第1話
鳥の鳴き声を耳に少年は重たい瞼を開け始めた。
見知らぬ天井、周りを見渡しても記憶と一致する物が何もない。少年はゆっくりと体を起こすがその体はやけに重く感じた。
(ここはどこだ?俺は生まれ変わりをしたんだよな?いや、まだしてないのか?)
そう思い周りを見渡しつつ寝床から這い出ようとした瞬間頭に衝撃が走る。まるで鈍器で殴られたような衝撃で頭の中を掻き回されるような変な感じだった。
(ぐっうううぅなんっっっっっだ、これ・・・頭が・・・ううっ痛いっっっ)
少年の頭の中には大量の情報が流れていた。それはダウンロードしたファイルをインストールしたように頭の中に流れてきた。しかし情報量は7年分それを一気に頭の中に流し込まれれば衝撃をうけるような頭痛がくるのは当たり前だった。
どれくらいの時間がたっただろう。10分?20分?正確には5分もかかっていないであろう時間だったが体感する時間は1時間をゆうに超える体感だったために少年は肩で息をするぐらい疲れていた。しかし徐々に息を整え状況を整理し始めた。
「ハァ・・ハァ・・ハァァァァァ・・・・よし大分落ち着いてきた。」
(えっと俺っ・・じゃないなこの体の持ち主の名はクラウディーフィールドで歳は・・・7歳んで5歳で病気にかかって6歳で病気が悪化して意識不明のまま1年間ベットの上と、どうりで体が重いはずだ。そしてさっき俺が目を覚ますと同時に多分クラウディーフィールドって子は寿命を終えたのか。けどこれって生まれ変わりってゆうのか?もっとこう赤ん坊の頃とかを想像してたのにこれじゃ転生?じゃないな神崎鳴海としての意識がある分乗っ取り?みたいでなんか俺がこの子を殺したみたいで罪悪感半端ないなコレ、てかなんで俺の記憶と知識がそのまま残ってるんだよ。でもクラウディーフィールドとして育った7年間もちゃんと俺の意識として、まるでここで俺が育ったかのようにシンクロしてるし変な感じだし気持ちわるいな。)
そんな事を思いつつも状況を整理してると部屋の扉が静かに開いた。
「クーちゃん朝です・・・・・・よぉ・・・」
そんな声とともに部屋に入ろうとしてきた金髪巨乳の美女と目があった。
「クーちゃんっ!!!!」
そう叫びつつ手に持っていたお盆らしきものを落とし泣きながら俺に抱きついてきた。
「クーちゃん!クーちゃん!ホントに?夢じゃないよね?私のことわかる?ママよ?」
興奮を押さえられない様子で俺の顔を胸に押し付けて後頭部を一生懸命になでてきた。
(うぐっ苦ぢい・・巨乳に挟まれて息ができないとかどんな凶器だよ)
そう思いつつゆっくりと顔を引き剥がす。
「んっ・・ハァ」
「あっごめんね?大丈夫だった?苦しかったよね?ごめんね?あまりにもうれしくってつい抱きついちゃった大丈夫?クーちゃん?」
(改めて見ると綺麗な人だな・・涙と鼻水で顔がひどいことになってるけど)
「うん・・・大丈夫・・です」
なんとか出した言葉に安堵した美女はゆっくりと語りかけるように俺に話しだした。
「良かった神殿で見てもらっても手の施しようがないって言われて・・そう長くはっ・・ないってっ・・・言われて・・・だから・・・・私・・・本当によかっ・・・ウゥゥゥゥゥ」
そこまで言ってまた泣き出してしまった。
(ちょっと待てちょと待て流石にこの状況は想像してないし唐突すぎる。どうすんのコレ、どうすればいいのコレ、落ち着け落ち着け、目の前にいるのは母親だよな?しっ心配してるんだからなっなにか喋らなければ・・・)
しかし神崎鳴海は生前、物心つく頃に両親を亡くしているため母親との接点は皆無、しかもお金を稼ぐ為にそうそうに働き始めた事で仕事付き合い程度はあれど友達らしい友達はおらず0人コミュ力も極めて低くく彼女と最悪な状況で別れることになった為女性に対し一定の距離を置くようになっていた為この状況は32年間で初めて訪れた未踏の地そのものだった。
「大丈夫・・・だから」
(俺さっきから大丈夫しか言ってねぇーーーーーーー。)
なんとかひねり出した少ない言葉ではあったが彼女の耳にちゃんと届きどうにか落ち着いてくれた。
「うん。ありがと・・・取り乱してごめんね。もう大丈夫だからクーちゃんも横になってて?1年もろくに食べてないからお腹空いてるでしょ?今から朝ごはん作ってくるから待っててママ腕に自信あるんだから」
そう言い残して彼女は部屋から出ていった。
(ホッなんとか乗り切ったぁぁぁぁぁのか?しかしあれが母親か不思議な感じだ生前の記憶がある分なんか歯痒い感じがするけど・・・でも妙に心地いいってゆうか暖かいな・・・けど参ったなぁーこれからはクラウディーフィールドとして生きていかなければならないのか。不安だ全然やっていける自信がないぞ。てか生まれ変わりとして失敗してるんじゃないのかこれ・・・・・ハァ~嘆いてもしかたないか)
そう思いクラウディーフィールドの記憶の中の情報を探るように整理した。
(うわっ一人称僕かよ!言ったことないぞ僕なんて、ハァ~めんどくさいこの際話すときは誰でも敬語口調で行こう。んでこの世界には魔法があって魔物がいて・・・・あぁー情報が足りなさすぎる。まぁでもしかたないのか1年間寝たきりだし病気にかかってすぐ家に引きこもり物心ついてからの数年じゃあこんなものか。よしっ計画を立てるか。まずはこの体をなんとかしないとな1年間もベットの上だったから鍛えないとな。あとは魔法・・・これは流石にわからないな適性があるかもわからないしでもせっかく異世界に来たんだし魔法があるなら使ってみたいな。あとは魔物と・・・この世界に関する情報だな。これは両親に聞けばなんとかなりそうだな元冒険者みたいだし父親も記憶が正しければまだ生きてるはずだこの1年間で何もなければだけど。)
生前神崎鳴海は借金をなくすために効率よくお金を稼ぐために自分に出来る最低限の情報収集を行っていたそしてそれは確実に自分の役に立ち情報がなくて悔しい思いをすることはあっても持っている情報が邪魔になることは一度もなかった。そんなこともあり鳴海にとって情報収集は目に見えない武器であることを十分理解していた。
鳴海がそんな計画をシュミレートしていると部屋の向こうから美味しそうな匂いが漂いはじめお腹がなった。
「まぁなんにせよとりあえずはご飯だな。」
そう言いつつ異世界のまだ見ぬ料理に期待を膨らませるのであった。