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幻想理想郷(ファンタジヤ)の分裂と争乱の始まり。


幻想理想郷(ファンタジヤ)の分裂と争乱の始まり。



《《《《ピカッーーーーーーーーッ》》》》


幻想理想郷ファンタジヤにある二つの至高座の間に七色の光が現れ出た。


大神ゼウスと彼の伴侶ヘラは、遂に念願の愛娘まなむすめを得た。


この上ない美しさを備えた彼女はビーナスともフレィヤとも呼ばれた。


最高位の女神ヘラが愛娘ビーナスを目を輝かせて抱いている。


大神ゼウスが妻と愛娘を包み込むようにして語った。


『ここに我ら念願の愛と美と平和をもたらす和睦の使者が誕生した!』


『名を、幻想世界ファンタジヤではビーナス、そして現実世界ゴクマゴクではフレィヤと呼ばれよう!』


白いローブを着た婦人、祭壇の女神ヘスティア前に出た。


『神々よ!』


『千年統治の幕開けとなりました!』


『この門出を祝し太陽の神アポローンと月の女神アルテミスが昼と夜を繋ぐ道を備えました。』


『幻想理想郷ファンタジヤと現実理想郷イデアポリスが、ここに一つの世界として融合するのです。』


『新たな和睦の使者ビーナス様が、久しく途絶えた二つの世界を1つになさるのです。』


大神ゼウスと最高位の女神ヘラそして彼女に抱かれている幼子ビーナス。


その前には祝いの席に集まった神々が並んでいる。


間近の左には大神ゼウスに最も信頼されている識天使セラフィム。


彼は六枚の羽と四つの頭を持つ最高位の天使であり


愛の炎と美の旋律、そして平和の言霊と共鳴する力を備える唯一の存在でもあった。


その隣には冥界の神とも称されるハデス、またの名を恐怖王セベクとも消去する者ザクセンハイマーとも呼ばれた。


間近の右には大神ゼウスとの間に座天使トロノスもしくは戦の神アレスとも呼ばれる息子をもうけた祭壇の女神ヘスティア。


そのそして隣には女神ビーナスの祖父母ガイヤとウーラヌス。


そして太陽の神アボローンに月と狩の女神アルテミス。


そして最後列には座天使トロノスの姿があった。


彼は正義を司り燃える炎の車輪を操る戦神であり女神フレィヤの守護戦士でもあった。


識天使セラフィムが最後列に控えていた若き勇者、座天使トロノスを指差し大神ゼウスに言上した。


『この祝いの席にタルタロスへ落とされた者がおりますが……これは如何なものかと。』


祭壇の女神ヘスティアに視線を送る大神ゼウス。


ヘスティアは前に出て識天使セラフィムの方を向いて話し出した。


『この幻想理想郷ファンタジヤと現実理想郷イデアポリスを我が物にせんと企む輩がおりますゆえ……』


『私の息子、座天使トロノスを召喚しております。』


『偽りの罪によりタルタロスに貶おとしめた輩を幻想理想郷ファンタジヤより追放パージするために!』


大神ゼウスは、両者のただならぬ雰囲気を感じた、その場を静めた。


『今宵は和睦の使者、女神ビーナスの祝いの席だ。』


『無用な争いは避けよ。』


母ヘラの腕の中で笑う幼子ビーナスが識天使セラフィムに頻りに手を伸ばしている。


識天使セラフィムと幼子ビーナスの波動が共鳴を始めた。


母親ヘラの腕をスルリと抜け出て識天使セラフィムの元へと空中を漂う幼子ビーナス。


『いけません、ビーナス姫!』


咄嗟とっさに間に割って入る祭壇の女神ヘスティア。


ヘスティアはビーナス姫を抱き抱えて識天使セラフィムを睨んだ。


『禁じたられた波動共鳴を使うとは!!』


大神ゼウスが識天使セラフィムに視線を送り重々しく語り掛けた。


『最も信頼していたお前がなぜ……我、娘に禁じられた波動共鳴を使うのだ!』


『タルタロスへ落ちるはお前の方だったのかも知れんな!』


『お前を幻想世界ファンタジヤより追放パージする!!』


識天使セラフィムの足元に深い闇が現れ出た。


底無しの闇へと落ちて行く識天使セラフィムに鎖を投げるハデス。


祭壇の女神ヘスティアに向かい叫ぶ。


『なぜ、俺よりゼウスを選んだのだぁーーー!!』


『俺との契りを忘れた、お前に必ず復讐する!!』


識天使セラフィムと冥界の神ハデスは闇の奥底へと落ちていった。


大神ゼウスは祭壇の女神ヘスティアの胸に抱かれる幼子ビーナスを彼女に託した。


『これで現実世界ゴクマゴクは争いの絶えぬ世となろう。』


『わたしと、妻のヘラは幻想世界ファンタジヤを出ることができぬゆえ……』


『お前に我娘わがこビーナスを現実世界ゴクマゴクへの使者として送り届ける役を頼みたい。』


祭壇の女神ヘスティアは大神ゼウスの前にかしずき以来を承けた。


『必ずや姫を現実世界へお届けします……わたくしの息子、共々、ビーナス姫を守護いたします。』


大神ゼウスは祭壇の女神ヘスティアの肩に手を置き優しく言葉を掛けた。


『ヘスティアよ……苦労を掛ける、頼むぞ。』


少し離れたところから大型帆船が天空を滑るように近付いて来た。


帆船から三股の槍を持つ海の神ポセイドンが、ヘスティアに挨拶を送っている。


ヘスティアは息子の座天使トロノスを兄のポセイドンに託した。


『息子を立派な戦士に育て上げてくださいませ、兄上。』


ポセイドンは深く頷うなづいて後の戦神アレスと呼ばれる彼を船に乗せた。


船が緩やかに幻想世界ファンタジヤを出て行く。


その光景を見ながら幼いビーナス姫を抱く祭壇の女神ヘスティアは息子に別れを告げた。


『息子よ、現実世界ゴクマゴクを救う立派な戦士となっておくれ……』


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