2 「転生?」《1》
「レスアール?異能?学園?」
この状況は、一体どういうことだろうか。まさか、死ぬ前の学園に入学して大人しく生活したいというのが叶ったのだろうか。
ただ、色々な工程が飛ばされているせいで。この世界はどのような世界なのか。異能ということは、この世界もまた、魔法の様な事が横行しているのか、俺の力はどういったものか、そういったことが全く分からない。
異能力として「属性付与師」が受け継がれているのだろうか。それとも俺は他の能力があるのか。
うーん、取りあえずここで立ちっぱなしも不自然だ、情報を得るためにも目の前の門に入ってみるか。
歩き出そうとしたら、後ろから声が聞こえた
「ねぇ、あんた第一体育場ってどこか分かる?分かるなら案内してほしんだけど」
後ろを振り返る、其処には幼女が大きなリュックを背負って立っていた。顔だちも整っていて、赤毛のツインテールが印象的だ。
ここで、この幼女からこの世界の基本情報を集めるのも手だが、どうもこの幼女、関わると嫌な予感がする。よし、無視だ。ここで変に割る目立ちするのは良くない。
「ねぇ!!聞いてる!?」
かすかに、熱気を帯びているその呼びかけは、俺の異質を感じるレーダーに引っかかっていて振り返るなと必死に命令している。
「あんた、二回も無視するなんて、いい度胸してるじゃない、それは私を神園家次女の神園華凛と知っての事なのかしら!!」
観念して後ろを振り返り、目線を下げてみる、仁王立ちしている幼女が俺を睨みつけていた。心なしかツインテールが逆立っている。
「やっと、気づいたわね、あんたなんで私を無視するのよ」
「ごめん、小さすぎて視界に入ってなかった」
これで、怒ってどこかに行くだろう、そう思っていると、神園とかいう幼女は顔を真っ赤にし、こちらを再度睨みつけた、そして指を鳴らした。すると指先に火の玉が出現する。
「もう自分で体育場は見つけることにして、あんたはタダでおかないから!!今まで私の身長について悪口を言ったものは私の異能「小悪魔の業火」によって消し炭にしてきたんだからっ!!」
複数の火の玉が俺を襲う、命のやり取りがないっていう方の願いは無採用みたいだな、異世界暮らしの癖で咄嗟に俺は右手を突き出し唱えた。
「全てを引き込む闇よ、我が右手に宿れ」
火の玉を右手に引き寄せる。そして右手に火の玉が触れた瞬間切り替える。
「炎よ、風へ変われ」
すると二人の間に大きな風が吹き荒れる。
この感じ、どうやら俺は「属性付与師」の能力を受け継いだままここに居るらしい。
これは貴重な情報が手に入った。
「これで一歩前進か、まぁ助かったよ、神園、神園?」
目の前には意識を失った神園が倒れていた。