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7/12

魔王は探し戦士は淑女である

前回のあらすじ。

《魔物ってスゲェ》

 二日も無駄にしてしまった。

 筋肉痛というのもを初めて経験したがまるで体が石になったかのように動けなかった。


 今日こそ戦士の子孫を見つけないと。


「と、いうわけでこれから手分けして戦士を探すぞ」


 宿屋の部屋の中。

 俺は腰に手を当てながら言った。


「おー」


 エロエはやる気満々に答えた。


「ミネも頼んだぞ」


 俺はかがんでミネの頭を撫でながら言う。


「にゃー!」


 ミネは元気よく返事をした。


「それじゃ、解散!」



⬛︎⬜︎⬛︎⬜︎⬛︎



 俺は酒場に来ている。

 情報収集は酒場だと相場が決まっているのだ。


「思っていたの違うな」


 酒場の中に入ると中は小綺麗というか小洒落た雰囲気だった。

 戦士の町の酒場というくらいだからもっと騒がしくて汚い場所だと思っていたが…。


「いらっしゃい。突っ立てないで座りな」


 カウンターで店主の男が話しかけてきた。

 男は坊主で筋肉は付いているが細身の体でサングラスをかけている。

 どうやらこの時間から酒場に来ているものは少ないらしく客は二、三人しかいない。


「あぁ」


 俺はカウンターの席に座る。

 店主は注文はないのかと俺の方を見てくる。


「適当にカクテルでも作ってくれ」

「分かった…」


 さて、もう少し客がいることを想定してたから来たがダメだ。

 これじゃあ、情報収集も何もないな。


「マティーニだ」


 数分して店主がカクテルを出してきた。

 俺はマティーニを飲みながら考える。


 これからどうしたものか。

 手当たり次第に探してもいいが、それじゃあ時間がかかりそうだ。

 いや、勇者一行の戦士の子孫なんだ。

 普通に町の住人に聞けば教えてもらえるんじゃないか?


「お客さん」

「ん…?」


 俺がカクテルを飲みながら悩んでいると酒場の店主が話しかけてきた。


「アンタ、旅の人だろ?」

「あぁ、そうだが…」


 この町の男たちは皆が重そうな装備で体を固めている。

 こんなボロボロの服を着ている俺がこの町の住人じゃないことくらいすぐに分かるんだろう。


「やっぱりな」

「それがどうかしたのか?」


 俺はカクテルをちょびちょびと飲みながら聞く。


「いや、旅人って事がこんな時間に酒場に来るってのは大体情報を集めるため、だからな。アンタもその口なんだろ?」

「……だったらなんだ?」


 店主はグラスを拭きながら少し微笑み言う、


「俺は酒場だけじゃなく情報屋ってのもやってるんだ」

「ほう…」


 情報屋か、文字通り情報を買ったり売ったりする者のことだ。


「それなりの情報にはそれなりの値が付くが、この町のことなら俺は誰よりも詳しいって自信があるぜ」


 店主は俺の前に来て周りに聞こえないくらいの声で言ってきた。

 きっと、店主は町の外の人間専門の情報屋なんだろう。


「そうか、なら情報を売ってもらうとしよう」

「了解だ。で、どんな情報が欲しいんだ?」


 店主がカウンターから出て俺の隣に座る。


「勇者一行の戦士、《シゲル・スズキ》の子孫の情報が欲しい」

「なるほど、いいぜ。そいつのどんな情報が欲しい」


 名前すらも有料なのか。


「性別、名前、年齢、あとはどこにいるかだ」

「OKだ。値段は合わせて10000レイだぜ。あと、うちは前払いだからな」


 高いのか安いのか分からないな。

 いや、今はとにかく早く見つけることが大切だな。


 俺は店主に一万レイを渡す。

 店主は俺の渡した金を一回確認して俺に情報を提供してきた。


「まず名前だな。そいつの名前はウィル、ウィル・スズキだ。性別は女、年齢は18」

「なるほど…」


 女か、もしかしたらエロエと同じでただの町娘の可能性もあるな。


「最後に居場所だが」

「あぁ」


 まぁ、どちらにしても復讐のために連れて行くがな。


「この町の戦士たちと近くの山に鍛錬に行っている」

「そうなのか…」


 鍛錬か、少なくともこっちはエロエと違ってしっかり戦士をしているみたいだな。


「どうする。他に聞きたいことはあるか?」

「いや、もうな…」


 俺は数日前にエロエと話したことを思い出す。


「すまない。最後に一つ」

「なんだ?」


 そう、この町に着いたら髪を切りに行くと言っていたことを思い出した。


「この町の床屋の場所を教えてくれ」

「床屋…?」


 店主は笑いながらタダで教えてくれた。



⬛︎⬜︎⬛︎⬜︎⬛︎



 床屋前で俺は驚いている。


「なんで、丸刈りしかないんだ」


 床屋の前に書かれている丸刈り専門の看板に驚いているのだ。

 看板には小さく『男なら丸刈り一択』と書かれている。


「はぁ、さすが戦士の町と言ったところか…」


 床屋に来る途中にあった服屋に戦闘を意識した激しくダサい服しかなかった時点で、大体予想していたが…。


「あ、サタナー!何してるのー?」

「ん、エロエか?」


 俺が床屋の前で肩を落としているとエロエが少し離れたところから呼んできた。

 両手には沢山の食材を抱えている。


「エロエ、なんだその荷物」

「え、これ?」

「あぁ、それだ」


 あまり余計な出費を出したくない俺は少し怒った風に言う。


「えっとね。お肉がとても安く売ってたから…」


 こいつ、俺が宿で食事が出ること忘れてるのか?

