3 「転生?」《2》
「う~ん…」
おんぶしている幼女が気絶状態、この響きだけ聞くと俺はとんでもない罪を犯しているように聞こえるかもしれないが、ただちょっと力加減を間違えて気絶させてしまった幼女を保健室に運んでいるだけだ。変に放置して、目が覚めた時ある事無い事言いふらされても困る。
それにしても、この学園いざ入ってみたのはいいが物凄く広い、異世界で複雑なダンジョンは抜けてきた俺でも少し戸惑った位だ。しかもやっと保健室に入ったのはいいが人っ子一人、教員も見当たらない。
とりあえず、ベットに寝かせて布団をかける。丁度横にあった椅子に神園のリュックを置いた。
「さて、どうしたものか」
人を探しに行くか、それともここに居るか.
下手に動かないのが吉か。
そういえばまだ自分自身というものを見ていなかった。そう思い俺は、壁に埋め込んであった大きな一面鏡の前に立つ。
見た目は、前前世、前世、現世、一つも変わらずだ。ただ学校の制服を着ていた。この学園のものだろう。
ポケットを探ってみると、一枚のカードと財布が入っていた。
カードには『レスアール学園身分証明書』と書かれているが、それ以外は表も裏も白紙だった。きっと重要になるものだろうし大切に持っておこう。
財布の中には、二千円札が一枚だけ入っていた。うわっ懐かしいし珍しい!!地味に使いにくい。
他を探して見たが、特に何も無かった。うーん、まだ情報が少なすぎる。
「起きるのを待つか」
椅子を持ってきて、隣に座る。取りあえず、この状況を今わかる範囲内で考えるか。
まず、俺の「属性付与」のスキルは、性能も含めて前世のまま。
そして、ここは大きく「学園」と書かれていた。神園は炎を操る。つまり、推測だがこの学園には、神園のような異能を持つ奴が集まる。と言うところだろうか。それは名前からもうかがえるため、全くもって的外れではないだろう。
こんなものか、ざっと分かる事と言ったら。
そんなことを思っていたら、弱弱しい声が呼びかけてきた。
「あのぉ…、すみません、そこにいるのは誰ですかぁ…、生徒は各学年の体育場集合のはずですよぉ」
声の方向を見ると、白衣を着て眼鏡をかけている金髪ショートの女性が居た。胸には、「保健教員兼教育教員眞守知由」と書かれたネームカードを下げていた。
「校門で体調を崩した女子生徒がいまして、連れてきたんですよ」
前前世の記憶と体験を元にそれらしいことを言う。
「ありがとうございます、もういいですよぉ、クラス分け終わってしまいますし、いってください」
クラス分け?取りあえず流れに身を任しておくか。サラッと当たり前の顔をしながら。
「分かりました、お願いします」
軽く一礼して、俺は教室をでる。
さてと、クラス分けに行ってみるか。