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土の香り  作者: ふみりん
4/9

お泊り

お泊りは寂しくて悲しくなるんだよ!

いい感じに体の匂いが出てくると、パパとママがシャンプーしたり、美容院に行ったりする。

「どうしてかな?この匂いが落ち着くのにな!」

美容院の車が迎えに来ると思わず喜んで乗ってしまう。

「しまった」

と思った時には時すでに遅し。

シャンプーしてカットして爪切りして、最後に香水迄付けて、首輪にリボン付けてくれる。綺麗になったララにママはスリスリしてくる。

「ララちゃん、女の子みたいね」

「生まれた時から女の子です」思わず突っ込みたくなる。

ララはよく男の子に間違えられる。折角リボン付けて貰ってもすぐ取ってしまう。翌日になると強烈な匂いを出す。香水に負けない様にわざと出しているみたいだ。

シャンプーと言えば、体が濡れるのも好きではない。特に顔に水がかかるのは怖い。

「ララちゃん、お顔はガーゼで拭きましょうね」

トリマーさんも気を使ってくれる。

シャンプーの後に庭の土にスリスリしていたら

「もう、ララちゃん折角綺麗になったのに」

とママの悲しそうな声がした。

「ごめんなさい、でも何か落ち着かないんだよ」


今日は朝からいつもと違う。パパもママもお姉ちゃん達もバタバタしている。きっとお出かけかな?

車に乗っていつもの美容院に連れてかれた。

「ララちゃん、お利口さんにしてね」

そう言うと皆は車で行ってしまった。

「何処行ったんだろう?」

「いつものシャンプーかな?」

夕方になるとトリマーさんが散歩に連れてってくれた。初めてだったけど知らない道を歩いた。

夕食の時間になってもパパとママは迎えに来ない。

「いったいどうしたんだろう?」

ますます不安になって食事は喉を通らなかった。

「クンクン、何かとってもいい匂い」

トリマーさんが心配してお肉を焼いてくれた。匂いにつられて思わず食べてしまった。だけどやっぱり寂しい。結局その日は迎えには来てくれなかった。


「ララちゃん」

ママの声がした。

「良かった。もう来ないのかと心配したじゃない」

「ママ寂しかったよ」

ララは思いっきりママにタックルした。

このタックルにはララの気持ちが詰まっているようだった。

「ごめんなさいね。お利口さんだったかな?」


やっぱり、家が落ち着くし1番良い。

今度は一緒に連れてってくれないかな?

そんな事考えてるうちに眠くなった。

「よっぽど緊張したのね」

ママの声がうっすら聞こえてきた。






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