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駿足の冒険者  作者: はるあき
0章 プロローグ
12/123

011 まつりのあと

11/25 誤字改定

「はっ」


 いかん寝てた!

 ・・・なんか覚えがあるな。この展開。

 周りを見渡すと、床には俺の服が脱ぎ散らかされていた。俺がやったんだろうけど全く思い出せない。あと、頭痛い。

 完全に二日酔いだ。


 昨日どうやってここに帰ってきたのか、思い出そうとしても全然出てこない・・・

 ここはとりあえず、ギルドを出た時くらいから、順を追って記憶を思い出してみるか。


 昨日はあれから、マリーと一緒に試験合格とチーム結成のお祝いをしていた。

 宿の居酒屋で飲みながらお祝いしていたのだが、途中からどこから聞きつけたのかゴリアやガウディ、さらにリリーさんまで加わってパーティー状態になっていた。途中からゴリアさんが居酒屋に居た他の客にも酒をおごり始めたので、宿に泊まっている人ほぼ全員で騒いでた。いやー、楽しかった。


 ちなみに、マリーはお酒がそこまで強くないらしく、直ぐに酔っ払っていた。酔っても笑い上戸になるだけなので可愛いもんだったが。

 意外だったのはリリーさんで、彼女はかなりアルコールに強く、めちゃくちゃ飲んでいた。途中からゴリアと飲む比べをして勝っていたし、昨日のメンバーの中では一番の酒豪だろう。


 その後、なんやかんやあって深夜三時頃にお開きになった。そこで、俺は机に突っ伏して寝ていたマリーを部屋まで送った。

 その後は物凄く記憶がおぼろげではあるが、自分の部屋前まで行ってドアを開けた・・・気がする。


 うん、大体わかったな。

 その後、酒の飲み過ぎで火照った体を冷ますために服を脱いで、ベッドにダイブしたのだろう。

 それを証明するように、俺はいま全裸の状態で瞬◯を抱いたまま寝ている状態だ。


 ・・・あれ?このパターンはなんか覚えがあるな。

 二週間ほど前と同じ状況だ。あのときは今の状態をルリちゃんに見られたんだった。


 まずい!今すぐ着替えないと、これ以上ルリちゃんに変態と思われるわけにはいかん!


 俺は大慌てでとりあえず靴を履いて、脱ぎ散らかした服を回収しにベットから降りた。

 そして、床に脱ぎ散らかされた服をから、まずは最重要アイテムのパンツを手に取った。


「そしてパンツを履いて・・って靴履いてたらパンツ履けねぇじゃん!」


「はじめさーん、もう朝ごはん食べられますよ! ガチャ・・ガチャン」


 扉の方から声がしたので振り向くと、既に扉は閉められていた。

 ・・・どうやら遅かったようだ。

 俺が諦めたように机の横にある姿見を見ると、そこには全裸で靴だけ履いてパンツを握りしめている変態が居た。


「なるほどね」


 もう駄目かもしれんね。


 俺は色々と諦めて、ゆっくり丁寧に靴を脱いでパンツを履き、服を着て着替えを終えた。下に降りると宿のおばちゃんが居たので、朝風呂に入ってもいいか聞いたら直ぐに許可をくれた。

 やったぜ。


 というわけで、今俺は宿の湯船に浸かっている。

 朝風呂は良いよなー、朝のトラブルでささくれだった心が安らいでいく。

 改めて思うが、この宿は朝風呂も入れるし料理は美味しいしで最高だな。

 あとは、ルリちゃんが早朝に部屋に突撃して来るのさえなくなれば、言うこと無しなんだが。


「おう、はじめじゃねぇか!」


 聞いた声がしたので振り向くと、タオルを肩に掛けた全裸のゴリアがいた。


「おお、ゴリアか。あれ?昨日は家に帰らずに宿に泊まったのか?」


 たしか、ゴリアは冒険者として稼いだ金で家を買ったと言っていたはずだ。ちなみにガウディは自分で家を建てたらしい。ちょっと見てみたい。


「昨日は酔い過ぎて家に帰れる自信が無くなってな」


 たしかに、酒に強いゴリアには珍しく、昨日はめちゃくちゃ酔っていたな。

 ワインを樽から浴びるように飲んでたし。(正確に言うとリリーさんに飲まされていたというのが正しいが)


「そういう事だったか」


「ああ。しかし、この宿は良いな、食事と酒は美味いし風呂は広いし」

 

 そう言いながら、かけ湯を何回かして湯船に入るゴリア。


「俺もこの宿は気に入ってるぜ。定住したいレベルだ」


 かれこれ二週間もここに住んでるしな。金に余裕ができたら、年間契約しても良いかもしれん。


「用が無くてもたまに泊まりたいぐらいだが、あんまり無断で外泊すると母ちゃんにどやされっからな」


「あー、それはやめたほうが良いな」


 ちなみに、ゴリアの言う母さんとは母親ではなく嫁さんのことだ。

 ゴリアは五年ほど前に同じドワーフの人と結婚して、もう三歳になる子供もいるらしい。


「まあ、俺の話は良いんだよ!」


 自分で話を振ったのに恥ずかしくなってきたらしい。


「はじめは今日から正式な冒険者デビューだな!もう何の依頼受けるか決めてるのか?」


「特に決めてないな。何かオススメの依頼とかある?」


 冒険者デビューといえばこれ!みたいな依頼があれば受けておきたいところだ。


「それなら、ゴブリン討伐だな。あいつらはFランクモンスターで弱いし、人型だから戦いのイメージもしやすい。冒険者デビューといえばゴブリン討伐だぜ!」


 本当にお決まりの依頼があったらしい。

 ゴブリン討伐か、良いかもしれないな。Fランクモンスターなら俺の貧弱な攻撃力でも倒せるかもしれないし、いざとなればマリーの魔法で一発だろう。

 最初の依頼くらいは無傷で帰りたいし。


「ゴブリン討伐、アリだな。その依頼っていつも出てるものなのか?」


「ああ。ゴブリン討伐は常に国が依頼出してるから、倒した分だけ金がもらえるぜ。」

 

 なるほど。国が依頼してるってことは、治安維持のためなのかな?


「そうなのか。じゃあ今日はゴブリン討伐に行くかね」


 そう言って、俺は風呂から出ることにした。これ以上入るとのぼせてしまいまいそうだ。


「情報ありがとう!達成できたら、また飲もうぜ」


「おうよ!まってるぜ」


 ゴリアの言葉を背に、俺は風呂場を後にした。


今回少し短いです

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