婚約破棄は二度刺す
王立学園パーティ会場での出来事です
※この物語は全て会話文にて構成されています。
「メイラー!お前との婚約を破棄する!」
「……かしこまりました」
「む、やけに冷静ではないか。さては、涙が出ないよう、感情を殺しておるのだな!――まったく、ここで俺にしがみついて許しを乞うてきたら、少しは考えた直したというものを。そんな事だからお前はダメなのだ」
「そうですか。では」
「まてまて!少し待て!ほら、婚約破棄した理由だとか、どうすればよかったかだとか、聞くことがあるだろう?」
「いえ?特にありません」
「まてまて!――ゴホン。そんなに聞きたいなら教えてやろう。実はな、真実の愛を見つけたのだよ」
「はあ」
「出会った瞬間ビビッと来たんだ。俺はこの人と結婚するために生まれてきたのだと!」
「おめでとうございます。平民となられてからも、どうか元気でお過ごしください」
「おぉありがとう!元気に過ごすとするよ!……待て、平民とは何の話だ?俺が惚れたのは男爵令嬢だぞ?」
「いえ、お相手のお話ではなく。ウェリアン王子の末路の話ですが――初めから説明しましょうか。まず、我が公爵家と縁を切るのですから、王となる道は絶たれますよね?」
「な!絶たれてなどおらんわ!確かに弟達は優秀だが、私は長男だし、それに、色々良いところあるし……」
「例えば?」
「まぁ、強いて言うなら――顔がイケメンすぎることかな?」
「……話を戻しますね。王位継承出来ない長男はどうなるでしょうか?」
「そうだな……王城で楽しく往生する、かな!」
「……正解は暗殺又は幽閉される、です。無能ですが長男は長男。無意味に地位だけはあります。傀儡にしようと担ぎ上げてくる勢力も出てくるかもしれません。そうならないためにも、何か手段を講じなければならないのです」
「な、弟達はそんなことしない……かもしれんではないか!この前なんて、手を振ってくれたし!」
「……例えそうならなくても、これからあなたは王国にとって邪魔者となります。そんな中、好きな人と共に暮らす簡単な方法は一つ。地位を捨てることです。王族である事を止めさえすれば、大きな問題が起こらない限り命を狙われることはないでしょう」
「なるほど……やっぱり止めだ止め!さっきの婚約破棄は無し!平民になるなんてまっぴらごめんだ!俺はダラダラしながらチヤホヤされるのが得意なの。得意分野を失うなんて考えられん!」
「そうですか……では私からも一つよろしいですか?」
「おぉ何でも言ってくれ。お前のおかげで平民になる事を避けることができたのだからな!」
「では遠慮無く。――ウェリアン王子、あなたとの婚約を破棄します!」
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