれるはずです。


 現在、この世界の心優しい者100人に同じメールを送っています。

 ぜひ協力して、ユグルシアを救ってくれる事を期待しています。


 もし協力してくれる場合は、今日の日付が変わる時間に、ユグルシアに持っていきたいものを身に着けて、ユグルシアへ行きたいと念じてください。

 そうすれば、あなたをユグルシアへと転送します。


 以上です。

 ご協力を期待しています。


PS:5つの試練の合図として、紫色の雲が発生するはずです。その発生場所に向かってください。


 神より


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 俺は、この手紙を読んで、ぜひ協力したいと思った。

 もともと人助けは好きだったし、何より小さい頃やったゲーム様な世界にいける事に魅力を感じたからだ。

 俺は、急遽池袋で買ったサバイバルナイフや防弾チョッキを身に着けて、転生することにした。


 転生先はこのキリマウンテンで、そこには約40人の人がいた。

 年齢は小学生くらいの子からおじいさんまで幅広かったが、みんな拳銃や刀など思い思いの武器を身に着けていたし、黒目・黒髪の日本人ルックだったので同じ転生者だとすぐにわかった。


 俺たちは互いに自己紹介をした後に、今後の行動について話した。

 みな、この世界を救いたいと思って集まっていたので、とにかく5つの試練を乗り越えて、この世界を救おうという話になった。


 そこで、まずは冒険者ギルドへ行って冒険者になることにした。

 この世界で活動するために、立場があったほうが良いと考えたからだ。俺達は始まりの街ファンタジスタのギルドに行って、冒険者登録を済ませた。冒険者になるのは、ステータスカードを買って登録するだけでよかったので、簡単だった。(幸い、この世界に金塊を持って転生した人が居て、その金塊が大量の金貨に変わっていたので、全員分のステータスカードを買うことが出来た)


 そして、冒険者として活動を初めて数日経った時、この大陸のいたるところで魔物が大量発生したという知らせが入った。そして大量発生した場所には、紫色の雲があったという。


 俺達は、一致団結して魔物の討伐に当たった。

 始めのうちは、みな斬魔刀や超加速拳銃など優秀な武器を持っていたお陰で、難なく魔物を倒すことが出来ていた。

 しかし、一週間もするとダークドラゴンやアポロオークなど、Sランク魔物が続々と出てきて、俺達は徐々に消耗していった。そして、発生から2週間ほどたったある日、今までで見たこともないほど大きな紫の雲がこのキリマウンテンに出現した。そして、それに応えるようにSランク級の魔物が次々と現れた。


 俺達は死力を尽くして討伐に当たった。

 しかし、もともと慣れない戦闘だ。徐々に死傷者が増えていった。それでも三日間ものあいだ、みな命をかけて戦った。そして最後には、魔物を全て討伐することが出来た。

 だが、討伐に参加した者は、俺を残して皆亡くなってしまった。

 そして俺もダークドラゴンの毒を浴びてしまっていた。教会で最大限の処置を受けたが、もって数日だと言われた。



 この手紙を読んだということは、転生者だと思う。

 どうか俺達が救えなかったユグルシアを救って欲しい。

 魔物の大量発生は既に終わったから、あと4つの試練があるはずだ。

 これを読む人が心優しい人であることを期待している。


 どうか、よろしくたのむ。


佐々木一郎



追伸:

 もう一つだけ、お願いしたいことがある。こちらに転生した人の中に、小学生の子がいた。名前をリカという。

 彼女は幼すぎたため、ファンタジスタの拠点で留守番を頼んでいた。なので、転生者の中で唯一生き残っている。

 もし、彼女が困っているようだったら、ぜひ助けてあげて欲しい。

 ただ、幸せに暮らしているようだったら、この手紙のことは伝えずに見守っていて欲しい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