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美と愛の女神アフロディーテ~大白銀槌の勇者ハンマー。

美と愛の女神アフロディーテ~大白銀槌の勇者ハンマー。

現実理想郷イデアポリスの中央に聳える一際ひときわ人々の目を引く荘厳な建造物。


その再生ルネサンス大聖堂の前で声高に叫ぶ一人の初老紳士ステファノ。


傍らにはイデアの母とも称される聖カタリナの姿があった。


二人を半円状に取り囲む現実理想郷イデアポリスの大群衆。


市長ステファノが壇上から耳を傾ける大勢の人々に訴える。


『これ以上、血の爪団パージャの』横暴を許してはならない!!』


『彼らは、この大聖堂より女神フレィヤの像を引きづりだし破砕した!!』


『しかも、我らを見守る神聖な女神の左目をえぐりだし辱しめた!!』


『先祖より千年の長き間、我らを守護したもう女神への冒涜は決して赦ゆるされるものではない!!』


『この現実理想郷イデアポリスより追放パージされるのは我々でなく彼等の方だーーー!!』


冴え渡るステファノ市長の熱弁に大群衆が沸き立った。


『そうだーーー!!』


『そうだーーー!!』


『血の爪団パージャーたちを、この都市から追い出せーーー!!』


その時、遠くから近付く馬の蹄の音と金属音の響きが大聖堂まで届いた。


群集の中の一人ウルフハウンドが車椅子

を引く少年スマイルが叫んだ。


『みんなーーー!!』


『聞いてくれーーー!!』


『ここに、我らを守護する女神フレィヤの左目、プロメテウスはあるぞーーー!!』


どよめく大群衆を前にスマイル少年が女神フレィヤの左目プロメテウスを高々と掲げた。


『エエィーーーーイ!!』


『ドケドケ!!』


『鉄屑スクラップども!!』


群集を押し退け黒馬の一団が大聖堂の前に現れ出た。


彼等の姿を見て群集の中へと紛れ込む車椅子の少年スマイル。


彼に近付く一人の小柄な眼鏡少年ラジエッターが声を掛けた。


『噴水広場へ……そこに僕の気球がある……一緒に逃げよう!』


二人は申し合わせて大聖堂の群集をかき分け噴水広場へと向かった。


眼鏡少年ラジエッターが血の爪団パージャーに聞こえるように大きな声で叫んだ。


『港へ逃げた女神の左目を持った少年を守れーーー!!』


血の爪団パージャーの長、ザクセンハイマーは武装機甲団に港へ逃げたスマイル少年を追うよう命じた。


『決して逃がしてはならんぞーーー!!』


血の爪団の長ザクセンハイマーは熱弁、覚めやらぬステファノ市長の前に進み出た。


『魔導師と魔女が聖人気取りとは笑わせる!!』


『この偽りの聖人を片付けろ!!』


ザクセンハイマーの言葉に剣を抜き放ち市長ステファノとイデアの母カタリナに近付く血の爪団パージャー。


間に割って入る三股の槍を持つ白髭の老人ブラック.スミスと大鉄槌を持つ大柄の太った少年ハンマー。


白髭老人がステファノとカタリナを背中越しにして呟いた。


『早く安全な場所へ逃げなされ!』


『ここは、ワシと孫が食い止める!!』


白髭老人の言葉に礼を述べて、その場を立ち去るステファノとカタリナ。


手に唾をかけてわずかに笑う白髭老人が血の爪団を前に叫んだ。


『腕がなるわい!!』


『ワシは豪腕、鍛冶屋ブラックスミスじやーー!!』


『同じく、その孫、大鉄槌ハンマーだぁーーー!!』


血の爪団パージャーのザクセンハイマーが二人を指差した。


『邪魔物めーー!!』


『始末しろーー!!』


二人は迫り来る血の爪団の剣の嵐を三股の槍と大鉄槌で打ち払いながら大聖堂へと彼等を誘った。


カーーーーーーン》》 》


キーーーーーーン》》》


カーーーーーーン》》》


キーーーーーーン》》》


後退しながら白髭老人が孫のハンマーに呟いた。


『ハンマーよ!』


『戦いは、地の利を自分の味方にせよ!!』


『よく覚えておくのだ!!』


大聖堂の間へと入って行く二人を追う仕草を見せない血の爪団。


『じっちやん、何で、やっらは追って来ない?』


『聖壁ヘブンリーヴァンガード

じゃ。』


『後ろを見よ!』


少年ハンマーは後ろを振り向き祭壇の前に立つ乙女を見た。


輝く乙女の体から光のオーラが大聖堂の広間を照らしていた。


神々しい彼女見て白髭老人が孫のハンマーに呟いた。


『幻想理想郷ファンタジヤより現世に現れ出た美と愛の女神アフロディーテじゃ』


『光あるところ、闇は去る!』


大聖堂から後退してくる血の爪団に長のザクセンハイマーが命を下した。


『ここは撤退せよ!』


『ステファノの行方など、直ぐにわかる!』


『噴水広場を抜け、魔女ウィッチの館へ行くのだ!!』


血の爪団は黒馬のの踵きびすを返して噴水広場へと向かった。


逃げ去る血の爪団に視線を送る大聖堂から出て来た白髭の老人と少年ハンマー。


『じっちやん、オラ、港へ行ってくる。』


『今、クラッシャーレンチの姉さんがこの街に来ているてラジエッターから聞いたよ。


『オラも鉄屑傭兵団に入れてもらう約束をしてるんだ!』


白髭老人はハンマーの背をポンと軽く叩き励ました。


『行ってこい!』


『大白銀槌の勇者、ハンマーよ!』



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