運命により集い寄る鉄屑歩兵団sss。
『負けんじゃないよーーー!!』
『鉄屑ド根性、見せてやーーー!!』
黒髪少女の励ましの言葉を背に魔獣装甲団、5人に立ち向かうスパナー。
魔獣装甲団とは特殊金属アボイタカラで造られた装甲服で身を包んだ人と獣の混血種である。
体が大きく動作が鈍いが強力な腕力で降り下ろされる戦鉄槌バトルハンマーの威力は絶大で大岩を粉微塵にできるほどである。
スパナー少年は黄金戦工具を頭上高く掲げ防御体制から身を翻しパワーチャージして叫んだ。
『スパナーブレードーーー!!』
咄嗟に魔獣装甲兵団は四方に散りスパナー少年をグルリと取り囲む包囲陣形を取った。
『小僧!!』
『黄金戦工具を捨て我らに投降せよ!!』
『女神フレィヤを、おとなしく差し出せば命だけは取らないでおく!!』
魔獣装甲団のリーダーの言葉を鼻で笑ったスパナー。
『ふん!、俺が、お前らをこの場で、すぐさま鉄屑にしてやる!!』
その言葉に魔獣装甲団は話し合いでの解決は無理であると判断しスパナー少年に攻撃を開始した。
『やれーーー!!』
『力でねじ伏せるのだ!!』
包囲網を縮めて戦鉄槌をスパナー少年、目掛けて振り落した。
ブーーーーーン))))
ブーーーーーン))))
ブーーーーーン))))
黒髪少女が少し離れた瓦礫の上から叫ぶ。
『右ーーー!!』
スパナーは左に身を交わし背後に回り込み、まず一体の背中を激しく叩いた。
ドカーーーーーン))))
倒れ込み破壊される一体目。
黒髪少女が、更に叫ぶ。
『後ろーーーー!!』
スパナーは、その声に前方へ回避、体制を立て直す。
『左ーーーーー!!』
右へ体を捩よじらせ間一発で戦鉄槌の攻撃を避けた。
振り抜いた魔獣装甲団兵士の背中にスパナーブレードがヒットする。
ドカーーーーーン))))
倒れ込み破壊される二体目。
『足元ーーーー!!』
その声に高々とジャンプするスパナー。
体制を低くして戦鉄槌を振り抜いた魔獣装甲団兵士。
スパナーは空中で二回転しブレードを魔獣装甲団兵士、目掛けて振り落した。
ビユーーーーーーッ》》》》
ドカーーーーーン))))
頭部が破裂し倒れ込む魔獣装甲団兵士、三体目。
降り立ったスパナー背後から襲い来る魔獣装甲団兵士。
思わずブレードで受け止めるが戦鉄槌のパワーに体制を崩すスパナー少年。
『取ったぞーーー!!』
魔獣装甲団兵士が振り下ろす戦鉄槌が唸りを上げてスパナー少年の頭上にあった。
これまでと彼は覚悟を決めた。
『俺も、ここまでかぁ!!、theEnd!!』
その時、疾風の如く黒髪少女が飛んで来て魔獣装甲団兵士の首もとに足を絡ませスパナー少年に叫んだ。
『あんたも、まだまだだねーーー!!』
『少し、そこで休んでな!!』
黒髪少女は魔獣装甲団兵士の首もとにある急所ボルトを戦闘工具で絞め込んだ。
『一撃必殺!!』
『クラッシャーレンチーーー!!』
魔獣装甲団兵士の首がこれでもかというほど絞め込まれ瞬時に切断された。
ドカーーーーーン))))
魔獣装甲団兵士 4体目。
黒髪少女へ襲い来る魔獣装甲団兵士のリーダーが叫ぶ。
『おのれ!!、鉄屑歩兵団長レンチーーー!!』
『我らの邪魔をしおってーーー!!』
黒髪少女レンチは体を素早く回転させた。
彼女の俊敏な動きについて行けない魔獣装甲団のリーダーは辺り構わず戦鉄槌を振り回した。
ブーーーーーン))))
ブーーーーーン))))
