お泊り
お泊りは寂しくて悲しくなるんだよ!
いい感じに体の匂いが出てくると、パパとママがシャンプーしたり、美容院に行ったりする。
「どうしてかな?この匂いが落ち着くのにな!」
美容院の車が迎えに来ると思わず喜んで乗ってしまう。
「しまった」
と思った時には時すでに遅し。
シャンプーしてカットして爪切りして、最後に香水迄付けて、首輪にリボン付けてくれる。綺麗になったララにママはスリスリしてくる。
「ララちゃん、女の子みたいね」
「生まれた時から女の子です」思わず突っ込みたくなる。
ララはよく男の子に間違えられる。折角リボン付けて貰ってもすぐ取ってしまう。翌日になると強烈な匂いを出す。香水に負けない様にわざと出しているみたいだ。
シャンプーと言えば、体が濡れるのも好きではない。特に顔に水がかかるのは怖い。
「ララちゃん、お顔はガーゼで拭きましょうね」
トリマーさんも気を使ってくれる。
シャンプーの後に庭の土にスリスリしていたら
「もう、ララちゃん折角綺麗になったのに」
とママの悲しそうな声がした。
「ごめんなさい、でも何か落ち着かないんだよ」
今日は朝からいつもと違う。パパもママもお姉ちゃん達もバタバタしている。きっとお出かけかな?
車に乗っていつもの美容院に連れてかれた。
「ララちゃん、お利口さんにしてね」
そう言うと皆は車で行ってしまった。
「何処行ったんだろう?」
「いつものシャンプーかな?」
夕方になるとトリマーさんが散歩に連れてってくれた。初めてだったけど知らない道を歩いた。
夕食の時間になってもパパとママは迎えに来ない。
「いったいどうしたんだろう?」
ますます不安になって食事は喉を通らなかった。
「クンクン、何かとってもいい匂い」
トリマーさんが心配してお肉を焼いてくれた。匂いにつられて思わず食べてしまった。だけどやっぱり寂しい。結局その日は迎えには来てくれなかった。
「ララちゃん」
ママの声がした。
「良かった。もう来ないのかと心配したじゃない」
「ママ寂しかったよ」
ララは思いっきりママにタックルした。
このタックルにはララの気持ちが詰まっているようだった。
「ごめんなさいね。お利口さんだったかな?」
やっぱり、家が落ち着くし1番良い。
今度は一緒に連れてってくれないかな?
そんな事考えてるうちに眠くなった。
「よっぽど緊張したのね」
ママの声がうっすら聞こえてきた。