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駿足の冒険者  作者: はるあき
3章 周回速度の冒険者
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116 後悔


 誰も、何も言わなかった。

 黙って、リカちゃんの話を聞き続けた。


「ごめんね、はじめ。私がチャーリーの援護をできていれば・・・」


 話が終わってしばらく経った時、マリーが消え入るような声でそう言った。

 顔は涙でぐちゃぐちゃになっており、瞳からはとめどなく涙が溢れてきている。


「いや、俺が悪い。どうにかしてもっと早く戻ってくるべきだった」


 これは俺の責任だ。

 チャーリーが逃げることを放棄してエクス戦い続けたのは、この時計台にある望遠鏡を守ろうとしたからだ。

 俺が無事に帰還出来るように。

 俺の命を守るために。


 なんで。

 なんでチャーリーが死んだんだ。

 俺が死ぬべきだったんだ。


 チャーリーは何十年もの間、この世界を守るため、リカちゃんの願いをかなえるために戦い続けた。

 何度も繰り返されるループで、たった一人孤独に。

 それはどれほどの勇気が必要だったのだろう。

 絶望的な状況にいながら、試練に挑み続けた。死を覚悟しながら。


 俺なんて、なんの覚悟もしてなかった。

 死にそうな事態になれば逃げる気だった。

 世界の平和なんかより、自分の命のほうが大事だった。


 ・・・

 チャーリーの気持ちには気づいていた。

 チャーリーが俺のことを好きでいてくれていると。

 そして俺も、チャーリーのことが好きになっていた。


 でも、俺はそれを伝えようとはしなかった。

 今の関係が崩れてしまうのが怖かった。マリーの事も好きなままだったし、チャーリーと三人で冒険している、今の瞬間が楽しすぎて、心地よすぎた。


 ああ、俺は最低だ。

 なんで俺が生き残って、チャーリーが死ななければならなかったんだ。



 ・・・

 その後のことはよく覚えていない。

 気がつくと、時計台地下のキャンプ地に戻っていて、テントの中で眠っていた。



 そして、2週間が経った。


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