 せっかく食事付きにしたのに意味ないじゃないか。


「あ、でも!ちゃんと情報収集もしたよ!戦士の場所も分かったし」

「は…?」


 戦士の場所が分かった?


「ほ、本当か?」

「うん、お肉屋さんの人が教えてくれた!あっちの山に行ってるらしいよ」


 この時、俺は気づいた。

 ボラれた事に…。


「なぁ、エロエ」

「ん、何…?」


 エロエの買ったものを見る。

 見た限り完全に一万もしない。


「俺、少し行くところが出来た。宿で出かける準備をして待っててくれ」

「え、うん、分かった」


 そのまま俺はエロエと分けれ先ほどの酒場に向かう。



「魔王からぼったくるとは…面白いことをしてくれるじゃないか」



 そう、報復をしに行くのだ。



⬛︎⬜︎⬛︎⬜︎⬛︎



「あ、サタナおかえり」


 俺は用事を済ませて宿に戻った。

 遠分あの店は営業できないだろうな。


「あぁ、準備はできているか?」

「もっちろん」

「にゃっ」


 エロエはバックを担ぎ、ミネは俺の肩に乗る。


「それじゃあ、行くか」

「出発だね!」

「にゃー」


 俺たちは隣の山を目指して宿を出た。


 町を出る途中で酒場に化け物が出たと騒ぎになっていたが俺は何も知らない。



⬛︎⬜︎⬛︎⬜︎⬛︎



「サタナ、あまり離れないでね…」

「ん、分かってる」


 エロエはグリフォンに襲われた日からそれがトラウマになったらしく森で一人になる事に恐怖を抱いているらしい。


「そういえばサタナ、戦士を見つけてもどうやって連れて行くの?」

「いくつか手段は考えてるが本人に会ってみないと分からないな」

「へー、サタナの事だから凄い作戦とか考えてるかと思った」


 エロエが腕を組んで意外だなー、と言う。


「お前は俺にどんな印象を持ってるんだ…」

「…んーとね。頼りになる人って思ってるよ」


 エロエは少し照れながら言う。

 勇者に頼りにされる魔王か…。

 作戦通りとはいえ少し複雑な気持ちだな。


「ふーん」

「あ、あれ、以外と反応薄いね。勇気出して言ったのに…」


 エロエが少し肩を落として言うが最後の方なんて言ってるか聞こえなかった。


(うわぁ、ご主人鈍感だぁ)


 ミネが猫なのにため息をつく。

 どうかしたのか?



⬛︎⬜︎⬛︎⬜︎⬛︎



 あれから数時間ほど歩いて俺たちは目的の戦士がいる場所に着いた。


「思ったより早かったね」

「そうだな」


 時間はまだ夕暮れ前だ。

 戦士たちが訓練をしている場所に着いた。


 そこは柵に囲まれて中にはテントがいくつか立っている。


「ん、お前らそんなところで何をしている?」


 俺たちは柵の前にいた守衛に声をかけられた。


「すまない。俺たちは人探しをしているんだが」

「人探し?お前ら町の者じゃないだろ?」

「あぁ、この町に戦士の『ウィル・スズキ』がいると知って遠くの町から旅をしてきたんだ」

「ウィルを?なんでまた」

「それは言えないんだ。国からの極秘任務に関することだからな」


 守衛は国からのという言葉に少々驚き、


「分かった。すぐにウィルを呼んでこよう…」


 と言い、ウィルを呼びに柵の内側へと行った。



⬛︎⬜︎⬛︎⬜︎⬛︎


「すまない。少し待たせた」


 しばらくしてから守衛は一人の女を連れて帰ってきた。

 守衛は女を連れてくると気を使ったのかすぐにその場を去った。

 女の見た目は赤く少し長い髪に黒色の目、身長は俺と同じくらいで軽装の装備で大剣を腰に差している。


「お待たせしました。私が、ウィル・スズキです。名前を伺っても?」

「ん、俺はサタナ・アンフェールだ」

「私はエロエ!エロエ・サクラギよ。そして、この子がミネ」


 俺たちは挨拶をしエロエはミネを抱えてスズキにミネの名前を言った。


「初めましてアンフェールさん、サクラギさん、ミネさん」


 スズキはお辞儀をしながら言った。


「サタナ、なんか思ってたのと違うね…」


 エロエが俺の耳元に小声で言ってきた。

 確かに戦士にしては丁寧というか礼儀がしっかりしてるな。


「確かにな…」


 俺も小声でエロエに返した。


「それで、お話があるんでしたよね?」

「あぁ、実は…」

「あ、その前に」


 俺が質問に返答している途中でスズキが何かを思い出したかのように遮ってきた。

 そのままエロエに近づき少し微笑みながら、







「私と一戦交えてくれませんか?《勇者さん》」


 と、言ってきた。


「…え?」


 エロエはまるで鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔をする。

まさかの急展開!?

そして、私はお腹が空いたのお茶漬けを食べてきます。

どうでもいいですがお茶漬けはシンプルなのりが一番美味しいと思います。



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