ブーーーーーン))))
空を切る魔獣装甲団のリーダーの戦鉄槌。
背後に回り込む黒髪少女レンチが魔獣装甲団のリーダーの首もと急所ボルトを捉えた。
『くらえーーー!!』
『一撃必殺!!』
『クラッシャーレンチーーー!!』
ドカーーーーーン))))
魔獣装甲団リーダーの胴体から首が吹っ飛っだ。
空中で二回転し地面に着地した黒髪少女レンチ。
彼女は額の汗を袖で拭いた後ため息を1つ、ついた。
『ふーう……終わったか。』
唖然と、その戦いぶりを座り込んで見ててたスパナーに手を伸ばす黒髪少女レンチ。
『まぁ、あんたも初戦だし……よく、やっとほうだよ。』
『約束通り、鉄屑歩兵団の仲間に加えてやるよ。』
スパナーは首を傾げてレンチに語りかけた。
『そんだけ、強いなら俺、戦わなくてもよかったんじゃないか?』
『それに俺、あんたの鉄屑歩兵団に入る約束なんかしてないよー!!』
彼の前に近付いて不思議そうにスパナーの顔をのぞきこむレンチ。
『はぁ、何だって?』
『あんた、ハンマーとかう入団希望者だろ?』
その時、彼女の後ろからノッシノッシと足音を発てて近付いてくる大きなハンマーを肩に抱えた太った少年が近付いてきた。
『ごめーーーん!!』
『遅れた、遅れたーーー!!』
太った少年は辺りを見回して倒されている魔獣装甲団を見て、ため息を突いた。
『あぁ……戦闘、終わってるう...』
『おいら、入団無理かなぁ…』
黒髪少女レンチは両腕を腰にあててムッとした。
『あんたがハンマーかぁ。』
スパナーの方を見てレンチが訊ねた。
『じや、あんたは誰よ?』
スパナーは立ち上がり首を竦めた。
『それは、こっちのセリフだよ!』
小走りに近付いて来た幼女ルチアがスパナーの袖をつかんで呟く。
『お兄ちゃん、お腹空いたよ……』
しゃがんでルチアの頭を撫でる黒髪少女レンチ。
『わかった、一緒にご飯食べに行こう!』
グーウとスパナー少年の、お腹も鳴った。
彼の方を向いたレンチがクスリと笑いポッリと声を掛けた。
『空腹戦士、あんたも腹、空いてるんだろ。』
『加勢してくれたお礼に飯食わせてやるよ。』
『そこの魔獣装甲団の鉄屑を車に全部載せて、あたいについてきな!』
『おい、そこの遅刻入団希望者!!』
『ボーッとしてないで、あんたも、鉄屑歩兵団に入りたいなら、さっさと手伝いな!』
スパナーと太った大柄な少年ハンマーは黒髪少女レンチが用意していた荷車に
鉄屑となった魔獣装甲団のスクラップを積んで彼女の後を付いて行った。
『何で俺が、こんな目に会わなくてはならないんだ?』
スパナーの、その言葉に太った大柄な少年ハンマーが答えた。
『よかったじゃん♪』
『レンチの姉さんに気に入られて。』
ひょんな事から知己となった四人。
鉄屑歩兵団の資金源を運ぶ荷車の一行。
鉄屑と瓦礫の街の、そこかしこから顔を出す子供たちが口々に笑って荷車の一行について行く。
『あ、レンチお姉ちゃんだぁ♪』
『わーい、わーい♪』
幼い子供たちに周りを囲まれる黒髪少女レンチ。
『彼女は人気があるんだなぁ。』
荷車を引くスパナーがポッリと言葉をこぼした。
その言葉に後ろから荷車を押すハンマーが彼に語りかけた。
『レンチ姉さんを知らない者は、この街にはいないよ。』
『お前……他所から来たの?。』
夕日に暮れる街を進む一行の先には、この街の闇市ボッタがあった。
そこは、この物語の激動のプロローグを飾る場所でもあった。




