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2話 転移(下)

この部分をプロローグにすべきか悩んでいます。感想欄に意見お願いします。

 ゼクスとやらは神様の仕事を放棄してまでいったい何をやっているんだ。それにガブリエルは俺をエクソダスへと飛ばしたわけではないという。どちらにしても死ぬ運命には逆らえなかった。自分が今まで頑張ってきたのは何のためだったのか。そもそも親の言いなりで生きていたのが間違いであったと今なら分かる気がする。


「映像を止める必要はもうない。痛みはすっかりと消えた嘘みたいだ」

「あなた現世の執着を断ち切った訳ね。私としては面白くない結果になったけど、選んだゼクス様はさぞ喜ぶことでしょう」


 先程の映像は、まだ続いている。親父が一刺しのルールを破ってなんども突き刺しているのを俺は無心でじっと見ている。ガブリエルの説明によると、痛みを感じていたのは現世にやり残したことがあるまたは帰りたいという執着心によるものだったのだ。だが俺はそれに気付いた訳ではないが両親の姿を見てどうでもよくなった。つまり戻るのを諦めた。それにより俺の痛みは消えた。

 ガブリエルは、不機嫌そうな顔を見せて俺のことを褒めた。


「勇者としての素質はありそうね。あなたを異世界に転移させる準備に取りかかります。よろしいですか?」

「その前に聞きたいことがある。100番目の勇者といったな。0~99番は生きているのか。それと具体的な勇者の役割について教えてくれ」


 彼女は魔法で椅子を2つ生み出す。木の丸椅子に座る。


「分かりました。長くなりますので椅子に座りながらゆったりと聞いて頂ければ結構です」

「急に優しくなってどうしたんだ?」

「今までのはあなたを試していたんですよ。ユウキ様が勇者にふさわしい人材であるかどうか。気に障りましたか。でしたら謝りますよ。ふふ」


 不気味な笑みを浮かべる彼女の本音はいったいどこまでだろうか。考えても解決しないか。

 俺は椅子へと座り彼女の説明を聞くことになった。


▽ ▽ ▽


 またもや1冊の本を精製する。


「100番目の勇者に選ばれたあなたですが、その前の0~99番はゼクス様が試練を行っていたので恐らくは耐えきれず成仏されたと書いてあります」


 勇者としての資格を得れたのは俺だけか。たまたまガブリエルが試練を行ったから通ったと捉えるべきだな。


「勇者は今までに誕生すらしていなかったということだな」

「これで1つ目の説明は終わりです。2つ目の勇者は何をするのか? それは魔王を討伐することです。討伐した時点でユウキ様は晴れて成仏できるわけです。ですがそんな簡単に討伐出来るものではありませんがね」

「魔王討伐ってありふれた物語に過ぎないじゃないか。何の面白味もない」


 俺は期待外れの答えでモチベーションが下がった。椅子から立ち上がり、


「早いとこ転移させてもらえないか? ここにとどまる必要もない」

「そうですね。では私の魔法で作り上げた転移陣の上へとお進み願います」

 

 六亡星が描かれている場所に向かい足を運ぶ。期待と不安が入り交じる中でも歩みは止めない。


「それではいってらっしゃい。良い旅を」

「ああ」


「少し待たれよ」

 上空から舞い降りてきたおっさんは止めに入る。転移寸前光がまとい始めていたが突如として消える。


「ゼクス様お帰りになさったのですね」


 ガブリエルは膝をついて1礼をする。この人がゼクスか。髭面のおじさんが杖を片手に地上へと舞い降りた。


「ガブリエルよ。ご苦労だった。長い間席を外して申し訳なかったな」

「いえ。滅相もございません。こうしてユウキ様を転移させるところまできた次第でございます」


 ガブリエルの土下座をついているのをみて俺はなんだか優越感に浸っていた。


「ゼクス。あなたが神様か? 俺をエクソダスへといざなった張本人か」

「いかにも。そなたがユウキじゃな。自堕落な生活を送ってきたそなたが試練に耐えれたことにわしは感心しとる」

「勝手に飛ばしてまずはそちらから謝るのが筋じゃないのか」


 ゼクスは高笑いをしてこちらを見つめる。


「なかなか度胸があるの。わしはこれでも神様なんじゃがな。ユウキ、そなたを生かすも殺すもわしの手次第だというのに」

「そんな冗談は俺には通じない。 勇者が今までひとりとして誕生していない事実を知っているんでね」

「なるほどそこまで知っていたとは。ならばこちらから話すことはもうない。さぁ旅立つのだ」

「言われなくてもお前らと一緒にいるなんてこちらから願い下げだ!」


 ガブリエルは立ち上がり、転移の魔法をかけ始める。やっとこさ転移するんだな。


「ガブリエルよ。お前も一緒に行きなさい」

「え。つかぬことをお聞きしますが何故ですか?」


 えらいことになったな。天使が異世界に飛ばされるなんて聞いたことないぞ。やたらガブリエルも身震いをしているし。


「転移させるのはわしの役目だとそう何度もいっておいたはずじゃったが覚えておらぬか?」


 彼女たちはハッと気付いて怪訝そうな顔を見せる。


「正直に言いますと忘れておりました。ですがたった1回の過ちで転移するのはいかがなものかと思います」

「わしに口答えをするとはいい度胸ではないか。のぉガブリエル」


 野太い声が白い空間に響き渡った。ガブリエルは長い間沈黙をして、話が進まない。


「もう諦めたらどうだ。ガブリエルさんよ。魔王を討伐すれば戻ってこられるんだから」


 俺は慰めのつもりで安易な声掛けをした。


「ユウキ様、たまにはいいことをいってくださるのですね。あなたには勇者の素質があることは今回で実証済みです。私は彼を信じてゼクス様の命令に従います」

「うん。良かろう。では2人ともがんばるのじゃぞ。陰ながら応援しとるから」

「長話はうんざりだ。ささっとしてくれ!」

「ユウキはせっかちじゃのぉ」


 六亡星は眩い白い光を放ち俺とガブリエルを包み込んだ。そしてエクソダスに別れを告げて異世界へと転移した。




本編に入るまでに整理しておきたいので今回は長い間待たせてしまうと思います。

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