大聖堂決戦②
大聖堂決戦②
《《《グォーーーーーッ》》》
迫り来る機甲兵団アボイタカラに身構える狼犬ウルフ.ハウンド。
スマイル少年は車椅子からロープを解き放った。
二頭の狼犬ウルフ.ハウンドが縦横無心じゅうおうむじんに奮迅ふんじんする。
『スベテ……センメツセヨ!』
『スベテ……センメツセヨ!』
ブーーーーーーン》》》
ブーーーーーーン》》》
ブーーーーーーン》》》
10体の手に大剣を帯びた機甲兵団((アボイタカラ)が二頭の狼犬ウルフハウンドを追う。
ガシャガシャガシャ……
ガシャガシャガシャ……
ガシャガシャガシャ……
重い装甲で小回りの効かない機甲兵団アボイタカラの周りを二頭の狼犬ウルフハウンドが回る。
パカッパカッパカッ………………
白馬で駆け付けた妖精エルフのソフィーナがスマイル少年の右を通り過ぎる。
スマイル少年は車椅子の横に掛けられた長いロープを彼女に手渡した。
少し遅れてスマイル少年の左を走る十字剣を帯びた救援のの青年ブルース。
機甲兵団アボイタカラは二頭の狼犬ウルフハウンドに翻弄ほんろうされ円陣を組んだ。
長いロープの端を青年ブルースへ白馬の上から投げる妖精エルフのソフィーナ。
『囲むわよーーー!!』
十字剣に、しっかりとロープの端を結び着けたブルース。
その様子を見届けた妖精エルフのソフィーナは、もう一方のロープの端を持ち白馬を疾走させた。
機甲兵団アボイタカラ部隊の足元を長いロープの輪が締め付け絡め取る。
ドターーーーン))))
ドターーーーン))))
ドターーーーン))))
倒れ込んだ機甲兵団アボイタカラに狼犬ウルフハウンドが突進する。
ドカーーーーン》》》
ドカーーーーン》》》
ドカーーーーン》》》
ロープを十字剣から外した青年ブルースが大跳躍ジャンプした。
前方の荷馬車からソーサラスの杖でオーラを送る聖女クレィディア。
タリスマンの閃光が十字剣に満ち輝きを増した。
円陣を組んで転倒した機甲兵団アボイタカラの中央に降り立つ彼の十字剣が冴える。
(((((ウオォォォォオオーーー!!)))))
グワシャァァァアアーーーーーン》》》
10体の機甲兵団アボイタカラは瞬時に破壊された。
『すごいーーー!!』
『鉄屑傭兵団スクラッパーは無敵だ!!』
ガッツポーズで喜ぶスマイル少年の笑顔。
白馬の上から親指を立て彼に応える妖精エルフのソフィーナ。
『未来の旦那様、その勇気ステキだったわよ♪』
聖女クレィディアと青年ブルースも彼の率先した勇気に笑顔で答えた。
その時、上空から車椅子に急降下する巨大な黒鳥。
笑顔で喜ぶスマイル少年の車椅子を長い鉤爪かぎつめで捉えた。
《《《ガシーーーーーッ》》》
その様子を見詰める三人の表情が凍り付く。
『スマイル君ーーーーーー!!』
白馬の上から空を見上げる妖精エルフのソフィーナが叫ぶ。
黒鳥は車椅子の少年スマイルを空高く連れ去った。
上空で三度、旋回して加速をつけた黒鳥に木の葉のように弄もてあそばれる車椅子の少年スマイル。
次の瞬間、黒鳥は鉤爪かぎつめを離した。
ビユユユュュュュユユーーーッ》》》
上空から地上へ加速をつけられた車椅子が放り出された。
その様子を見詰める悲痛な鉄屑傭兵団スクラッパーのメンバー。
上空から放り出されたスマイル少年を浮遊術で助けようと聖女クレィディアがソーサラスの杖を翳そうとした。
しかし、その時、正面から突進してきた巨獣ネフリィムにより荷馬車が転倒させられた。
地上へと激しく叩きつけられる車椅子。
((((ドドドドドーーーーーーン))))
白い土煙が立ち上った場所へ白馬を走らせる妖精エルフのソフィーナ。
形を残さない車椅子の残骸と、少し離れたところに横たわるスマイル少年。
白馬を降りて急いで駆け寄る妖精エルフのソフィーナの眼に涙か溢れる。
横たわるスマイル少年を抱き上げる彼女の耳に微かに届いた彼の最後の言葉。
『あ.い.し.て.る……』
力なく頭を垂れるスマイル少年。
ホスピタルマスターが宣告していた一年の寿命が尽きる日と重なる。
涙を拭い空を見上げスマイル少年の命を奪った黒鳥を睨む妖精エルフのソフィーナ。
共に戦ったウルフハウンドの車椅子少年、鉄屑傭兵団スクラッパーの笑顔ムードメーカである彼。
これがスマイル少年の最後だった。
『平和と愛の勇者よ!』
『永久に安らかに眠れ…………』




