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土の香り  作者: ふみりん
7/9

入院は嫌だよ

ララにとって眼の手術は大変だったろうに。

「ララちゃん、目やにが出てきたね。年かな?」

これが病気の前兆だったのかもしれない。


ある日ララの様子がおかしかった。あんなに好きだった散歩に出ようとしない。食事も水も飲まない。

いつもの獣医さんが休診だったので違う病院に行った。

「眼圧が高いですね。応急処置しますが、眼科にかかってください」

「これだけ眼圧高いと金づちで頭を殴られた様な痛みがあると思いますよ」

獣医さんは優しく、適切に対応してくれた。


車で1時間かけて眼科専門医の動物病院に出かけた。

「何処行くんだろう?」

ララは調子が悪いのかママに抱かれている。いつもならシートにバランス取りながらしっかり立っているのに。

色々検査して入院が決まった。

「頑張ろうね、ララちゃん」

翌日に迎えに行くとララは今迄にないぐらい寂しそうだった。ホテルに預けた時とは違ってタックルもしてこなかった。

意気消沈しているララを抱いて家に帰ると、ホッとしたのか水をガブガブ飲んだ。

「病院では水も飲まなかったのかな?」

人も年を取ると色んな病気が出てくる。犬も同じなんだと痛感した。


「眼圧が上がりませんように」

ララの1ヶ月に1回の眼科通いが始まった。元気になったララは喜んで車に乗る。シートに立って周りを眺めている。しかし病院に着くと帰りたそうにしている。隙あらば玄関から逃げようと頭は外を向いている。眼の診察は見たことないが、ララが動くので時々「こらっ」と院長の声が聞こえた。

「ララちゃん、頑張れ!」

廊下から応援した。


それから2ヶ月位するとまた眼圧が上がった。眼を見ると眼圧が上がるのが何となくわかるようになった。

「お薬で下げても、体に負担かかるので手術を検討して下さい」

と獣医に言われた。

それまでは1日数回点眼薬と内服治療していた。

パパとじっくり考えた。

「ララちゃんが辛くないのは?」

「毎年レンズ交換は辛いよね。ララも12歳だしね」

色々考えて眼圧が高い方の眼を義眼にする事にした。

「この手術も大変だよね。耐えられるかな?」

心配したけど手術に踏み切った。


「ママ、これはどういうこと?」

「一体何が起きたの?」

手術後痩せ細ったララを見て涙が出た。片目になったララは自分に何が起きたのかわからないようだった。

その姿を見て本当に手術して良かったのかわからなくなった。

「しっかりしろ!これからだよ!」

パパの声がした。



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