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5話 初めての戦闘

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 飛び散ったスライムの破片をおもむろに触りながら感触を確かめる。やっぱりべとべとしていて気持ちがいいものではない。無残に散ったスライムを見て爽快感を得たのもまた事実である。


「エルも触ってみるか?」

「いえ。私は遠慮しておきますね」


 あっさりと断れてしまったので悪巧みを考えついた。

エルのはみ出た肩に付着させたいという衝動を抑えきれなかった俺は、


「ちょっときてくれ」

「なにユウキ」


 ペトリと持っていたスライムをエルの肩へとおいてやった。気付かれないよう慎重に任務を遂行した。彼女の肩から落ちるようにして脇の方へと入っていくのが見える。


「ひゃっ」

「どうした。大丈夫か」

「なんかぬめぬめした柔らかい物が体の中に入ってるの」


 彼女は身体をすくませて、身じろいだ。これは大成功だな。我ながらうまくいったと自画自賛。この後から俺の本領発揮だ。


「見せてみ。取ってやる」

「自分でとるわよ! あっちいってなさい」


 しくじった。普通の反応と言われればそうだが異世界チックな1つや2つあっても良いんじゃないか。

 彼女は身体に張り付いたスライムを取るのに必死だ。横目でみつつ俺を頼ってくるのをチラチラと見ながら待っている。するとそこへ冒険者を嘲笑うかのごとくスライムが仲間を連れてやってきた。


「まずいぞエル。俺たち知らない間にモンスターに囲まれてる」

「ちょっと待って。もう少しで取れそうだから」


 今にも襲いかかってきそうな、モンスターの群れ。戦えるよう槍を持ち上げ格好を取る。


「俺一人では手に負えないぞこの大群は!」

「......って。取って」

「いいのか?」

「早くとって」


 きたよ神イベント待ってました!俺はおそるおそる羽衣の中へと手を伸ばす。


「はやくしてちょうだい。けっこう恥ずかしいんだから」

「これか」

「んっ」

「変な声出すなよ。って違ったわ」


 柔らかい感触が手元に伝わってくる。これ絶対違うわ。


「いつまで触ってるつもり!」


 彼女は怒り心頭だ。今にも叩いてきそうだ。謝らねば


「悪い。スライムの感触に似ていてつい」

「ついじゃないわよ! もういいわ。ひとまず逃げましょう!」

「そうだな」


 スライムの群れを尻目に俺達は必死こいて逃げる。とても勇者っぽくない哀れな姿そのものだった。村を出発して、東へとだいぶ歩いた。ようやく国らしき場所を発見した。エルはさっきのことでだいぶ機嫌が悪い。話しかけでも無視されるし、足を踏まれたりするし。ほんと災難だ。結局スライムも自分で取っていた。


「驚かせるつもりでやったけど度が過ぎていたのかもしれない。ごめん」

「まぁ今回だけは特別に許してあげる。次やったらどうなるか分かってるわね!」

「気をつけます」


 彼女は怒るとものすごく怖い。なにをしでかすか分からないという恐怖。敬語にならざる終えない。俺は彼女と対面して謝った。視線こそあわせてくれなかったが先程のしかめっ面はなくなっていた。


▽ ▽ ▽


 門の前には近衛兵が両サイドに立っており、通してもらえるか不安になってきた。鉄製できた頑丈そうな門で端から端までみっちりとレンガで壁が作られており侵入できる糸口が見当たらなく終始困惑し始めている。さすがに王国とあって守りはがっちりとしている。微動だにしない近衛兵を見てそそっと入れるか確かめてみる。


「着いたんだけど入らせてもらえるんか?」

「分かんないけど門の前まで進んでみましょ」


 しかし暑いな。夏かってぐらい猛暑の中やっとたどり着いたってのに。さいやく正面突破すればええやろ。俺とエルは再び歩みを進める。

ーー何者だ!


 門を通過しようとした直前に2つの槍が俺とエルを阻む。予想通りといったところ。慌てる程ではない。


「この格好をみて分からないのかおまえたちは」

「何をいっているか分からないが不法入国するものを黙って見過ごすわけにはいかないのでな」

「お仕事ご苦労様。でも俺転移してきた勇者なんだよね実は」


 俺の唯一の切り札それは自分が勇者として転移してきたことと、天使が味方についていることだ。近衛兵は俺の意見を聞く耳を持たず、


「勇者? 不法入国する言い訳にすぎないな。去らなければこちらで確保するがいいか?」

「ユウキちょっとやばいんじゃない」


 エルは心配そうにこちらを見つめる。確かにまずい事態になったな。あのお爺さんの伝説は本当では無かったのか。それとも俺が勇者だと知られていないだけなのか。


「大人しく捕まった方が良さそうだな」

「なにされるかわかったもんじゃないわ」

「しょうがないだろ。向こうは気づいてないんだから」


 ひそひそと話す俺達を見て、近衛兵はいてもたっていられずに


「こそこそと怪しい奴らめ。さては国王が狙いか?」

「とんだ言いがかりだ。俺達はアルスラという村からギルドがあると聞いてこちらに出向いたんだ。なぜ通してもらえない?」

「見覚えのない奴だからだ!」


 これでは拉致が開かない。強引に突破も気が引ける


「王様に会わせてくれないか? それで俺達の正体が明らかになるはずだ」

「ユウキそんなの無理に決まってるでしょ」


 止めに入るエル。


「もし不届きものだった場合その場で殺してくれてかまわない!」

「なに勝手にはなし進めてるのよ!」


 エルは激怒したが構ってられない。2つの槍が道を開けてくれる。


「おまえたちの手を拘束させてもらう。それと先程の話無かったとは言わぬよう録音をさせていただいた」

「用意周到だな。男に二言はない」

「ユウキといると疲れるわ」


 手錠を掛けられた俺達は近衛兵が後ろから見守るなかようやく目の前の門が開かれる。


ーークラウス王国へと足を踏み入れるのであった。



微エロ

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