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大聖堂決戦③捲土重来、再起を期しての撤退。



大聖堂決戦③捲土重来、再起を期しての撤退。



ガラガラガラ……


ガラガラガラ……


ガラガラガラ……


二頭の狼犬ウルフハウンドに引かれた荷馬車が癒しの森を目指す。


荷台の上には意気消沈気味の青年クワィアット。


そして不機嫌そうな魔女スカーレットに彼女の妹、森ガールウィニーの姿があった。


荷馬車がカーブを曲がる度にゴロゴロと板の上を転がる赤く光る石。


『それは……何?』


青年クワィアットがウィニーに訊ねた。


『あ、これね。』


『これは、このワンちゃんが、くわえていたのよ。』


ウィニーが手に持つ、赤く光る石を見て姉のスカーレットが呟いた。


『万物を見透す目、プロメテウス……』


『まさか……』




その時、にわかに空が黒雲に覆われて雷鳴が轟いた。



ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ……



山並みを明るく照らす稲妻。


ピカーーーーーーッ))))



『急ごう、これは嵐でも来そうな感じだ。』


青年クワィアットの言葉に森ガールウィニーも頷いて二頭の狼犬ウルフハウンドの手綱を軽く叩いた。


『ポリー!』



『メリー!』



『少し急ぐわよ!』



『森のお家には、あなたたちの大好物が待つてるわ!』



…………………………




黒雲に覆われる同じ空を見上げる一人の男。


大聖堂の前に立つ消去軍団パージャーの頭領ザクセンハイマーが呟いた。


『プロメテウスが幻想理想郷ファンタジァへ昇天したか……』


『大天使の涙が降る日も近い……』


『この現実世界リアルゴグマを統べるのは、この俺だ!!』


『誰にも渡してなるものか!!』



大聖堂の奥にある至聖所では、小さな可愛らしい金髪人形で遊ぶ幼女ルチアの姿。


中庭を黒馬が通り過ぎ一人の貴公子が大聖堂の門に入った。


黒馬の貴公子はザクセンハイマーの横でピタリと止まり呟いた。


『地上は、お主に任せたぞ……ザクセンハイマーよ。』


『私は、幻想理想郷ファンタジァからの来客をもてなさねばならぬ。』


胸に手を当て貴公子に一礼するザクセンハイマー。


巨大な人獣ネフリィムが群れをなして大聖堂を囲んでいる。


貴公子は馬を降りて大聖堂の門をくぐり、幼女ルチアがいる至聖所へと足を速めた。


『女神フレィヤー様……』


『永遠に、我と供においでなさいませ。』


中庭の黒馬は大きく嘶いて、空へと大跳躍ジャンプすると漆黒の大きな鳥に変容し舞い上がった。



その様子を大聖堂から、離れた所で目にする鉄屑傭兵団スクラッパーの面々。


彼らは人獣ネフリィムの猛烈な突撃を避けて一時、体制を立て直すために撤退していた。


『今の俺たちの力では、あの人獣ネフリィムや黒巨鳥に敵わない…』


スパナーの言葉に聖女クレィディアが応えた。


『ルチアを助けだし、女神フレィヤーを再び大聖堂に再現するために、ここは力を蓄えましょう……』


小人族グルリトルの眼鏡少年ラジェッターも、それに同意し頷いた。


『スマイルを失い、ドワーフのじいさんも、もういない……』


気落ちしている大柄ドワーフ少年、ハンマーの背中に優しく手を添える聖女クレィディア。


鉄屑傭兵団スクラッパーのリーダー、妖精エルフのレンチが皆を励ますように話し出した。


『さあ!』


『さぁ!』


『何、落ち込んでるんだよー!』


『あたいらは、このイデアポリスの希望の星、スクラッパーだよ!!』


『うちらが、弱腰になってどするねん!!』


『うちに、いい考えがある!』


『なぁ!、ブルースはん!』


明るく元気な少女レンチの言葉に、いくらか勢いにを取り戻した鉄屑傭兵団スクラッパー。


聖女クレィディアの隣にいた彼女の護衛ブルースが、そこで口を挟んだ。


『癒しの森へ行きましょう。』


『あそこに、ウィニーという少女がいます。』


『彼女の手助けがあれば、この難局をやり過ごせるかも しれない。』


少し離れた所から妹レンチの元気な姿に胸を撫で下ろす白馬の上に股がる姉のソフィーナ。


『私は中から、そしてあなたは外から、姉妹で、リョースアルヴァー母さんの仇、血の爪団を壊滅させましょう……』


『捲土重来けんどちょうらい!!』



そう心の中で呟くと彼女は大聖堂へと白馬を走らせた……


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