合わせになる鉄屑傭兵団と狼犬荷車の森ガール一行。
鉢合わせになる鉄屑傭兵団と狼犬荷車の森ガール一行。
((((ゴロゴロ……ゴロゴロ……)))
ピカーーーーーーッ》》》
雷鳴が轟く都、理想郷イデアポリス。
稲妻で明るく照らされた街を跳梁闊歩ちょうりょうかっぽする巨人獣ネフリィム。
人々は都を捨て近隣の町や村へ避難してしまった。
かつての賑わいは無く、まるで無人島のように静まりかえる理想郷イデアポリス。
大聖堂の上空には大きな翼を広げた漆黒の黒鳥が我が物顔で悠然と滑空している。
その光景を峠の上を行き過ぎる狼犬ウルフハウンドが引く荷車の上から幌を上げて眺める三人の姿。
手綱を握る小柄で陽気な森ガール、ウィニー。
鼻を摘まんで狼犬ウルフハウンドの臭いを嫌がる彼女の姉、ツンデレ魔女スカーレット。
その後ろには、弱気で引っ込み思案の青年クワィアット。
大雨で道がぬかるんだ曲がりくねった街道を走る狼犬ウルフハウンドが引く荷車。
ガタガタガタ……
ガタガタガタ……
ガタガタガタ……
『もっと速く走れないの?!』
『ウゥ……寒い。』
『早く家に帰って暖炉の前で暖まりたいわ!!』
ツンデレ魔女スカーレットが妹の森ガール.ウィニーを急かした。
『お姉ちゃん……この仔たちも疲れてるから、余りムリ言わないでね。』
困り顔のウィニーを見て、青年クワィアットが彼女の耳元で囁ささやいた。
イデアポリスの街の明かりが遠景できる場所までたどり着いた狼犬荷車。
癒しの森ではなく闇市ボッタへと続く道へと進路を変えた。
『ちょつとーーー!!』
『どこへ行くのよ!!』
ツンデレ魔女スカーレットに彼女の婚約者、青年クワィアットが、なだめるように答えた。
『スカーレット……闇市ボッタで君のため結婚指輪を買おう思うんだ。』
『それに闇市ボッタには食べ物や暖かい休憩所もあるし……』
『この狼犬ウルフハウンドたちも、かなり疲れているから、これ以上、走れないよ。』
ツンデレ魔女スカーレットは、左手を上げて了解の合図をした。
『わかったわ!』
『とにかく、早く暖かい所へ行きたい。』
『この臭いにも、我慢の限界よ!』
彼女の大きな声に首を竦める狼犬ウルフハウンド。
クゥン……
クゥン……
二頭の狼犬ウルフハウンドの足が速さを増した。
ビューーーーーーッ》》》》》
ガタガタガタ……ガタガタガタ……
ドカッ……ドカッ……
岩に乗り上げ転倒しそうになる荷車。
『ウワッーーーッ!!』
次第に闇市ボッタの明かりが大きくなり門が見えて来た。
『大丈夫なのか?!』
『飛ばし過ぎではない?』
青年クワィアットが森ガール、ウィニー恐々に訊ねた。
『もう!』
『お姉ちゃんが、余り急かすから!』
『この仔たちも、怖がってるのよ。』
『キヤーーーーーッ!!』
『ぶ、ぶ、ぶっかるーーー!!』
ツンデレ魔女スカーレットが右手から走って来る荷馬車の隊列に気付いた。
『ストップーーーーっ!!!』
狼犬ウルフハウンド荷車と、鉢合わせになった荷馬車。
ドカッ!!
ドカッ!!
ドカッ!!
急停車で荷馬車と荷車から投げ出される面々。
『もうーーー!!』
『どこ見て走ってるのよ!!』
ツンデレ魔女スカーレットが尻餅しながら荷馬車から放り出され目の前にいる男に怒鳴った。
男はスカーレットの顔をマジマジと見て呟いた。
『スカーレット……か?!』
彼女は驚いて、男の顔を見返した。
『ブルーース!!』
青年クワィアットが、その声に彼に駆け寄った。
『兄貴!!』
再開を喜び会う兄弟。
ブルースは森ガール、ウィニーの姿に気付いた。
やがて後続の鉄屑傭兵団スクラッパーの面々も合流した。
タリスマンの勇者、ブルースが集まった鉄屑傭兵団スクラッパーの前に森ガール、ウィニーを紹介した。
『探す手間が省けたよ。』
『この子が話していた森ガール、ウィニーだ。』
二頭の狼犬ウルフハウンドがピタリと彼女に寄り添っていた。
『あの狼犬はスマイルの二頭……』
鉄屑傭兵団の面々は森ガール..ウィニーの不思議な力を感じていた。




