猫は飼われ魔王はため息をつく
前回のあらすじ
《にゃー》
__獣人。
この世界で人間の次に多い生物。
しかし、獣人と一括りにしても種類は様々である。
獣人はそれぞの種族の獣人同士で集落ら村を作り生活をしている。
獣人の中には放浪者も多く、人間から金銭を巻き上げる盗賊まがいの事をしているものも少なくない。
・・・・・・・・・・
「お願いします!旅に連れて行ってください!」
朝、宿で目をさますと目の前で土下座をしているミネが居た。
「どうやって入った…」
「ご主人!そんなことより私を旅に連れて行ってください!」
いや、そんなことじゃないだろ。
あと、ご主人って呼ぶな。
俺はお前みたいな猫を飼った覚えはない。
「断る」
「なっ!」
「そもそも、お前を連れていくメリットがない」
「ぐっ!め、メリットならありますよ!私、上級スキルの《復元》使えるんです。これだけでもメリットだと思いますよ!」
そういえば、こいつの店の商品は中古品にもかかわらず新品同様だったな。
《復元》は武器や防具を魔力を代償にして直すスキルだ。
確かに、復元は俺たちの旅には大きく役に立つかもしれない。
「というか、なんでお前は俺たちの旅についていきたいんだ?あと、前会った時としゃべり方違わないか?」
ミネはその質問を待ってましたとばかりに笑顔をこちらに向けてきた。
俺は少しウザっと思ったが我慢して聞くことにした。
「私は、昔から夢があるんです!」
「夢…?」
「はい!私は昔からカッコよくて強くて優しい人の飼い猫になりたいという夢があります!」
「はぁ…」
だいたい予想がついた。
「ご主人は容姿はまぁまぁですが強くて優しいです!だから、私はご主人の飼い猫になりたいんです!」
「お前はあれか、喧嘩を売ってるのか?」
「いいえ、私はご主人を尊敬しています!ご主人は人間でありながらキャット・ピープルの私に勇敢に挑んできました。そして、激戦の末、私はあと一歩のところでご主人に敗れてしました」
おいおい、色々話が盛られているぞ。
俺はお前と激戦をした事はないしお前にあと一歩まで追い込まれたことはない。
「しかし!ご主人は私を切り捨てず手を差し伸べて生きるチャンスをくれました!」
「ちょっと待て、俺はお前に手を差し伸べたことなんてないぞ」
「いえ、私には分かってますよご主人。あれはご主人なりの手の差し伸べ方だったってことが、私には分かります!」
ミネは目をキラキラさせながら顔を近ずけてきた。
鼻息が荒い。
「お前、面倒くさい性格してるな」
「またまた~、そんなこと言って〜本当にご主人はツ・ン・デ・レですね!」
ミネが俺の頭を撫でながら言ってくる。
ウゼェ。このウザさ神がかってるな。
俺が温厚な魔王じゃなければ殴ってる所だぞ。
「生憎、俺は猫を飼っている余裕なんてないんでな。他を当たってくれ」
俺はエロエの世話をしているだけで精一杯だ。
というか、面倒くさい。
確かに復元のスキルは魅力的だがこいつを連れて行く面倒くささと天秤にかけたら圧倒的に連れて行かないほうがいい。
「そんなこと言わないでぇご主人、お願いですからぁ!」
ミネは涙目になりながら俺にしがみついてきた。
め、メンドクセェ。
そもそも、こいつチョロすぎだろ。
なんで、前のあれで俺を主人と認めたんだ。
「ええぇい!離せ!」
「離しません!」
「なっ、お前なんでそんなに力強いんだよ!」
「これがキャット・ピープルの底力です!」
くそっ、こいつキャット・ピープルの力を全力で出してるな。
腹が締め付けられてメキメキ音が鳴り出した。
「いっ、わ、分かった。チャンスをやる!だから離せ!」
「本当ですか!」
「あぁ、本当だ。分かったら離せ!」
ミネは嬉しそうに笑いながら余計に締め付けてきた。
人間の体でこれはマズイ。
このままじゃ、口からいろいろなものが出てきそうだ。
「あ、すみません!ご主人」
「ぐはっ、し、死ぬかと思ったぞ」
この体になって初めて死にかけた。
「で、ご主人。何をすればいいの?」
「ん、そうだな…」
ここは適当に無理難題を吹っかけておけばいいだろう。
俺は少し悩むそぶりをして答えた。
「カーテナという剣を手に入れてこい」
「カーテナ?」
「あぁ、剣先がない剣だ」
「剣先がない?分かりました。探してきます!」
そう言うとミネはダッシュで部屋を出て行った。
カーテナ。百年前、勇者が俺を倒す時に使った聖剣だ。
特徴は剣先がなくどこの言葉かわからない言語で文字が刻まれている。
魔のもの以外にはしない程度のダメージしか入らない対魔物ようの剣。
勇者が死んだ後、なくなってしまい今も発見されていない。
そんな剣を見つけるんて砂漠で一粒の砂を見つけるのと同じだ。
つまり、見つけることは不可能。
あいつもこれで諦めがつくだろう。
⬛︎⬜︎⬛︎⬜︎⬛︎
「見つけてきましたよ。ご主人!」
「は……?」
30分ほどしてミネが帰ってきた。
カーテナを持って…
ちょ、ちょっと待て、確かに俺の目の前にあるのはカーテナだ。
一度切られた俺だ。見間違えるはずがない。
俺は驚きのあまり口をポカンと開けアホみたいな顔になってるだろう。
「ど、どこで、どこにあったんだ…?」
「うちの倉庫にありましたよ。昔、拾ったんだけど剣先がないから使い物にならないなって思って、直すのもめんどくさいから倉庫にしまいっぱなしになってました。」
つまり、あれか。
国が血眼になって探していた聖剣はこいつの家の倉庫でホコリをかぶっていたと、そういうことなんだな。
「はは…」
「どうかしましたか?ご主人」
俺は乾いた笑いをこぼし、それを見たミネは不思議そうに首を傾ける。
これは、まいった。
流石の俺も想定外の事態だ。
「これで、私はご主人の飼い猫ですね」
ミネがニコニコと笑いながら嬉しそうに言ってくる。
これは、もう逃げられそうにないな…。
「あぁ、今日からお前は俺の飼い猫だ」
「っ!やったーー!!」
ミネは心底嬉しそうにぴょんぴょん跳ねながらはしゃいでいる。
まったく、面倒な奴が増えたな。
「はぁ、一人も二人も一緒か…」
俺はこれからの旅の大変さを思いため息をついた。
⬛︎⬜︎⬛︎⬜︎⬛︎
後日、エロエにもこいつが旅についていくことを言った。
「うん!いいよ。私ネコ好きだもん!」
と、エロエはすぐ了承してくれた。
ミネには旅に着いて行くにあたって幾つかの条件を出した。
1、勝手な行動をしない。
2、俺以外の前では猫の姿でいること。
3、俺の命令を絶対に聞くこと。
この三つだ。
ミネはすぐに了解した。
まぁ、しなかったら置いて行っていたがな。
カーテナはしばらくの間、俺がこっそり持っておくことにした。
そして数日後。
「じゃあ、旅に行こうか!」
「病み上がりなんだ。そんなにはしゃぐな」
やっほーい!と言いながらエロエ俺の忠告も聞かずに走って行こうとする。
ミネも猫の姿ではあるが楽しそうにエロエについていく。
「はぁ、先が思いやられるな…」
そう言いながら俺は走ってエロエたちの後を追う。
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